【完全ガイド】「漁業」分野で技能実習から特定技能へ移行する方法と注意点|キャリアアップを目指す外国人向け


はじめに

日本は周囲を海に囲まれた漁業大国であり、地域経済や食文化を支える重要な産業です。しかし、漁業従事者の高齢化や人手不足が深刻化しており、外国人材への期待が高まっています。特に「技能実習」から「特定技能」への移行は、キャリアアップを目指す外国人にとって現実的な選択肢です。

本記事では、漁業分野における技能実習から特定技能への移行方法や注意点を徹底解説します。不安を解消し、外国人本人や受け入れ企業が理解しやすいようにまとめました。


漁業分野での外国人材受け入れの現状

人手不足の深刻化

  • 日本の漁業従事者は高齢化が進み、若手人材の確保が困難。
  • 季節労働や過酷な作業環境により日本人の就労希望者が少ない。
  • 外国人材の活躍が不可欠となっている。

技能実習から特定技能へ移行するメリット

  • 技能実習は最長5年 → 技能移転が目的であり、長期的な就労は想定されていない。
  • 特定技能は最長5年(更新可) → 一定の専門性を持った労働力として、安定した就労が可能。
  • 将来的に特定技能2号に移行すれば、在留期間の上限なく日本で働くことも可能。

漁業分野の特定技能の概要

対象業務

漁業分野の特定技能は、以下のような業務を対象としています。

  • 漁船に乗船しての操業
  • 漁獲物の処理・出荷
  • 網や漁具の修繕作業
  • 季節ごとの漁業活動

特定技能の在留資格の特徴

  • 在留期間:1年・6か月・4か月ごとの更新、通算で最長5年。
  • 家族帯同:原則不可(ただし2号に移行すれば帯同可能)。
  • 雇用契約:フルタイム勤務が必須。

技能実習から特定技能への移行条件

技能実習を修了した実習生は、試験免除で特定技能に移行できます。条件は以下の通りです。

移行の基本条件

  1. 技能実習2号を良好に修了していること。
  2. 同じ「漁業」分野での特定技能に移行すること。
  3. 受け入れ企業が特定技能所属機関として登録されていること。

必要書類

  • 在留資格変更許可申請書
  • 技能実習修了証明書
  • 雇用契約書(特定技能用)
  • 住民票、身元保証関連書類

移行の流れ

  1. 技能実習修了(または修了見込み)
  2. 受け入れ企業との雇用契約締結
  3. 入管に「在留資格変更許可申請」
  4. 特定技能の許可 → 新しい在留カード発行

注意点とよくあるトラブル

1. 受け入れ企業の要件

  • 特定技能所属機関としての登録が必須。
  • 違法操業歴や労務違反歴がある企業は登録不可。

2. 雇用条件の違反

  • 特定技能外国人はフルタイム雇用が前提。
  • 実習時より給与・労働条件が改善される必要あり。
  • 最低賃金未満や不当な控除は不許可リスク大。

3. 在留資格の更新

  • 1年や6か月ごとの更新が必要。
  • 更新のたびに適正な労働環境が確認される。

4. 移行時の空白期間

  • 実習終了から特定技能許可までに在留資格の空白ができると不法滞在のリスク。
  • 早めの申請が必要。

特定技能2号へのステップアップ

漁業分野では特定技能2号も対象分野となっています。2号に移行すれば、以下のメリットがあります。

  • 在留期間の上限なし
  • 家族帯同可能
  • 永住申請への道が広がる

ただし、移行には熟練した技能が必要で、一定の実務経験や評価試験の合格が前提です。


よくある質問(Q&A)

Q1. 技能実習を途中で辞めても特定技能に移行できますか?

→ 原則できません。技能実習2号を修了することが条件です。

Q2. 特定技能に移行した場合、給与は上がりますか?

→ 法的に「日本人と同等以上の待遇」が求められるため、技能実習時より改善されることが一般的です。

Q3. 漁業の特定技能で働くと永住権は取れますか?

→ 特定技能1号だけでは難しいですが、2号に移行すれば永住申請の要件を満たす可能性が出てきます。

Q4. 移行手続きにはどのくらい時間がかかりますか?

→ 通常1〜3か月程度。繁忙期にはさらに時間がかかることもあります。

Q5. 他分野の特定技能に移行することは可能ですか?

→ 技能実習からの試験免除移行は同一分野のみ。異分野へ移行する場合は試験合格が必要です。


まとめ

  • 漁業分野の特定技能は、人手不足を補うために重要な制度。
  • 技能実習2号修了者は試験免除でスムーズに移行可能。
  • 移行時は企業側の要件や雇用条件をしっかり確認する必要がある。
  • 将来的には特定技能2号に進むことで、家族帯同や永住権取得も視野に入る。

外国人本人にとっても、受け入れ企業にとっても、適切な理解と準備が不可欠です。早めに専門家に相談することで、不許可リスクを避け、安心してキャリアアップを目指すことができます。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
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代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法