【特定技能外国人が失職した場合】転職・在留資格・支援制度まで完全ガイド
目次
1.特定技能外国人が「失職」した場合の基本ルール
特定技能外国人(在留資格「特定技能1号」)は、原則として受入企業(特定技能所属機関)と雇用契約を結んでいる間のみ就労が可能です。
したがって、雇用契約が終了した時点で、入管法上は「活動をしていない状態」となります。
しかし、失職=即在留資格取消ではありません。
入管庁は、転職活動のための一定期間(通常は3か月程度)を認めており、その間に新しい受入先を見つけることができれば、継続して在留が可能です。
2.在留資格(特定技能)の有効期間と在留カードの扱い
特定技能ビザは、在留期間1年・6か月・4か月などで設定されています。
失職しても、在留カードの有効期間が残っている場合は、すぐに出国を求められることはありません。
ただし、3か月以上働かない状態が続くと「在留資格取消」の可能性があります(入管法第22条の4第1項第7号)。
ポイント:
・在留期間中であっても、3か月以上就労実態がないと取消対象
・在留カードは有効でも、「活動実態」が問われる
3.失職後の「在留資格取消」リスクとは
入管庁は、特定技能外国人が「活動を継続しているか」を厳しくチェックします。
次のようなケースでは、取消リスクが高まります。
- 正当な理由なく3か月以上働いていない
- 転職活動の実態がない
- 日本に居住しておらず音信不通状態
ただし、ハローワーク登録や新しい雇用先探しの証拠があれば、「転職活動中」として認められることが多いです。
4.転職できる条件と手続きの流れ
特定技能1号の転職は、同一分野内であれば可能です。
たとえば、外食業分野から同じ外食業分野への転職は認められますが、外食業から介護分野など「異分野」への転職は原則できません。
転職の基本条件
- 新しい雇用先が「特定技能所属機関」として出入国在留管理庁に届出済み
- 「特定技能雇用契約」を締結している
- 登録支援機関が新たに支援計画を作成
転職手続きの流れ
- ハローワークや登録支援機関を通じて新しい受入先を探す
- 新しい特定技能所属機関と契約締結
- 「所属機関変更届出書」を入管に提出
- 必要に応じて在留資格変更申請
参考リンク:特定技能所属機関の届出制度(出入国在留管理庁)
5.転職活動のための在留期間延長(就職活動期間)
失職した後すぐに転職先が決まらない場合は、「特定活動(就職活動)」への在留資格変更が可能です。
入管庁は、最大で**3か月×2回(合計6か月)**の転職活動期間を認めています。
就職活動中の注意点
- 就労はできない(資格外活動不可)
- ハローワークに定期的に活動報告を行う
- 新しい特定技能契約が決まり次第、再度「特定技能」へ変更
重要:
失職後3か月以内に入管へ「活動状況届出」を提出しないと、在留資格取消の可能性があります。
6.特定技能所属機関と登録支援機関のサポート義務
特定技能制度では、受入企業だけでなく「登録支援機関」にも責任があります。
失職した際には、次のような支援が求められます。
支援内容 | 内容 |
---|---|
離職時の届出 | 入管庁への契約終了報告 |
再就職支援 | 転職先の紹介や職業相談 |
生活支援 | 住居・行政手続きサポート |
登録支援機関は、特定技能外国人が生活に困らないように支援する法的義務があります。
7.注意が必要なケース(違法解雇・契約終了・自発的退職)
① 不当解雇(違法解雇)の場合
会社都合で一方的に契約を終了された場合は、労働基準監督署や外国人総合支援センターへ相談を。
不当解雇が認められれば、在留資格上も「正当な理由のある離職」として扱われます。
② 契約満了による終了
契約期間が満了し、更新が行われない場合も「正当な離職」とみなされます。
早めに再就職活動を開始しましょう。
③ 自発的退職の場合
自ら辞めた場合も、3か月以内に再就職すれば問題ありません。
ただし、退職理由が「勤務態度不良」などの場合は、次の在留審査で不利になる可能性があります。
8.失職中の生活支援制度とハローワーク登録
失職後は、日本人と同様にハローワークへの求職登録が可能です。
また、各自治体には外国人向けの支援センターが設けられています。
生活支援の例
- 自治体の外国人生活支援窓口
- 外国人雇用サービスセンター(東京・大阪・名古屋など)
9.転職先での「特定技能雇用契約」確認ポイント
転職先が見つかった場合、必ず以下の点を確認してください。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
賃金水準 | 日本人と同等以上であるか |
労働時間 | 過労防止・36協定遵守 |
支援計画 | 登録支援機関による適正支援があるか |
社会保険 | 加入義務を守っているか |
これらが不十分だと、入管の審査で不許可となる可能性があります。
10.よくある質問(Q&A)
Q1:転職できるまでどのくらい時間がありますか?
→ 原則3か月以内です。ただし、就職活動中であることを証明すれば延長が可能です。
Q2:異なる分野(例:介護→外食)への転職はできますか?
→ 原則できません。分野変更には新たな技能測定試験合格と資格変更手続が必要です。
Q3:再就職先が見つからない場合は?
→ 「特定活動(就職活動)」への在留資格変更を行い、最長6か月間活動できます。
Q4:登録支援機関が何もしてくれません。
→ 出入国在留管理庁や地方入管、外国人総合支援センターに相談を。
11.まとめ:焦らず正しい手続きを行うことが最重要
特定技能外国人が失職したとしても、すぐにビザが失効するわけではありません。
重要なのは、
- 入管へ届出を行う
- ハローワーク登録で「転職活動中」であることを示す
- 適正な受入先を選ぶ
この3点です。
不当な扱いを受けた場合は、労基署・弁護士・登録支援機関に相談し、権利を守りましょう。
正しい手続きを踏めば、再び特定技能として働き続けることが可能です。
12.関連記事・参考リンク
関連記事
- 特定技能外国人の入社前ガイダンスとは?義務・内容・実施方法を完全解説
- 特定技能外国人支援計画の不履行リスク|改善命令を受けたときの正しい対応方法
- 特定技能所属機関の要件とは?|受入れ企業が必ず満たすべき条件を徹底解説
無料相談
まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。 |
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |