特定技能1号ビザとは?取得条件・対象業種・メリットをわかりやすく解説

1,はじめに

外国人の日本での就労をサポートする新しい在留資格「特定技能ビザ」が注目されています。中でも**「特定技能1号ビザ」**は、特定分野で即戦力となる外国人材を受け入れるために2019年に導入された制度です。

この記事では、「特定技能1号ビザとは何か」を中心に、対象となる業種、取得条件、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。


2,特定技能1号ビザとは?

**特定技能1号ビザ(Tokutei Ginou 1)**は、一定の専門性・技能を持つ外国人が日本で就労できる在留資格です。人手不足が深刻な特定産業分野において、即戦力となる外国人を受け入れることを目的に設けられました。

特徴:

  • 日本語能力と業務に関する知識・技能が必要
  • 最長5年間の在留が可能
  • 家族の帯同は原則不可
  • 就労可能な業種が明確に限定されている

3,特定技能1号ビザの対象業種(分野)

2025年現在、、特定技能の対象分野は16分野に拡大されています。

以下に、現在の特定技能の対象となる16分野と、それぞれの主な業務内容を挙げます。

  1. 介護
    • 身体介護(入浴、食事、排泄等の介助)、生活援助(清掃、洗濯、調理等)など
  2. ビルクリーニング
    • 建築物内部の清掃作業全般
  3. 工業製品製造業(旧:素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)
    • 鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、溶接、塗装、仕上げ、電気機器組立て、電子機器組立て、プリント配線板製造、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、工業包装、工業板金、機械保全、プラスチック成形、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、陶磁器製品製造、紡織製品製造、縫製、RPF製造、印刷・製本など
  4. 建設
    • 型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、屋根ふき、電気通信、鉄筋施工、内装仕上げ、とび、石工、電気工事、鉄骨施工、タイル施工、配管、熱絶縁、計装、築炉など
  5. 造船・舶用工業
    • 溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立てなど
  6. 自動車整備
    • 自動車の日常点検、定期点検、分解整備など
  7. 航空
    • 空港グランドハンドリング(航空機誘導、手荷物・貨物取扱等)、航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)
  8. 宿泊
    • フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど
  9. 農業
    • 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)、畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)
  10. 漁業
    • 漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索・採捕、漁獲物の処理・保蔵等)、養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理・収穫・処理等)
  11. 飲食料品製造業
    • 飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生管理
  12. 外食業
    • 飲食物の調理、接客、店舗管理など
  13. 自動車運送業(2024年3月追加)
    • バス運転者、タクシー運転者、トラック運転者
  14. 鉄道(2024年3月追加)
    • 軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、運輸係員(運転士、車掌、駅係員)
  15. 林業(2024年3月追加)
    • 育林(地拵え、植栽、下刈り、間伐等)、素材生産(伐採、搬出等)、林業用種苗の育成(育苗)
  16. 木材産業(2024年3月追加)
    • 製材、木材加工

なお、将来的には2027年頃の運用開始を目指し、新たに「倉庫管理」「廃棄物処理」「リネン供給」の3分野が追加され、合計で19分野になる方針が示されています。


4,特定技能1号ビザの取得条件

1. 技能評価試験の合格

各分野で行われる技能試験に合格することが必須です。試験は日本国内または海外で実施されます。

2. 日本語能力試験(JLPT)または国際交流基金日本語基礎テストの合格

  • JLPT N4レベル以上が一般的な基準
  • 会話や日常業務に支障がない程度の日本語力が求められます

3. 健康状態・素行の確認

ビザ申請時に健康状態や犯罪歴のチェックが行われます。


5,特定技能1号ビザのメリット

✅ 即戦力として日本で就労可能

日本の企業が抱える人手不足を解消する鍵となっています。

✅ 多くの業種でチャンスが広がっている

農業や建設、介護など、地方でもニーズが高く、地方就職にも有利です。

✅ 試験合格で在留が可能

技能実習制度とは異なり、試験合格者なら初めから就労目的での入国が可能です。


6,特定技能1号ビザと技能実習制度の違い

比較項目特定技能1号技能実習
在留目的就労技能移転
在留期間最大5年最長5年(段階的)
家族帯同原則不可不可
移行の自由制限あり(転職可能だが分野限定)基本不可
給与日本人と同等同等または近いが差がある場合も

7,よくある質問(FAQ)

Q. 特定技能1号ビザの更新はできますか?

A. 最大5年間まで更新可能です。ただし、分野によって異なる場合があるため、更新条件を確認しましょう。

Q. 家族を日本に呼ぶことはできますか?

A. 原則として家族の帯同は不可です。家族帯同が認められるのは、特定技能2号からです。

Q. 他の在留資格から切り替えは可能?

A. 技能実習2号を修了した方は試験免除で切り替え可能な場合があります。


8,まとめ:特定技能1号ビザは、日本でのキャリア構築の第一歩

特定技能1号ビザは、日本で専門技能を活かして働きたい外国人にとって大きなチャンスです。日本企業にとっても、信頼できる即戦力を迎えるための重要な制度となっています。

取得には日本語力や技能試験への対策が必要ですが、しっかり準備すれば誰にでも可能性があるビザです。これから日本での就労を目指す方は、ぜひこの制度を活用してください。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

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