飲食料品製造業分野の特定技能ビザと技能実習制度の違いとは?|制度の比較と選び方

日本の食品工場などで外国人を受け入れる際、最もよく利用されるのが「技能実習制度」と「特定技能1号ビザ」です。
特に「飲食料品製造業」分野では、どちらの制度を使うべきか迷う企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、技能実習と特定技能ビザの制度の違いや特徴を比較し、自社に合った選び方を詳しく解説します。


1. 飲食料品製造業とは?対象業務と課題

「飲食料品製造業」は、パン、惣菜、冷凍食品、調味料、製菓などの製造工場での業務を含みます。
この分野では人手不足が深刻で、慢性的な労働力不足が続いています。

外部リンク:
出入国在留管理庁|飲食料品製造業分野における特定技能制度概要


2. 技能実習制度とは?目的と特徴

技能実習制度は、本来「開発途上国への技術移転」を目的とした国際協力制度です。
企業が監理団体を通じて外国人を受け入れ、最長5年間の実習を行います。

特徴

  • 実習期間は原則1年~最長5年
  • 技能検定試験の受験が必要
  • 「教育目的」のため、労働者の自由な転職は不可
  • 監理団体による監督が必要

3. 特定技能ビザとは?導入背景と制度内容

特定技能1号ビザは、2019年に導入された新しい在留資格です。
飲食料品製造業を含む14分野で人手不足を補うため、即戦力となる外国人材を受け入れる制度として設けられました。

特徴

  • 在留期間は最長5年(更新可・家族帯同不可)
  • 業務内容はフルタイムの「労働者」として従事
  • 試験または技能実習2号修了で取得可能
  • 監理団体ではなく「登録支援機関」のサポートが必要

外部リンク:
🔗 出入国在留管理庁|特定技能制度


4. 技能実習と特定技能の5つの違い

比較項目技能実習制度特定技能1号
目的技術移転(国際協力)労働力確保
在留期間最長5年(段階あり)最長5年(更新制)
試験の有無技能検定受験(実務)技能試験 + 日本語試験(または実習修了)
転職の可否原則不可原則可能(同一業種)
支援体制監理団体登録支援機関

5. どちらを選ぶべき?企業の選択基準

技能実習が向いている企業

  • 教育・育成を前提にした人材活用を考える企業
  • 長期で育てて母国に戻す目的を持つ企業
  • 監理団体を通じた管理体制を好む企業

特定技能が向いている企業

  • 即戦力を求める現場(ライン作業・工程管理など)
  • 定着率を上げたい中堅企業
  • より柔軟な労働契約・シフト管理を行いたい企業

関連記事:
 特定技能1号「飲食料品製造業」でビザ取得するための要件とは?試験・在留条件を徹底解説


6. まとめ|人材確保に向けた最適な制度の選び方

飲食料品製造業における人材確保では、制度の目的や運用体制、転職可否などの観点から選ぶことが重要です。

  • 育成重視なら技能実習
  • 即戦力・長期雇用なら特定技能

企業の規模や現場のニーズに応じて、制度の違いを理解し、最適な在留資格を選ぶことが、人手不足解消と事業継続のカギとなります。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
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代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法