【特定技能ビザ間の在留資格変更】完全ガイド|分野変更・転職時の注意点を専門家が解説
特定技能1号・2号で分野を変えるときは「在留資格変更」が必要です。本記事では、変更が必要なケース・審査のポイント・注意点を行政書士が徹底解説。転職・再就職時の手続きも詳しく紹介します。
目次
1.特定技能ビザ間の在留資格変更とは
特定技能ビザ(特定技能1号・特定技能2号)は、特定産業分野で外国人が就労するための在留資格です。
しかし、分野を変更する場合や、1号から2号へステップアップする場合には、「在留資格変更許可申請」が必要です。
ポイント
- 同じ特定技能でも、分野(例:外食業→介護)を変えると資格変更が必要
- 1号から2号に上がる場合も、別の資格として扱われる
- 資格外活動では対応できない
2.特定技能1号から別分野へ移るときは変更が必要
特定技能1号は、現在16の分野に分かれています(※2025年10月時点)。
代表的なものに「介護」「外食業」「建設」「宿泊」「農業」などがあります。
たとえば、
- 外食業分野で働いていた外国人が、介護分野で働きたい場合
これは**「同じ特定技能1号でも別分野」**となるため、在留資格変更が必要です。
理由
特定技能1号の在留資格は、許可時に「分野名」まで指定されています。
そのため、業種が変わる=在留資格の内容が変わる、という扱いになります。
3.特定技能2号への移行時も「変更許可申請」が必要
特定技能2号は、熟練した技能を持つ外国人向けの資格です。
1号から2号に移る場合も、在留資格の種類が異なるため「変更許可申請」が必要です。
対象分野(2025年時点)
現在、2号が認められているのは以下の分野です。
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業(旧:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
これらの分野で技能試験・日本語試験をパスし、かつ実務経験を積んでいれば、2号への変更が可能です。
4.分野変更が不要なケース
以下のような場合は、在留資格変更を行わずに「所属機関変更届」だけで済むこともあります。
変更が不要な例
- 同じ分野内で転職する場合
例:介護分野の会社A → 介護分野の会社B - 同一分野・同職種で事業所が変わるだけの場合
- 同一企業グループ内で異動する場合(業務内容が同一の場合)
この場合、入管への届出は必要ですが、在留資格変更許可申請ではなく「所属機関に関する届出」で対応可能です。
5.在留資格変更の手続きと必要書類
手続きの流れ
- 受入れ先企業が決定
- 新しい分野の技能試験・日本語試験合格
- 特定技能所属機関が受入れ計画を作成
- 在留資格変更許可申請を入管へ提出
- 審査(通常1〜2か月)
- 許可後、新たな在留カードが発行される
主な提出書類
- 在留資格変更許可申請書
- パスポート・在留カード
- 新所属機関の登録支援機関登録証写し
- 雇用契約書
- 技能試験合格証明書・日本語試験合格証
- 支援計画書(1号の場合)
- 理由書・経緯説明書
6.特定技能ビザ間変更の審査で重視されるポイント
在留資格変更の審査では、以下の点が特に重視されます。
- 新分野での技能適合性
→ 試験合格・実務経験があるか - 受入れ機関の適正性
→ 法令遵守・支援体制・登録支援機関の有無 - 本人の生活基盤
→ 収入・住居・社会保険加入など - 前職での在留状況
→ 無断離職・支援拒否などがないか
特に「前職の契約解除理由」や「ブランク期間」が長い場合は、理由書を添付して誠実に説明することが重要です。
7.変更時に注意すべきトラブル・不許可リスク
不許可になる主な原因
- 新しい分野の試験を受けていない
- 雇用契約の内容が基準を満たしていない(フルタイム・社会保険など)
- 支援計画の内容が不十分
- 前の職場を無断退職している
- 虚偽の理由書を提出
在留資格変更は、「一度のミスで不許可」になることもあるため、行政書士など専門家に依頼するのが安全です。
8.転職する場合の手続きの流れ
分野を変えない転職(同一分野内)は、**「所属機関変更届」**を提出します。
ただし、失職から3か月以上経過すると在留資格取消しのリスクがあります。
手続きのステップ
- 離職時に「契約終了届」を提出(所属機関が提出)
- 新しい就職先を探す(3か月以内が望ましい)
- 新しい会社が「受入れ機関」として登録されているか確認
- 転職後に「所属機関変更届」を提出
9.よくある質問(Q&A)
Q1. 特定技能1号の分野を変えるときは、試験を受け直す必要がありますか?
A. はい。各分野ごとに定められた技能試験・日本語試験を受け直す必要があります。
Q2. 分野が同じでも会社が変わる場合は変更が必要ですか?
A. 分野が同じであれば「変更」ではなく「届出」で済みます。ただし、所属機関の登録要件を満たしている必要があります。
Q3. 特定技能2号になると家族を呼べますか?
A. 可能です。特定技能2号は家族帯同(配偶者・子)を認めていますが、1号では原則認められません。
Q4. 変更申請中に働けますか?
A. 原則、許可が下りるまでは新しい職場では就労できません。在留資格外活動許可ではカバーされませんので注意が必要です。
10.専門家に相談すべきケース
次のような場合は、自己判断せず入管専門の行政書士に相談することをおすすめします。
- 分野をまたぐ転職を考えている
- 前職を自己都合で退職している
- 在留期限が迫っている
- 新しい会社が登録支援機関でない
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参考リンク:
11.まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
分野変更(例:外食→介護) | 在留資格変更が必要 |
同一分野内転職 | 所属機関変更届でOK |
1号→2号への移行 | 在留資格変更が必要 |
試験・支援計画 | 新分野に応じて再取得・作成が必要 |
無断離職・虚偽申請 | 不許可・取消リスクあり |
特定技能ビザ間の在留資格変更は、「同じ特定技能でも内容が違えば別の資格」として扱われる点が最大のポイントです。
変更が必要なケース・不要なケースを正確に把握し、スムーズに申請を進めましょう。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |