特定技能1号ビザを「介護」分野で取得する為の要件は何でしょうか?

1,特定技能1号「介護」とは、どんな制度でしょうか?

現在、介護分野においては人手不足が深刻化しています。特定技能1号は、このような人手不足に対応するため、一定の専門性・技術性を持った外国人を受け入れることによって、介護分野の存続・発展を図り、日本経済や社会基盤の持続可能性を維持することを目的としています。

特定技能分野別運用要綱(介護)930004529.pdf (moj.go.jp)

2,介護分野での1号特定技能外国人の受入見込数はどの程度でしょうか?

 介護分野では、30万人の人手不足が推計されています。この人手不足に対応するため、国内介護人材確保に向けて総合的な取組がなされています。この取り組みの結果、国内介護人材は対前年度比で平均6万人程度増加しています。しかし、近年介護人材の増加数が減少傾向にあります。また、将来の生産年齢人口が減少することが見込まれる一方で、高齢化社会が進展する状況で、これまでと同様に年平均6万人増加という介護人材の国内人材の国内確保を維持していくことは困難となっています。この様な背景から、介護分野での1号特定技能外国人の受入見込数は最大6万人とされ、これを上限として運用されています。

 このような人手不足状況において、利用者の心身の状況に応じた介護サービスを提供する体制を確保するためには、一定の専門性を持ち利用者が安心してサービスを受けることができる1号特定技能外国人を受入れることが、我が国の進展する高齢化社会に対応するためには不可欠な状況となっています。

3,特定技能「介護」では、どんな業務に従事することができるでしょうか?

 特定技能「介護」では、以下の主たる業務と関連業務に従事することが認められています。

①主たる業務

 特定技能「介護」では、身体介護と支援業務に従事することが認められます。身体介護には、施設利用者の心身の状態に応じた食事や入浴、排せつの介助などが挙げられます。支援業務には、身体介護に伴うレクリエーションの実施や機能訓練の補助などが挙げられます。

②関連業務

 関連業務のみに専ら従事することは認められません。もっとも、主たる業務と合わせて付随的に従事する場合には、関連業務に従事することが認められます。関連業務の例としては、お知らせ等の掲示物の管理や物品の補充、おむつの洗濯などが挙げられます。

※注意点

①訪問系サービスは対象外となります。

②1号特定技能外国人の就業場所は、技能実習と同様に介護の業務の実施が一般的に想定される範囲である必要があります。具体的には、介護福祉士国家試験の受験資格要件におい「介護」の実務経験として認められる施設となります。

③特定技能「介護」は直接雇用に限ります。派遣形態で雇用することは出来ません。

4,特定技能「介護」で外国人を雇用するための要件は何でしょか?

 介護分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、以下に定める試験等に合格した者又は介護分野の第2号技能実習を修了することが必要です。

(1)技能水準(試験区分)

ア「介護技能評価試験」

 当該試験は、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できるレベルであることを認定するものであり、この試験の合格者は、介護分野において、一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有する者と認められます。

(評価方法)

試験言語:現地語

実施主体:厚生労働省が認定した機関

実施方法:コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式

イ アに掲げる試験の合格と同等以上の水準と認められるもの

①「介護福祉士養成施設修了」

 介護福祉士養成課程の修了者は、介護分野において、一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有するものと認められることから、「介護技能評価試験」の合格と同等以上の水準を有するものと評価されます。

②「EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)」

 4年間にわたりEPA介護福祉士候補者として就労・研修に適切に従事した者は、介護分野において、一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有するものと認められることから、「介護技能評価試験」の合格と同等以上の水準を有するものと評価されます。

(2)日本語能力水準

 ・「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」

 ・「介護日本語評価試験」

 上記日本語試験(2種)に合格することが必要です。

 特定技能介護の場合、「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」の試験により、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力を有することを確認の上、さらに「介護日本語評価試験」を通じ、介護現場で介護業務に従事する上で支障のない程度の水準の日本語能力を確認します。

 なお、「介護福祉士養成施設修了」と「EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)」した外国人は、上記日本語試験(2種)と同等以上の水準を有するものとし、日本語の試験は免除されます。

5,受入機関に対して特に課す条件は何でしょうか?

 特定技能で受入れを行う企業には、様々な条件が定められております。ここでは他の分野と異なり、特定技能「介護分野」において、特に課されている条件について説明させて頂きます。

(1)厚労省が組織する協議会に参加し、必要な協力を行うこと

 厚生労働省は、介護分野の特定技能所属機関、特定技能所属機関を構成員とする団体その他の関係者により構成される協議会を組織します。協議会は、その構成員が相互の連絡を図ることにより、外国人の適正な受入れ及び外国人の保護に有用な情報を共有し、その構成員の連携の緊密化を図ることを目的としています。また、特定技能所属機関は以下の事項について必要な協力を行う必要があります。

 ①特定技能外国人の受入れに係る状況の全体的な把握

 ②問題発生時の対応

 ③法令順守の啓発

 ④特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援

 ⑤就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析等

(2)厚労省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと

 特定技能所属機関は、厚生労働省又はその委託を受けた者が行う一般的な指導、報告の徴収、資料の要求、意見の聴取又は現地調査等に対し、必要な協力を行うことが求められます。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法