特定技能1号ビザとは、どのようなビザでしょうか?

1,特定技能制度とは、どのような制度でしょうか?

 特定技能制度は、日本経済における人手不足を背景に、人手不足が顕著な産業分野において、一定の専門性や技術を有し即戦力となりうる外国籍労働者を受け入れていくことを目的とした制度です。在留資格:特定技能は「特定技能1号」と「特定技能2号」という2種類に分かれます。以下では多くの特定技能外国人の方が取得することとなる「特定技能1号」について説明していきます。

2,どのような産業分野において特定技能1号を受け入れることができるでしょうか?

 特定技能外国人を受け入れることが可能な分野は、生産性向上や国内人材確保のための取り組みを行ってもなお、人材を確保することが困難とされている状況にある産業上の分野(特定産業分野)です。このような状況にあるため、不足する人材の確保を図るため、外国人により補うことを目的としています。以下の14分野において「特定技能1号」を受け入れることが認められています。

①介護②ビルクリーニング③素形材産業④産業機械製造業⑤電気・電子情報関連産⑥建設⑦造船・船用工業⑧自動車整備⑨航空⑩宿泊⑪農業⑫漁業⑬飲食料品製造業⑭外食業

さらに、右記2分野(建設、造船・船用工業)おいては定技能2号の受入れが認められています。

3,特定技能1号ビザを取得する為には、外国人はどのような基準を満たせばよいのでしょうか?

(1)特定技能1号のみに適用される基準

ア、必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること(ただし、技能実習2号を良好に終了している者であり、かつ、技能実習において習得した技能が、従事しようとする業務において要する技術と関連性が認められる場合は、これに該当する必要がない)

イ、特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと

(特定技能1号で日本に在留し、就労できる期間は最大で5年となる)

(2)特定技能1号、特定技能2号に共通の基準

・18歳以上であること

・健康状態が良好であること

・退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること

・保証金の徴収をされていないこと

・外国の期間に費用を支払っている場合は、額・内訳を充分に理解して機関との間

で合意していること

・送り出し国で順守すべき手続きが定めらえている場合は、その手続きを経ている

こと

・食費、居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与さえる利益の内容を十分に理解したうえで合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること

・分野に特有の基準に適合すること(分野所轄省庁の定める告示で規定)

4,特定技能1号ビザの整理点

  • 在留期間

1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで

  • 技能水準

試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)

  • 日本語能力水準

生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)

  • 家族の帯同

基本的に認められない

  • 受け入れ機関又は登録支援機関による支援の対象

5,特定技能1号として就労するためには、どのような申請をすれば良いでしょうか?

  • 海外から新規で来日し、就労する場合(在留資格認定証明書交付申請)

国内外で行われる特定技能試験に合格した人や、過去に技能実習生として日本で就労しており(技能実習2号を良好に修了者)、再び特定技能制度を活用し、来日する外国人が該当します。

  • 何らかの在留資格を有し国内に在留している外国人が、在留資格を変更して就労する場合(在留資格変更許可申請)

技能実習2号を良好に修了した外国人や、留学中に特定技能試験に合格した外国人などが該当します。

6,1号特定技能外国人を受け入れるために、企業側に要求される負担はどのようなものでしょか?

1号特定技能外国人支援計画を作成し入管に提出することが必要となります。1号特定技能外国人の受入機関は、当該外国人が「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成し、当該計画に基づいて支援を行うことが義務付けられます。なお、当該支援については一部または全部を「登録支援機関」に委託することが可能です。

支援計画の主な記載事項

・支援責任者の氏名及び役職等

・登録支援機関(登録支援機関に委託する場合のみ)

・下記の10項目

①事前ガイダンス

  雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無について、対面・テレビ電話等で説明

②出入国する際の送迎

  入国時に空港と事業所又は住居への送迎

  帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行

③住居確保・生活に必要な契約支援

  連帯保証人になる・社宅を提供する等、銀行口座の開設・携帯電話やライフラインの契約等の案内、各種手続きの補助

④生活オリエンテーション

  円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明

⑤公的手続等への同行

  必要に応じ居住地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助

⑥日本語学習の機会の提供

  日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等

⑦相談・苦情への対応

  職場や生活上の相談・苦情等について、外国人が十分に理解することができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等

⑧日本人との交流促進

  自治会等の地域住民との交流の場、地域のお祭りなどの行事の案内や傘下の補助等

⑨転職支援(人員整理等の場合)

  受け入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや、推薦状の作成等に加え、求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続きの情報の提供

⑩定期的な面談・行政機関への通報

  支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し、労度基準法違反等があれば通報

 

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法