あなたに最適な就労ビザは?日本で働くための種類と申請要件をプロが徹底解説
目次
はじめに:日本で働くために必要な「就労ビザ」とは?
「日本で働きたい!」その夢を叶えるために不可欠なのが「就労ビザ」です。就労ビザとは、外国人が日本で働くことを許可された場合に付与される在留資格の総称を指します。これを取得せずに日本国内で就労した場合、不法就労として厳しく罰せられ、強制退去や再入国拒否の対象となる可能性があります。
本記事では、2025年6月現在の最新情報に基づき、就労ビザの種類から申請要件、必要書類、そして申請の流れまでを徹底的に解説します。日本でのキャリアをスムーズにスタートさせるための重要なポイントを網羅していますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 就労ビザの種類を理解しよう!あなたの仕事に合ったビザは?
日本で取得できる就労ビザ(在留資格)は多岐にわたります。あなたのスキルや職種、学歴によって取得できるビザの種類が異なりますので、まずはご自身に合ったビザを見つけることが重要です。
ここでは、主要な就労ビザの種類とその対象となる職種をご紹介します。
1-1. 技術・人文知識・国際業務ビザ(最も一般的)
日本の企業で働く外国人の多くが取得しているのがこのビザです。
- 対象職種例: ITエンジニア、経理、営業、通訳・翻訳、デザイナー、マーケター、大学職員など、専門的な知識や技術、または外国人特有の感性を活かす業務。
- 主な要件:
- 従事しようとする業務が、大学等で専攻した内容や、これまでの実務経験(原則10年以上)と関連していること。
- 日本人と同等以上の報酬を得ること。
1-2. 技能ビザ
特定の分野における熟練した技能を持つ外国人向けのビザです。
- 対象職種例: 料理人(中華、フランス料理など)、スポーツ指導者、航空機の操縦士、貴金属加工職人など。
- 主な要件: 従事しようとする業務に関連する10年以上の実務経験(一部職種は例外あり)があること。
1-3. 特定技能ビザ(2019年創設の新しい在留資格)
深刻な人手不足にある特定の産業分野で働く外国人向けのビザです。
- 対象分野例: 介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業など。
- 主な要件:
- 特定技能評価試験(技能水準と日本語能力水準を確認する試験)に合格していること、または技能実習2号を良好に修了していること。
- 受け入れ企業が、特定技能外国人を適切に受け入れる体制を整えていること。
- 関連リンク: 特定技能ビザについてより詳しく知りたい方は、人手不足解消の切り札!特定技能ビザのすべて – 対象分野・取得条件・メリットを徹底解説 の記事もご参照ください。
1-4. 高度専門職ビザ(優遇措置あり)
学術研究、専門・技術、経営・管理の3つの分野において、高い専門性を持つ外国人向けのビザです。ポイント制を採用しており、ポイントが一定基準を超えると取得できます。
- メリット:
- 在留期間が「5年」または「無期限」に設定される。
- 永住許可要件が緩和される(最短1年で申請可能)。
- 配偶者の就労が認められる。
- 親の帯同や家事使用人の雇用が可能になるなどの優遇措置があります。
- 主な要件: 法務省令で定める基準(学歴、職歴、年収など)に基づいて計算されるポイントが70点以上であること。
1-5. 企業内転勤ビザ
日本の企業で働く外国人従業員が、海外の本社・支店などから日本の事業所に転勤してくる場合に適用されるビザです。
- 対象職種例: 本社の役員、管理職、技術者、専門職など。
- 主な要件:
- 転勤前の企業で1年以上、同じ業務に従事していること。
- 日本での業務が、「技術・人文知識・国際業務」ビザの対象となるような専門性を持つこと。
1-6. 興行ビザ
演劇、演芸、歌謡、舞踊、演奏、スポーツ等の興行活動を行う外国人向けのビザです。
- 対象職種例: 歌手、俳優、プロスポーツ選手、ダンサーなど。
- 主な要件: 活動の内容、期間、報酬、受け入れ機関の状況などが審査されます。
この他にも、法律・会計業務、医療、研究、教育、芸術などの特定の職種に特化したビザが存在します。ご自身の専門性や希望する職種に合わせて、どのビザが最適かを確認しましょう。
2. 就労ビザ申請の共通要件と各ビザ固有の要件
就労ビザの申請には、全てのビザに共通する基本的な要件と、各ビザ固有の要件があります。これらの要件を満たすことが、ビザ取得の鍵となります。
2-1. 共通要件(原則として全ての就労ビザに共通)
- 申請人の適格性:
- 学歴・職歴: 従事しようとする業務内容と、申請人の学歴(大学卒業など)や職歴が関連していること。
- 健康状態: 日本での就労に支障がない健康状態であること。
- 犯罪歴: 日本国内外において、犯罪歴がないこと。
- 素行の善良さ: 公序良俗に反する行為がないこと。
- 雇用契約の存在:
- 日本の企業と正式な雇用契約が締結されていること。口頭での約束ではなく、書面による契約書が必要です。
- 安定した事業活動を行う企業であること:
- 申請人を受け入れる企業が、適法かつ継続的に事業活動を行っていること。企業規模、経営状況(財務状況)が審査されます。
- 日本人と同等以上の給与水準:
- 申請人が受け取る報酬が、同等の業務を行う日本人従業員が受け取る報酬と同等以上であること。生活に困らない程度の安定した生計を維持できることも求められます。
- 在留状況が良好であること:
- 過去に日本での在留期間中に問題行動(不法滞在、オーバーステイ、入管法違反など)がないこと。
2-2. 各ビザ固有の要件(具体的な例)
前述の共通要件に加え、選択する就労ビザによってさらに具体的な要件が加わります。
- 「技術・人文知識・国際業務」ビザの専門性要件:
- 従事する業務に必要な「専門性」が求められます。具体的には、大卒以上の学歴、または関連する分野での10年以上の実務経験などがこれに該当します。
- 「技能」ビザの熟練した技能要件:
- 原則として、従事する業務に関連する10年以上の実務経験が必要です。職種によっては、公的な資格証明書や、国際的な大会での実績などが求められる場合もあります。
- 「特定技能」ビザの技能試験・日本語能力試験要件:
- 原則として、各分野の特定技能評価試験と日本語能力試験(N4レベル相当以上)に合格していることが求められます。ただし、技能実習2号を良好に修了した場合は、これらの試験が免除されます。
- 「高度専門職」ビザのポイント制:
- 学歴、職歴、年収、研究実績、日本語能力などの項目ごとにポイントが設定されており、合計70点以上であることが要件となります。法務省のウェブサイトでポイント計算表が公開されていますので、ご自身の状況でシミュレーションしてみましょう。
3. 就労ビザ申請に必要な書類を徹底リストアップ
就労ビザ申請には、申請人本人と、申請人を受け入れる雇用主(企業)双方から多数の書類を提出する必要があります。書類に不備があると審査が遅れたり、不許可になったりする原因となるため、正確かつ漏れなく準備することが重要です。
3-1. 申請人(外国人本人)が準備する書類
- 在留資格認定証明書交付申請書(または在留資格変更許可申請書):出入国在留管理庁のウェブサイトからダウンロードできます。
- 写真:縦4cm×横3cm、申請前3ヶ月以内に撮影、無帽、無背景、正面、鮮明なもの。
- パスポートのコピー:顔写真のページ、査証欄、日本への出入国スタンプのページなど。
- 在留カードのコピー(日本に滞在している場合)
- 履歴書
- 最終学歴の卒業証明書、成績証明書
- 日本語以外の言語で発行された場合は、日本語訳を添付する必要があります。
- 職務経歴書
- これまでの職務内容、期間、役職などを具体的に記載します。
- 技能や資格を証明する書類(該当する場合)
- 語学能力試験の合格証明書(JLPT、TOEFLなど)
- IT関連資格、国家資格などの合格証明書
- 特定の技能を証明する公的な証明書
3-2. 雇用主(日本企業)が準備する書類
- 法人登記簿謄本(発行後3ヶ月以内)
- 決算書類:損益計算書、貸借対照表など(直近1年または2年分)。企業の安定性・継続性を示すために重要です。
- 会社案内、事業内容の説明資料:パンフレット、ウェブサイトの写しなど。
- 雇用契約書(写し):申請人との間で締結された正式な雇用契約書。
- 労働条件通知書(写し):労働時間、給与、休日などの労働条件が明記されたもの。
- 雇用理由書:申請人を受け入れる必要性、申請人が行う業務内容、その業務に申請人の学歴・職歴がどのように活かされるかなどを具体的に説明する書類。
- 源泉徴収票(直近1年分):すでに日本で就労している企業の場合。
- 従業員リスト
- 事務所の賃貸借契約書(写し) など、事業所の実態を証明する書類
- その他、事業の安定性・継続性を示す書類:許認可証の写し、事業計画書など。
【重要】状況に応じた追加書類の可能性 上記のリストは一般的なものであり、申請人の状況や受け入れ企業の状況、申請するビザの種類によっては、上記以外の書類の提出が求められる場合があります。例えば、転職に伴う申請の場合は、前職の退職証明書なども必要になることがあります。 ご自身のケースで何が必要か不明な場合は、必ず出入国在留管理庁のウェブサイトを確認するか、専門家にご相談ください。
4. 就労ビザ申請の流れと審査期間
就労ビザの申請は、日本に入国する前に行う「在留資格認定証明書交付申請」と、すでに日本に滞在している場合に行う「在留資格変更許可申請」の2つのパターンがあります。
4-1. 在留資格認定証明書交付申請(日本に入国する場合)
海外から日本へ入国して就労する場合の一般的な流れです。
- 雇用契約の締結: 日本の企業と雇用契約を締結します。
- 在留資格認定証明書交付申請: 雇用主または代理人(行政書士など)が、申請人の居住地を管轄する出入国在留管理庁に申請書類を提出します。申請人本人が海外にいるため、原則として雇用主側が手続きを代行します。
- 審査: 出入国在留管理庁にて書類審査が行われます。必要に応じて追加書類の提出を求められることがあります。
- 在留資格認定証明書の交付: 審査に通ると「在留資格認定証明書」が発行されます。
- 査証(ビザ)の申請: 認定証明書を申請人本人に郵送し、申請人は母国にある日本の大使館または総領事館で、パスポートと共にこの認定証明書を提出し、査証(ビザ)の申請を行います。
- 日本への入国: 査証が発給されたら、日本へ入国し、空港で在留カードが交付されます。
- 審査期間の目安: 一般的に1ヶ月~3ヶ月程度とされていますが、申請時期や内容、追加書類の有無により変動します。特に繁忙期は長くなる傾向があります。
4-2. 在留資格変更許可申請(すでに日本に滞在している場合)
すでに「留学」や「家族滞在」などの在留資格で日本に滞在しており、日本国内で就職が決まった場合の流れです。
- 雇用契約の締結: 日本の企業と雇用契約を締結します。
- 在留資格変更許可申請: 申請人本人または代理人(行政書士など)が、現在の居住地を管轄する出入国在留管理庁に申請書類を提出します。
- 審査: 出入国在留管理庁にて審査が行われます。
- 許可: 審査に通ると、新しい在留資格が記載された在留カードが交付されます。現在の在留カードを返納し、新しい在留カードを受け取ります。
- 審査期間の目安: 在留資格認定証明書交付申請と同様に、1ヶ月~3ヶ月程度が目安です。
4-3. 不許可になった場合の対処法
万が一、ビザ申請が不許可になった場合でも、諦める必要はありません。不許可になった理由を確認し、再申請を検討することが可能です。
- 不許可理由の確認: まずは出入国在留管理庁に不許可理由を問い合わせ、具体的にどの要件が満たされなかったのかを確認します。
- 再申請の検討: 不許可理由を解消できる場合は、必要書類を再検討し、改善した上で再度申請することができます。ただし、期間や回数に制限がある場合もありますので、専門家(行政書士など)に相談することをお勧めします。
5. よくある質問とトラブルシューティング
就労ビザ申請に関してよくある疑問や、トラブル時の対処法についてまとめました。
5-1. ビザ申請中に転職が決まったらどうなる?
申請中のビザの種類や進捗状況によりますが、原則として、転職先の企業で改めて申請手続きを行う必要があります。元の申請を取り下げ、新しい雇用主のもとで再度「在留資格認定証明書交付申請」または「在留資格変更許可申請」を行うことになります。
5-2. 不法滞在歴があると申請は難しい?
過去に不法滞在やオーバーステイの経験がある場合、原則として就労ビザの取得は非常に困難になります。入管法違反歴は厳しく審査され、特に悪質な場合は上陸拒否期間が設けられます。しかし、個別の事情によっては再申請の可能性がゼロではないため、まずは専門家にご相談ください。
5-3. 家族を日本に呼び寄せるには?
就労ビザを取得した外国人の方の配偶者や子供は、「家族滞在ビザ」を申請することで日本に滞在することができます。家族滞在ビザの申請には、世帯主(就労ビザ保持者)の経済力や扶養能力が審査されます。
- 関連リンク: 家族呼び寄せに関する詳細は、「家族を日本に呼びたい」を叶える!家族滞在ビザ申請で失敗しないための完全ガイドをご覧ください。
5-4. 申請を専門家に依頼するメリット・デメリット
メリット:
- 時間と労力の節約: 煩雑な書類作成や手続きを代行してもらえるため、本業に集中できます。
- 不許可リスクの軽減: 専門家は法改正や最新の審査傾向を把握しており、不備なく申請書類を作成するため、不許可のリスクを低減できます。
- 適切なアドバイス: 個別の状況に応じた最適なビザの種類や申請戦略についてアドバイスが受けられます。
デメリット:
- 費用: 専門家への依頼には費用が発生します。
- 情報共有: 専門家との密な情報共有が必要となります。
6. まとめ:日本でのキャリアをスタートさせるために
就労ビザの取得は、日本での新たなキャリアをスタートさせるための第一歩です。この記事では、就労ビザの種類、申請要件、必要書類、そして申請の流れについて詳しく解説しました。
- 計画的な準備: 申請には多くの書類と時間が必要です。余裕を持って準備を進めましょう。
- 最新情報の確認: ビザに関する情報は常に更新される可能性があります。申請時には必ず出入国在留管理庁の公式ウェブサイトで最新の情報を確認してください。
- 困った時の相談先: 複雑なケースや不安な点がある場合は、迷わず外国人雇用に強い行政書士などの専門家にご相談ください。専門家は、あなたの日本での夢の実現を力強くサポートしてくれるでしょう。
あなたの日本での挑戦が、実り多きものとなることを心より応援しています!
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |