【特定技能外国人は転職できる?】転職手続き・条件・注意点を完全解説


1.特定技能外国人の「転職」は可能?

結論から言えば、特定技能外国人でも転職は可能です
しかし、自由にどの企業にも転職できるわけではありません。
特定技能の制度上、転職には以下のような制限が設けられています。

  • 転職先が**同一の分野(特定産業分野)**であること
  • 転職先が出入国在留管理庁に登録された特定技能所属機関であること
  • 適切な支援計画の引継ぎ届出がなされること

つまり、「転職=可能」ですが、「誰でもどこでも」は不可です。
制度の趣旨は「日本の人手不足分野で安定して働くこと」であり、
そのため分野外転職や無届転職は不許可の対象となります。


2.転職できる条件と制限

転職が認められるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

(1)同じ「特定産業分野」であること

特定技能制度には現在、16分野(介護、外食業、宿泊、建設など)が指定されています。
転職先が同一分野であれば、在留資格を引き継いで転職が可能です。

例:

  • 外食業→外食業=転職可能
  • 外食業→介護=転職不可(在留資格変更が必要)

(2)転職先企業が「特定技能所属機関」として登録されていること

転職先の企業は、出入国在留管理庁の登録制度に基づく「特定技能所属機関」である必要があります。
登録されていない企業では、特定技能外国人を雇用できません。


(3)「支援計画」の引継ぎが必要

特定技能1号では、企業が外国人に対して生活・職業支援を行うことが義務付けられています。
転職時には、旧所属機関と新所属機関の間でこの支援計画の引継ぎが必要です。
支援を実施できない場合、登録支援機関を利用してサポートを受けることが求められます。


3.転職先の業種・職種の制限について

特定技能は「業種」ごとに在留資格が付与されています。
そのため、転職先が同じ業種でも異なる職種にあたる場合は注意が必要です。

例:

  • 「外食業」→同じ外食業でも「調理」から「接客」へは可能
  • 「建設」→同じ建設でも「土木」から「配管工」へ変更する場合は、技能評価試験の再受験が必要な場合あり

在留資格申請時に「職務内容が適合しているか」を厳格に審査されるため、
求人票の職務内容を入念に確認することが重要です。


4.転職時に必要な手続きと書類

転職には、入管への届出と在留資格変更または許可申請が必要です。
主な流れは以下の通りです。

【転職時の手続きの流れ】

手続き内容提出先提出期限
離職届(特定技能所属機関からの届出)出入国在留管理庁離職後14日以内
転職先の受入れ届出出入国在留管理庁転職後14日以内
在留カード変更(必要な場合)出入国在留管理庁速やかに

【必要書類の例】

  • 新旧所属機関との契約書・雇用契約書
  • 新支援計画書
  • 技能試験合格証または技能評価書
  • 在留カード、パスポート
  • 転職理由書(場合により)

5.転職活動中の在留資格の取扱い

特定技能外国人が失職した場合、在留資格は即失効しません
出入国在留管理庁は、転職活動を行うための最大3か月間の猶予期間を設けています。

ただし、この期間内に新たな所属機関が見つからない場合、
在留資格の更新はできず、帰国を求められることになります。


6.支援機関・所属機関を変更する際の注意点

転職は「所属機関の変更」を伴います。
このとき特に注意が必要なのが、支援計画の中断や未実施です。

  • 支援が途切れると、入管が不適正受入れと判断することがあります。
  • 新しい所属機関が支援を行えない場合は、登録支援機関に委託が必須です。
  • 転職届出を怠ると、**不法就労助長罪(入管法第73条の2)**に問われることもあります。

7.特定技能2号への移行で転職の自由度が上がる

2024年以降、特定技能2号の対象分野が拡大されました。
2号の在留資格を取得すれば、転職の自由度が格段に上がります。

  • 同じ業種内であれば職種を自由に変更可能
  • 支援計画義務がなくなる
  • 在留期間の更新制限なし(実質永住的)

8.転職が不許可になる主な理由

転職申請が不許可になるケースは以下のようなものです。

  1. 転職先が分野外
  2. 転職先企業が特定技能所属機関に登録されていない
  3. 離職後の期間が長すぎる(3か月超)
  4. 前職でのトラブルや契約違反
  5. 支援計画の未実施・届出漏れ

これらの理由で在留資格更新や変更が認められない場合は、
再就職サポートを受けるか、登録支援機関を通して転職手続きを行うのが安全です。


9.行政書士が教える転職サポートのポイント

実務上、入管では「転職=在留資格変更」とみなす場合もあり、
転職理由・転職先の適合性・支援計画の連続性を重点的に審査します。

行政書士に相談することで、

  • 転職理由書の作成
  • 転職先企業との契約確認
  • 支援計画書の法令適合チェック
  • 転職後の在留資格申請サポート
    を一括で行うことができます。

10.よくある質問Q&A

Q1:特定技能外国人は別の業種に転職できますか?
→ できません。同一分野内でのみ転職が認められます。業種を変える場合は「在留資格変更許可申請」が必要です。

Q2:転職先が見つからない場合はどうなりますか?
→ 原則3か月以内に再就職できなければ、在留資格が取り消される可能性があります。登録支援機関を通して早期転職先を探しましょう。

Q3:転職すると在留期間はリセットされますか?
→ されません。ただし、転職先の契約期間に応じて更新期間が見直される場合があります。

Q4:転職先が決まる前に辞めても大丈夫ですか?
→ 原則として「新しい雇用先が決まってから退職」することが推奨されます。無職期間が長引くと審査上マイナスです。


11.関連記事・参考リンク

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まとめ:特定技能外国人の転職は「可能」だが「条件付き」

特定技能外国人でも転職はできますが、

  • 同一分野内の企業であること
  • 登録所属機関であること
  • 支援計画の引継ぎを行うこと
    の3点が必須です。

転職先を誤ると在留資格が取り消されるおそれもあります。
不安がある場合は、入管専門の行政書士に相談しながら安全に手続きを進めましょう。

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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法