【徹底解説】教育ビザと技術人文知識国際業務ビザの違い:あなたの在留資格はどっち?

外国人の方が日本で働く・学ぶ際に必要となる在留資格。その中でも「教育」と「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)」は混同されやすいですが、全く異なる目的と要件を持っています。

この記事では、これら二つの在留資格の具体的な違いを、申請を検討されている方や企業のご担当者様にも分かりやすく解説します。あなたの状況に最適な在留資格を見つけるための参考にしてください。


1. 教育ビザ(在留資格「教育」)とは?

教育ビザ(正式名称:在留資格「教育」)は、主に日本の教育機関において教育活動を行うことを目的とした在留資格です。

目的と対象者

日本の小学校、中学校、高等学校、専修学校、各種学校その他これらに準ずる機関において、教員として活動する外国人を対象としています。

主な活動内容

  • 小学校、中学校、高等学校の教員:主に正規の教員として、授業を担当し、生徒指導を行う。
  • 専修学校、各種学校の教員:専門分野の指導や実技指導などを行う。
  • 日本語学校の教員:日本語教育を専門に行う。

取得要件(概要)

  • 担当する教育内容に応じた教員免許状またはこれに準ずる資格を有していること。
  • 日本の教育機関との雇用契約があること。
  • 安定した生活を送るための十分な報酬が支払われること。

2. 技術・人文知識・国際業務ビザとは?

技術・人文知識・国際業務ビザは、いわゆる「就労ビザ」の代表的なもので、専門的な知識や技術、または語学力を活かして企業等で働くことを目的とした在留資格です。

目的と対象者

日本の公私の機関において、専門的な知識・技術を要する業務や、語学力を活かした業務に従事する外国人を対象とします。

主な活動内容

  • 技術:ITエンジニア、機械設計、電気設計、データサイエンティストなど、理系の専門知識を要する業務。
  • 人文知識:経理、金融、マーケティング、企画、広報、人事など、文系の専門知識を要する業務。
  • 国際業務:翻訳・通訳、語学教師(英会話学校など)、海外取引業務、国際広報など、外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務。

取得要件(概要)

  • 学歴要件
    • 原則として、従事する業務に関連する分野の大学卒業(学士号取得)以上の学歴を有していること。
    • または、関連する分野での一定期間の実務経験(通常10年以上、国際業務は3年以上)を有していること。
  • 業務内容の専門性:従事する業務が、その学歴や職務経験によって培われた専門性や語学力を活かせるものであること。単純労働は認められません。
  • 雇用契約:日本の企業等との雇用契約があること。
  • 報酬:日本人と同等以上の報酬が支払われること。
  • (詳細な要件は、出入国在留管理庁のウェブサイトでご確認ください。)

3. 教育ビザと技人国ビザの決定的な違い

ここまで両者の概要を見てきましたが、ここからは具体的な違いを明確にしていきます。

活動内容・職務範囲の違い

  • 教育ビザ:活動範囲が「教育機関における教員としての教育活動」に限定されます。生徒・児童への直接的な指導、カリキュラム作成などが中心です。
  • 技人国ビザ:活動範囲は多岐にわたりますが、あくまで「専門的な知識・技術または語学力を活かした業務」である必要があります。企業内での企画、開発、営業、翻訳、通訳などが該当します。**英会話学校の講師は、教育ビザではなく技人国ビザ(国際業務)に該当することが一般的です。**これは、学校教育法に定められた「学校」ではないためです。

学歴・職務経験の要件の違い

  • 教育ビザ:日本の教員免許状(またはそれに準ずる資格)が主な要件となります。大学での専門分野の履修も重要ですが、最終的には「教育」を行うための資格が重視されます。
  • 技人国ビザ:大学卒業以上の学歴が原則的な要件です。特定の専門分野を修めていることが求められ、その専門性が活かせる業務内容であるかが審査されます。実務経験で代替できる場合もあります。

受入れ機関の種類

  • 教育ビザ:学校教育法に定められた学校(小学校、中学校、高等学校、専修学校、各種学校)など、教育機関である必要があります。
  • 技人国ビザ:民間企業、公的機関など、幅広い種類の機関が対象となります。

雇用形態の考え方

どちらのビザも「雇用契約」が前提となりますが、その性質が異なります。

  • 教育ビザ:教育機関との「教員」としての雇用関係が明確に求められます。
  • 技人国ビザ:専門業務に従事するための「会社員」としての雇用関係が一般的です。

4. どちらのビザを選ぶべきか?ケース別判断ガイド

ご自身の状況に合わせて、どちらのビザが適切かを確認しましょう。

ケース1:日本の小学校・中学校・高等学校の先生になりたい

教育ビザが適切です。日本の教員免許状の取得が必須となります。

ケース2:IT企業でシステムエンジニアとして働きたい、または企業の国際部門でマーケティングを担当したい

技人国ビザ(技術または人文知識)が適切です。関連する大学での専門分野の履修が重要です。

ケース3:日本語学校で日本語を教えたい、または英会話スクールで英語を教えたい

日本語学校の教師は、教育機関の性質上、教育ビザが該当する場合があります。ただし、日本語教師の資格要件を満たす必要があります。 → 英会話スクールの教師は、学校教育法上の学校ではないため、一般的には**技人国ビザ(国際業務)**が該当します。外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務と判断されます。

5. 申請時の注意点とよくある質問

必要書類について

どちらのビザも、申請には以下の書類が共通して必要となりますが、詳細な内容は異なります。

  • 申請書
  • パスポート
  • 証明写真
  • 在留資格認定証明書交付申請書(海外からの新規申請の場合)
  • 雇用契約書
  • 受入れ機関に関する資料(登記簿謄本、事業内容説明書など)
  • 申請人に関する資料(学歴証明書、職務経歴書、教員免許状など)

(詳細な必要書類については、必ず出入国在留管理庁のウェブサイトで最新情報を確認し、不備のないように準備してください。)

変更申請・更新申請

  • 活動内容が変わる場合:例えば、技人国ビザで働いていた方が学校の先生になる場合は、在留資格変更許可申請が必要です。
  • 在留期間が満了する場合:引き続き同じ活動を行う場合は、在留期間更新許可申請が必要です。

6. まとめ

教育ビザと技術・人文知識・国際業務ビザは、それぞれ異なる目的と要件を持つ在留資格です。ご自身の学歴、職務経験、そして日本で行いたい具体的な活動内容によって、どちらのビザが適切かが決まります。

この記事が、あなたの在留資格に関する疑問を解消し、スムーズな申請手続きの一助となれば幸いです。不明な点があれば、入管の窓口や専門家(行政書士など)に相談することをお勧めします。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法