1,婚姻手続は日本とトルコの両国でする必要がありますか?

 配偶者ビザは、日本国法及びミャンマー仏教徒法や特別婚姻法の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とミャンマー人が国際結婚をする為には、日本国民法及びミャンマー法のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。

 ミャンマーの婚姻は、仏教徒同士の婚姻か仏教徒と非仏教徒との間の婚姻かによって規律する法律が異なってきます。仏教徒同士の婚姻の場合は、婚姻年齢を特に定めていません。夫が仏教徒で妻が非仏教徒の場合は、男性18歳以上女性15歳以上と定められています。21位歳以下の場合は両親又は保護者の同意が必要となります。妻が仏教徒で夫が非仏教徒の場合は、男女双方とも18歳以上と定められています。女性が20歳以下の場合は、両親又は保護者の同意が必要となります。日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。また、日本の民法は女性のみ再婚禁止期間(100日)を定めています。他方、ミャンマー法は、再婚禁止期間については特に定めはありません。

 日本の婚姻手続とミャンマー婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。ミャンマー人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。逆に日本人がミャンマーに在住しているのであれば、先にミャンマーで婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。

 上記で検討した通り、ミャンマーでは結婚当事者の宗教によって、適用される婚姻に関する法律や手続きが異なってきます。本稿では、日本人と結婚するミャンマー人配偶者が、ミャンマー人の多くが信仰する仏教徒であることを前提に、以下検討していきます。

2,先に日本で結婚する場合はどうしますか?

 先に日本で婚姻手続を行う場合は以下のような流れになります。

(1)手順1 ミャンマー人の独身証明書とファミリーリストの取得

 まずは、ミャンマーの地方裁判所で独身証明書とファミリーリスト(家族構成一覧表)を取得します。独身証明書とファミリーリストは、ミャンマーの裁判所が指定する公証弁護士が作成します。公証弁護士は、ミャンマーの地方裁判所に在籍しています。

 各書類は、ミャンマー外務省で認証を受ける必要があります。また、ビルマ語の書類には日本語翻訳が必要になります。

(2)手順2 日本の婚姻手続

 ミャンマー人の独身証明書とファミリーリストを取得したら、日本の市区町村役場に以下の書類を提出して婚姻手続と行います。

「日本人の必要書類」

①婚姻届
②戸籍謄本
③身分証明書(運転免許証、パスポート等)

「ミャンマー人の必要書類」

①ファミリーリスト(日本語翻訳文付き)
②独身証明書(日本語翻訳文付き)
③パスポート(在外の場合はコピーでも可)

(3)手順3 ミャンマーへの届出

 日本での婚姻手続が完了したら、ミャンマーへの届出を行います。もっとも、ミャンマーへの婚姻報告を行うことはできますが、報告は必須となるわけではありません。

 多くの外国の場合は、日本に駐在する大使館で報告を行うことができます。しかし、ミャンマーの場合は、駐日ミャンマー大使館で婚姻報告を行うことができません。ミャンマーへの婚姻報告を希望する場合は、ミャンマー本国の裁判所で手続きを行う必要があります。

3,先にミャンマーで結婚する場合はどうしますか?

 先にミャンマーで婚姻手続を行い場合は、以下のような流れになります。

(1)手順1 日本人の婚姻要件具備証明書の取得

 まずは、日本の法務局又は在ミャンマー日本国大使館で、日本人の婚姻要件具備証明書を取得します。ミャンマーの婚姻手続で日本人の男性の場合は、婚姻要件具備証明書を求められないこともありますが、女性の場合は再婚禁止期間があるため、必ず求められます。

(2)手順2 ミャンマーの裁判所で婚姻誓約書に署名

 「結婚証明書」を取得するためには、ミャンマーの地方裁判所で婚姻誓約書の交換を行う儀式が必要になります。婚姻誓約書を日本人とミャンマー人が各々1通作成し交換します。婚姻誓約書の作成には、ミャンマーの公証弁護士のサインが必要になります。婚姻誓約書はミャンマーで販売されています。婚姻誓約書の交換が終わったら、裁判官が婚姻誓約書に署名し、「結婚証明書」が発行されます。

「必要書類」

①婚姻誓約書 2通
②ミャンマー人の国民登録証
③ミャンマーの公証弁護士が指示した書類
④日本人のパスポート
⑤日本人の婚姻要件具備証明書(ビルマ語翻訳文付き)

(3)手順3 日本の婚姻手続

 ミャンマーの婚姻手続が完了したら、日本の市区町村役場又は在ミャンマー日本国大使館で日本の婚姻手続を行います。

「日本人の必要書類」

①婚姻届
②戸籍謄本
③パスポートとその写し

「ミャンマー人の必要書類」

①婚姻証明書とその写し(日本語翻訳文付き)
②国民登録証とその写し(日本語翻訳文付き)
③パスポートとその写し ④住民票

4、ミャンマー人との国際結婚の注意点は何ですか?

(1)駐日ミャンマー大使館では必要書類を取得できない

 駐日ミャンマー大使館では、婚姻要件具備証明書を取得することができません。そもそも、ミャンマーには婚姻要件具備証明書がありません。これに代わるものが、独身証明書とファミリーリストになります。

多くの国の場合は、駐日大使館で婚姻要件具備証明書を取得することができます。しかし、ミャンマーの場合は、駐日ミャンマー大使館で独身証明書とファミリーリストを取得することができません。ミャンマー本国の地方裁判所で、公証弁護士に作成してもらう必要があります。

(2)翻訳が困難

 国際結婚の場合は、各言語で作成されている証明書類は、他の国の言語の翻訳文を添付して提出する必要があります。ミャンマーの場合は、日本語とビルマ語間での翻訳文が必要になります。日本語とビルマ語の間の翻訳の場合は、翻訳者が少なく見つけるのに苦労します。また、他の言語の翻訳と比べても料金が高く設定されています。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法