離婚後に日本人と再婚した場合、「日本人の配偶者等」ビザはどうなる?変更申請の可否と実務上の注意点を
目次
1. 「日本人の配偶者等」ビザとは
「日本人の配偶者等」は、日本人と婚姻関係にある外国人に付与される在留資格です。就労制限がない自由度の高いビザで、永住申請にもつながる在留資格です。
参考リンク:出入国在留管理庁|在留資格「日本人の配偶者等」
2. 離婚後のビザの取扱いについて
「日本人の配偶者等」は婚姻状態が前提です。離婚すると、原則としてその根拠が失われるため、在留資格の更新はできなくなります。
離婚後のまま在留し続けると…
- 離婚後6ヶ月以上、正当な理由なく滞在していると、**在留資格の取消し(入管法第22条の4)**の対象になる恐れがあります。
関連リンク:在留資格取消制度について|出入国在留管理庁
3. 在留期間内に再婚した場合:「更新」か「変更」か?
● 一般的な原則
たとえ再婚相手も日本人であっても、前回の婚姻による在留資格と、新たな婚姻は別の法的根拠です。
そのため、原則として「更新」ではなく「在留資格変更許可申請」が必要となります。
4. ケース別の手続き解説と実務ポイント
ケース | 内容 | 手続きの種類 | 備考 |
---|---|---|---|
【1】離婚後、再婚前に更新申請 | すでに婚姻関係が終了 | ✖ 更新不可 | 旧婚姻の根拠が消滅 |
【2】離婚後、在留期間中に日本人と再婚 | 同じ資格名でも根拠が別 | 在留資格変更許可申請 | 実体のある結婚であることを証明 |
【3】離婚前に新たな相手と婚姻(重婚) | 法的に違法行為 | ✖ 不許可 | 入管審査上極めて不利 |
入管実務のポイント
- 同じ「日本人の配偶者等」でも婚姻相手が変わると、変更申請が必要です。
- 変更申請の際は、新たな婚姻に関する書類、生活状況の実態、経済力などを審査されます。
- 虚偽申請(前婚歴の隠蔽)は在留取消し・退去強制のリスクあり。
5. 必要書類と審査の注意点
再婚による在留資格変更申請において、以下のような資料が必要です。
主な必要書類(例)
書類名 | 内容 |
---|---|
在留資格変更許可申請書 | 法務省指定様式 |
戸籍謄本 | 再婚が記載されているもの |
住民票 | 世帯全員分、続柄・同居確認のため |
申請理由書 | 出会い~結婚の経緯を詳細に記述 |
写真・SNS履歴 | 結婚の実態証明として重要 |
所得証明・課税証明 | 日本人配偶者の生計能力確認用 |
詳細:日本人の配偶者ビザ申請に必要な書類と入手方法ガイド|取得場所・注意点も解説
6. よくある質問(FAQ)
Q1:離婚後すぐに再婚しました。更新でも大丈夫ですか?
A:いいえ、**婚姻相手が異なる場合は原則「変更申請」**が必要です。
Q2:過去の離婚歴を言いたくありません…
A:虚偽申告は入管法違反です。誠実な説明が審査通過のカギです。
Q3:離婚後も前配偶者と同居中。ビザ更新できますか?
A:婚姻が解消されている以上、「日本人の配偶者等」の資格維持は困難です。別の在留資格を検討する必要があります。
7. 専門家に相談するメリット
再婚ビザは、通常の配偶者ビザ申請よりも入管のチェックが厳しくなります。行政書士などの専門家に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 書類の適切な整理と作成
- 入管実務に即した申請理由書の作成
- 不許可リスクの事前予測と対策
- 面談対応や再申請サポート
関連記事:【完全版】日本人の配偶者ビザが不許可になった場合の再申請ガイド
8. まとめ
離婚後に日本人と再婚した場合、「日本人の配偶者等」の在留資格は更新できないのが原則であり、**新たな婚姻に基づく「在留資格変更許可申請」**が必要になります。
在留資格変更には、再婚の実態、生活の安定性、過去の離婚歴などが厳しく審査されます。虚偽の申告や準備不足は、不許可・退去強制のリスクにもつながるため、必ず慎重な対応を行いましょう。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |