【専門家監修】在留資格の種類と全一覧|自分に合ったビザを見つける徹底ガイド
目次
はじめに
日本での生活や活動を考えている外国人の方、または外国人を雇用する企業の方にとって、「在留資格(ビザ)」は避けて通れない重要なテーマです。しかし、その種類は多岐にわたり、自分に合ったものを見つけるのは一苦労でしょう。
この記事では、日本の在留資格について、その種類から取得要件、手続きまでを網羅的に解説します。専門家監修のもと、信頼性の高い情報を提供し、あなたの疑問を解消します。
記事のポイント
- 在留資格の基本:そもそも在留資格とは何か?
- 在留資格の種類を徹底解説:主要な在留資格から特殊なものまで、全種類を網羅
- 自分に合った在留資格を見つけるには:フローチャートで診断
- 在留資格取得のための注意点とよくある質問:専門家からのアドバイス
1. 在留資格とは?日本のビザ制度の基本
在留資格とは、外国人が日本に在留して行うことができる活動内容や、在留できる期間を定めたものです。日本に入国・在留する外国人は、原則としていずれかの在留資格を有している必要があります。
よく「ビザ」という言葉が使われますが、厳密には「在留資格」と「ビザ(査証)」は異なります。
- ビザ(査証):外国人が日本に入国するために、自国または居住地の日本大使館・領事館で取得する「入国推薦状」のようなもの。入国審査の際に必要となります。
- 在留資格:日本に入国後、行うことができる活動内容や在留期間を定めた「滞在許可」のようなもの。出入国在留管理庁が管轄しています。
一度日本に入国し、在留資格が与えられれば、その在留資格の範囲内で活動することができます。
2. 在留資格の種類と全一覧
日本の在留資格は、大きく分けて以下の3つのカテゴリーに分類されます。
- 活動の種類に応じた在留資格:就労系、非就労系など、日本で行う活動内容によって区分されます。
- 身分・地位に基づく在留資格:日本人の配偶者、永住者など、特定の身分や地位に基づくもの。
- 特定の活動に限定される在留資格:特定技能、特定活動など、個別の状況に応じて認められるもの。
以下に、主要な在留資格を一覧でご紹介します。
2.1. 就労が可能な在留資格(活動の種類に基づくもの)
これらの在留資格を持つ外国人は、原則としてその在留資格で認められた範囲内での就労が可能です。
在留資格名 | 主な活動内容 | 補足・対象者(例) |
---|---|---|
外交 | 外交団の構成員などとしての活動 | 外国の政府の外交官やその家族 |
公用 | 外国の政府の公務員などとしての活動 | 外国の政府の公務員、国際機関の職員など |
教授 | 大学等での研究、教育活動 | 大学教授、助教、研究員など |
芸術 | 芸術活動(作曲、絵画、文学など) | 作曲家、画家、著述家、写真家など |
宗教 | 外国の宗教団体から派遣される宗教家としての活動 | 宗教家、宣教師など |
報道 | 報道機関の記者、カメラマンなどとしての活動 | 新聞記者、雑誌記者、報道カメラマン、テレビ局のディレクターなど |
高度専門職 | 高度な専門的知識・技術を有する者としての活動 | 学術研究活動、専門・技術活動、経営・管理活動を行う者で、ポイント計算により一定の点数以上を得る者。優遇措置が多い。詳細はこちら:高度専門職ビザのすべて:優遇制度、ポイント計算、J-Skipまで |
経営・管理 | 事業の経営、管理活動 | 会社の代表取締役、役員、事業の管理者など。日本の会社を設立・経営する場合や、既存の会社で役員となる場合。 |
法律・会計業務 | 法律、会計業務 | 弁護士、公認会計士、税理士など、日本の法律に基づく資格を有する者 |
医療 | 医療に関する業務 | 医師、歯科医師、薬剤師、看護師など、日本の医療関連資格を有する者 |
研究 | 研究機関での研究活動 | 研究機関の研究者、研究員など |
教育 | 小中学校、高等学校などでの教育活動 | 語学学校の教員、インターナショナルスクールの教員など。大学での教育活動は「教授」に該当。 |
技術・人文知識・国際業務 | 技術、人文科学の知識を要する業務、外国文化を背景とする思考・感受性を要する業務 | プログラマー、システムエンジニア、機械設計者、通訳、翻訳、デザイナー、マーケティング担当者、語学教師(語学学校以外)など。日本で最も一般的な就労ビザ。詳細はこちら:これ一本で完結!「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得の教科書 |
企業内転勤 | 日本にある事業所に転勤して、技術、人文知識、国際業務を行う活動 | 外国の親会社、子会社、関連会社から日本の事業所に転勤する場合。同一企業グループ内での異動が対象。 |
興行 | 演劇、演芸、演奏、スポーツなどの興行活動 | 歌手、俳優、ダンサー、プロスポーツ選手など |
技能 | 産業上の特殊な技能を要する業務 | 外国料理の調理師、パイロット、スポーツ指導者、航空機の整備士、宝石加工士など。熟練した技能が求められる。 |
特定技能 | 特定産業分野における相当程度の知識または経験を要する業務 | 人手不足が深刻な16分野(介護、農業、漁業、建設、宿泊、飲食料品製造業など)で、一定の技能水準と日本語能力を持つ外国人を受け入れる制度。詳細はこちら:人手不足解消の切り札!特定技能ビザのすべて – 対象分野・取得条件・メリットを徹底解説 |
技能実習 | 技能、技術または知識の習得をする活動 | 開発途上国への技能移転を目的とした制度。技能実習生として来日し、日本の企業で実践的な技能を習得する。原則として就労はできないが、実習の一環として報酬を得ることはできる。 |
2.2. 就労が原則不可能な在留資格(活動の種類に基づくもの)
これらの在留資格は、原則として就労が認められていません。就労を希望する場合は、別途「資格外活動許可」を取得する必要があります。
在留資格名 | 主な活動内容 | 補足・対象者(例) |
---|---|---|
文化活動 | 学術上または芸術上の活動、無報酬の学術研究など | 日本文化の研究、語学研修、ボランティア活動など。 |
短期滞在 | 観光、親族訪問、商用など、短期間の滞在 | 観光客、友人・親族訪問者、短期商用目的の渡航者など。90日、30日、15日などの滞在期間が設定される。 |
留学 | 大学、専門学校、日本語学校などでの教育を受ける活動 | 日本の教育機関に入学する留学生。原則として週28時間以内のアルバイトが可能(資格外活動許可が必要)。 |
研修 | 日本の公私の機関で技術、技能または知識を修得する活動 | 企業の研修生、自治体などの研修プログラム参加者。 |
家族滞在 | 上記の就労系在留資格を持つ外国人の扶養を受ける配偶者や子 | 「教授」「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持つ外国人の家族。原則として週28時間以内のアルバイトが可能(資格外活動許可が必要)。 |
2.3. 身分・地位に基づく在留資格
これらの在留資格は、活動内容に制限がなく、原則としてどのような活動でも行うことができます(就労も制限なく可能)。
在留資格名 | 主な活動内容・対象者 | 補足 |
---|---|---|
永住者 | 法務大臣から永住許可を受けた者 | 日本に永住する意思と経済的基盤が認められた外国人。在留期間の更新が不要で、活動の制限もほとんどない。最も安定した在留資格。 |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者、日本人の子、特別養子 | 日本人と結婚した外国人、日本人の実子、特別養子など。離婚・死別後も一定期間は在留可能。 |
永住者の配偶者等 | 永住者、特別永住者の配偶者、永住者の子 | 永住者と結婚した外国人、永住者の実子など。 |
定住者 | 法務大臣が特別な理由を考慮し、在留を許可する者 | 日系3世、中国残留邦人の子、難民認定を受けた者など、特別な事情がある場合に付与される。 |
2.4. 特定の活動に限定される在留資格
在留資格名 | 主な活動内容・対象者 | 補足 |
---|---|---|
特定活動 | 他の在留資格に該当しない、個別の活動 | ワーキングホリデー、インターンシップ、経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士、一部の留学生の就職活動など、非常に多岐にわたる。法務大臣が個別に指定する活動。 |
3. 在留資格取得のための注意点とよくある質問(専門家からのアドバイス)
在留資格の取得は、提出書類の準備、申請理由書の作成など、専門的な知識と経験を要するプロセスです。ここでは、注意点とよくある質問をまとめました。
3.1. 在留資格取得のための注意点
- 申請は余裕を持って行う:在留期間の更新や変更は、期間満了の3ヶ月前から申請可能です。ギリギリの申請は、審査に時間がかかった場合に不法滞在となるリスクがあります。
- 必要書類を正確に準備する:書類の不備は審査の遅延や不許可につながります。最新の必要書類リストを確認し、漏れなく準備しましょう。
- 申請理由書を丁寧に作成する:申請理由書は、なぜその在留資格が必要なのか、活動内容や経歴などを明確に伝える重要な書類です。説得力のある内容を心がけましょう。
- 虚偽の申請は絶対にしない:虚偽の事実を記載したり、偽造書類を提出したりすることは、不許可となるだけでなく、今後の日本への入国が困難になるなど、重大なペナルティが課せられます。
- 専門家への相談も検討する:複雑なケースや、自身での申請に不安がある場合は、出入国在留管理庁への申請取次ぎが認められている行政書士や弁護士に相談することをお勧めします。彼らは最新の情報と専門知識を持っており、スムーズな手続きをサポートしてくれます。
3.2. よくある質問 (FAQ)
Q1. 在留資格の申請はどこで行いますか? A1. 居住地を管轄する地方出入国在留管理局または出張所で行います。
Q2. 在留資格の変更はできますか? A2. はい、できます。現在の在留資格で認められている活動以外の活動を行いたい場合や、状況が変化した場合は、在留資格変更許可申請を行う必要があります。例えば、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への変更などが一般的です。
Q3. 在留期間の更新はできますか? A3. はい、できます。在留期間満了前に、在留期間更新許可申請を行うことで、引き続き日本に在留することができます。更新には、現在の在留資格の活動を継続していることや、納税状況、犯罪歴など、様々な要件が審査されます。
Q4. 不許可になった場合、どうすればいいですか? A4. 不許可の通知を受けた場合、まずはその理由をしっかりと確認しましょう。理由によっては、再度申請することも可能です。不許可理由の解消や、追加資料の提出によって許可されるケースもあります。この場合も、専門家(行政書士、弁護士)に相談し、適切なアドバイスを受けることを強くお勧めします。
Q5. 特定技能ビザと技能実習ビザの違いは何ですか? A5. 「特定技能」は人手不足解消を目的とした即戦力となる外国人の受け入れ制度であり、一定の技能と日本語能力が求められます。一方、「技能実習」は開発途上国への技能移転を目的とした制度であり、原則として就労ではなく技能習得が主眼です。詳細は、【徹底比較】特定技能 vs 技能実習:外国人材活用の最適な選択は?の記事もご参照ください。
4. まとめ:あなたに最適な在留資格を見つけるために
日本の在留資格は、その種類や要件が複雑であり、自身の状況に合ったものを正確に理解することが重要です。この記事が、在留資格に関するあなたの疑問を解消し、日本での滞在をスムーズに進める一助となれば幸いです。
最終的な判断や具体的な手続きに関しては、必ず最新の情報を出入国在留管理庁のウェブサイトで確認するか、信頼できる専門家にご相談ください。
参考資料・外部リンク
- 出入国在留管理庁:https://www.moj.go.jp/isa/
- 外務省:https://www.mofa.go.jp/mofaj/
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |