特定技能外国人材の雇用契約:見落としがちな重要ポイント徹底解説!
特定技能外国人材の雇用は、人手不足解消の切り札として注目されていますが、その雇用契約には特有の注意点が存在します。適正な手続きと契約内容を理解し、トラブルを未然に防ぎましょう。
1. 雇用契約締結前の重要確認事項
雇用契約を締結する前に、以下の点を必ず確認しましょう。
- 労働条件通知書の交付(義務): 雇用契約書とは別に、労働基準法に基づき、必ず労働条件通知書を交付しなければなりません。労働時間、賃金、休日、就業場所、業務内容などを明確に記載し、外国人材が理解できる言語で作成または併記することが望ましいです。
- 在留資格の確認: 雇用する外国人材が「特定技能」の在留資格を有しているか、また、その在留期間が有効であるかをパスポートと在留カードで必ず確認してください。在留資格と業務内容が合致しない場合、不法就労助長罪に問われる可能性があります。
- 特定技能外国人の要件確認: 従事する業務が、特定技能外国人が行える業務範囲内であるかを確認します。例えば、飲食料品製造業では製造・加工業務、農業では耕うん・収穫作業など、各分野で定められた業務に限定されます。
- 日本語能力・技能水準の確認: 特定技能外国人材は、各分野で定められた日本語能力試験及び技能評価試験に合格している必要があります。これらの証明書類も確認しましょう。
- 支援計画の策定: 特定技能外国人を受け入れる企業は、「登録支援機関」に支援を委託するか、自社で「支援計画」を策定し、外国人材への生活・職業上の支援を行う義務があります。雇用契約と並行して、この支援体制も確立されているかを確認してください。
2. 雇用契約書の重要ポイント
雇用契約書には、以下の項目を明確に記載することが必須です。
- 契約期間: 有期雇用契約の場合、契約期間を明記します。特定技能の在留期間は最長5年であり、これを踏まえた契約期間を設定します。
- 業務内容: 特定技能の在留資格で許可されている業務内容を具体的に記載します。関連業務であっても、許可されていない業務をさせることはできません。
- 就業場所: 勤務地を明確に記載します。複数の事業所で勤務する可能性がある場合は、その旨も記載が必要です。
- 労働時間・休憩時間: 法定労働時間(週40時間、1日8時間)を遵守し、休憩時間も明確に定めます。3交替制など特殊な勤務形態の場合は、その旨も詳細に記載します。
- 賃金:
- 日本人と同等以上の報酬: 特定技能外国人材の報酬は、同等の業務に従事する日本人と同等以上でなければなりません。この原則を遵守し、賃金規程などに基づいて明確に定めます。基本給、各種手当(残業手当、通勤手当など)を具体的に記載します。
- 昇給・賞与: 制度がある場合は、その基準や支給条件を記載します。
- 休日・休暇: 法定休日(週1日または4週4日以上)を遵守し、年次有給休暇の付与についても明記します。慶弔休暇など、会社の規定がある場合はそれも記載します。
- 社会保険・労働保険: 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険への加入は義務です。その旨を明記します。
- 退職に関する事項: 自己都合退職、会社都合退職の場合の手続きや予告期間などを定めます。
- その他: 服務規律、災害時の対応、個人情報の取り扱いなど、会社の規程に沿った内容を記載します。
3. 日本語での理解促進と通訳の活用
雇用契約書や労働条件通知書は、外国人材が理解できる言語で作成するか、日本語版と併記することが強く推奨されます。難しい専門用語の使用は避け、平易な言葉で記述しましょう。
契約締結時には、必要に応じて通訳を介して内容を説明し、外国人材がすべての条項を十分に理解した上で署名・捺印するよう努めてください。
4. 契約締結後の届出と管理
雇用契約締結後も、以下の対応を忘れないでください。
- 出入国在留管理庁への届出: 特定技能外国人材の受入れに関する各種届出を出入国在留管理庁に行う必要があります。
- 在留期間更新のサポート: 在留期間満了が近づいたら、外国人材の在留期間更新申請をサポートすることが望ましいです。
- 労働条件の変更: 労働条件に変更が生じる場合は、外国人材と合意の上、書面で改めて通知し、必要に応じて雇用契約書を再作成します。
5. トラブルを未然に防ぐためのポイント
- 定期的な面談: 外国人材との定期的な面談を通じて、不満や問題点を早期に把握し、解決に努めましょう。
- 相談窓口の周知: 職場内外の相談窓口を明確にし、いつでも相談できる環境を整えましょう。
- ハラスメント対策: パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど、あらゆるハラスメントに対する防止策を講じ、啓発活動を行いましょう。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |