特定技能外国人材 受け入れ企業ガイド:制度概要と法的義務
人手不足が深刻化する日本において、即戦力となる外国人材の活用は多くの企業にとって喫緊の課題です。「特定技能」の在留資格を持つ外国人材は、この課題を解決する強力な選択肢となり得ます。彼らは特定の産業分野で専門的な技能と日本語能力を持つため、すぐに現場で活躍できるポテンシャルを秘めています。
この記事では、特定技能外国人材の受け入れを検討している企業様向けに、まず制度の概要とそのメリット、そして受け入れに際して必須となる法的要件と手続きのステップを分かりやすく解説します。
1. 特定技能外国人材とは?その魅力と受け入れのメリット
特定技能外国人材とは、日本の特定の産業分野において、即戦力として働くために必要な専門性や技能水準、そして日本語能力が認められた外国人のことです。現在、12の分野(例:介護、建設、農業、飲食料品製造業など)で受け入れが可能です。
特定技能外国人材を受け入れる主なメリットは以下の通りです。
- 即戦力人材の確保: 専門的な技能と日本語能力を既に持っているため、採用後すぐに現場で活躍できます。これにより、人材育成にかかる時間やコストを削減できます。
- 慢性的な人手不足の解消: 日本人だけでは充足が難しい職種や業界において、安定的に人材を確保し、事業の継続性を高めることができます。
- 多様な視点と活気の導入: 外国人材が加わることで、職場に新しい文化や考え方がもたらされ、組織全体の活性化やイノベーション促進に繋がる可能性があります。
- 国際競争力の強化: グローバルな人材を活用することは、企業の国際的なプレゼンスを高め、将来的な海外展開なども含めた競争力向上に貢献します。
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2. 特定技能外国人材 受け入れの法的要件と手続きのステップ
特定技能外国人材を受け入れるためには、日本の法令に基づいた厳格な要件を満たし、所定の手続きを行う必要があります。これらを遵守することは、企業にとっても外国人材にとっても非常に重要です。
主な法的要件:
- 受け入れ企業側の要件:
- 労働関係法令の遵守: 過去1年以内に労働基準法などに違反していないことが求められます。
- 外国人材への支援体制: 外国人材が日本で安心して生活し働けるよう、住居の確保、生活オリエンテーションの実施、日本語学習の機会提供などの支援計画が必要です。この支援は自社で行うか、登録支援機関に委託することも可能です。
- 適切な労働条件: 日本人従業員と同等以上の賃金、労働時間、休日、福利厚生などを提供する必要があります。
- 外国人材側の要件:
- 特定技能評価試験の合格: 希望する特定産業分野で必要とされる技能水準と、業務上必要な日本語能力を有していることを試験によって証明する必要があります。
- 日本語能力試験の合格: 特定技能1号では、日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストの合格が求められます。
- 健康状態: 健康であることも重要な要件です。
受け入れ手続きのステップ(概要):
- 人材の募集・採用: 特定技能外国人材を受け入れたい企業は、ハローワーク、人材紹介会社、または海外の送出し機関などを通じて人材を探します。
- 雇用契約の締結: 外国人材と労働条件を明確にした雇用契約を締結します。この際、日本の労働関係法令を遵守した内容であることが必須です。
- 在留資格認定証明書交付申請: 地方出入国在留管理局へ「特定技能」の在留資格認定証明書交付を申請します。この申請には、企業側の支援計画や外国人材の技能・日本語能力を証明する書類など、多くの添付書類が必要です。
- 査証(ビザ)の取得と入国: 在留資格認定証明書が交付されたら、外国人材は自国の日本大使館・総領事館で査証(ビザ)を取得し、日本に入国します。
- 在留カードの交付と住居地登録: 日本の空港で在留カードが交付され、入国後14日以内に住居地の市町村役場で住民登録を行います。
- 特定技能外国人材の受入れ計画の認定申請(登録支援機関委託の場合): 登録支援機関に支援を委託する場合、事前に「特定技能外国人材受入れ計画」を作成し、出入国在留管理庁から認定を受ける必要があります。
これらの手続きは複雑であり、専門的な知識が求められます。不明な点があれば、行政書士や登録支援機関などの専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。
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まとめ
特定技能外国人材の受け入れは、深刻化する人手不足への有効な解決策であり、企業の成長と国際競争力強化に貢献します。しかし、制度を最大限に活用するためには、その法的要件と複雑な手続きを正確に理解し、適切に対応することが不可欠です。
このガイドが、貴社が特定技能外国人材の受け入れを検討する上での第一歩となることを願っています。ご不明な点や具体的なご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。貴社が外国人材と共に、持続可能な未来を築くためのお手伝いができれば幸いです。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |