教育ビザとインターナショナルスクール|取得可否・必要書類・代替ビザを解説

はじめに

日本で外国人が働くためには、活動内容に応じた「在留資格(ビザ)」が必要です。その中でも、学校教育に関連する職務に従事する外国人に与えられるのが教育ビザ(在留資格「教育」)です。特に近年は、外国人の子どもが通うインターナショナルスクールや、英語教育を重視する教育機関が増えています。そのため、インターナショナルスクールで働く外国人教師が教育ビザを取得できるのかどうかは、多くの方が関心を寄せるテーマです。

本記事では、インターナショナルスクールにおける教育ビザの適用可否、取得要件、申請手続き、そして注意点について、専門家の視点から詳しく解説します。


1.教育ビザ(在留資格「教育」)とは?

教育ビザの概要

教育ビザは、「教育」在留資格と呼ばれ、以下の活動が認められています。

  • 小学校、中学校、高等学校などの教育機関での語学教育やその他の教科教育
  • 各種学校や特別支援学校での教育活動
  • 教育委員会や公的教育機関に所属して指導を行う活動

対象職種

  • 語学教師(英語、フランス語、中国語など)
  • その他の科目教師(数学、理科、社会など)
  • 一部のケースで、インターナショナルスクールの教師

参考:出入国在留管理庁:在留資格「教育」


2.インターナショナルスクールでも教育ビザは取れるのか?

インターナショナルスクールの位置づけ

インターナショナルスクールは、日本の「学校教育法」に基づく正規の学校として認可されている場合と、各種学校や無認可の教育機関として運営されている場合があります。この認可区分によって、教育ビザの取得可否が変わってきます。

教育ビザが認められるケース

  • 学校教育法第1条に定める学校(いわゆる「1条校」)として認可されているインターナショナルスクール
  • 「各種学校」として都道府県知事の認可を受けているインターナショナルスクール

これらのケースでは、教育ビザが認められる可能性が高いです。

教育ビザが難しいケース

  • 無認可のインターナショナルスクールやプリスクールの場合
    この場合は「教育」ビザの対象外となることが多く、代わりに**「技術・人文知識・国際業務」ビザ**が適用されることが一般的です。

関連記事:在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)」とは?専門性・要件・注意点をわかりやすく解説


3.教育ビザ取得の要件

教育ビザを取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。

学歴・資格要件

  • 大学を卒業して学士の学位を有すること
  • または、教員免許状などの資格を持っていること
  • 語学教育の場合は、母語をその言語とすることが評価対象となるケースもあり

勤務先の要件

  • 法的に認可された教育機関(小学校、中学校、高等学校、各種学校など)
  • 安定した経営基盤を持ち、継続的に雇用契約を結べること

雇用契約要件

  • フルタイムまたは安定した雇用形態であること
  • 給与水準が日本人と同等以上であること(生活維持可能水準)

4.インターナショナルスクールで働く場合のビザ選択

1.教育ビザが使える場合

  • 1条校として認められたインターナショナルスクール
  • 各種学校として認可を受けているスクール

2.教育ビザ以外が必要な場合

  • 無認可のインターナショナルスクールやプリスクール → 技術・人文知識・国際業務ビザ
  • 幼稚園・保育園での教育活動 → **「教育」ではなく「技術・人文知識・国際業務」**が選択肢になるケースも

5.教育ビザの申請手続き

必要書類(一例)

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 雇用契約書または採用内定通知書
  • 学歴証明書(大学卒業証明書・成績証明書)
  • 教員免許状(あれば有利)
  • 勤務先学校の認可証明やパンフレット
  • 住民票やパスポート、写真など

申請先

  • 勤務先所在地を管轄する出入国在留管理局

標準的な審査期間

  • 約1〜3か月

参考リンク:
出入国在留管理庁|在留資格認定証明書交付申請


6.教育ビザ申請時の注意点

  1. 勤務先が認可校か確認:教育ビザが使えるかどうかは「学校の認可区分」に依存します。
  2. 学歴や資格の裏付け:大学卒業証明書や資格証明書を必ず準備。
  3. 給与水準:日本人と同等以上の給与であることが求められるため、雇用契約内容を確認。
  4. 在留資格の誤申請に注意:本来は「教育」ビザが使えない学校なのに申請すると、不許可となるリスクがあります。

7.よくある質問(Q&A)

Q1. インターナショナルスクールで働く場合、必ず教育ビザが必要ですか?

A. いいえ。勤務先の学校が「認可校」であれば教育ビザが可能ですが、無認可のスクールでは「技術・人文知識・国際業務ビザ」が一般的です。

Q2. 教育ビザを持っていれば副業はできますか?

A. 原則できません。副業をする場合は、資格外活動許可が必要になります。

Q3. 教育ビザから永住申請は可能ですか?

A. はい。教育ビザで10年以上在留し、その他条件を満たせば永住申請は可能です。ただし、安定した収入・納税実績なども求められます。

Q4. 教育ビザと「高度専門職ビザ」との違いは?

A. 教育ビザは教育活動限定ですが、高度専門職ビザはより幅広い活動や優遇措置が受けられます。研究活動や教育活動の両方を視野に入れるなら高度専門職も検討可能です。


まとめ

  • 教育ビザは、認可を受けた教育機関での教育活動に限られます。
  • インターナショナルスクールでも「一条校」や「各種学校」であれば教育ビザが可能。
  • 無認可校では「教育」ビザではなく、「技術・人文知識・国際業務」ビザを検討する必要あり。
  • 学歴や資格、雇用条件をしっかり整え、適切なビザを選ぶことが重要です。

外国人教師が安心して日本で教育活動を行うためには、ビザ選択を誤らないことが最も大切です。迷った場合は、専門の行政書士に相談することをおすすめします。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法