「漁業」分野の特定技能ビザと技能実習制度の違いとは?|制度の比較と選び方ガイド
目次
はじめに
日本は四方を海に囲まれ、漁業は古くから生活と経済を支える重要な産業です。しかし、近年は少子高齢化や担い手不足により、漁業従事者の数が大幅に減少しています。その人材不足を補うために導入されたのが「技能実習制度」と「特定技能ビザ」です。特に、2019年に新設された**特定技能ビザ(漁業分野)**は、外国人材の即戦力として注目されています。
本記事では、「漁業」分野における特定技能ビザと技能実習制度の違いを徹底比較し、それぞれの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。漁業関係者や外国人労働者の方が、自身に合った制度を選択できるよう、実務に基づいた最新情報を提供します。
漁業分野における技能実習制度とは?
技能実習制度の目的
技能実習制度は、発展途上国などの外国人が日本で技能を学び、自国の経済発展に役立てることを目的とした制度です。漁業分野でも、網漁業や養殖業など多様な作業が対象となっています。
在留期間
- 最長 5年間
- 1号(1年目)、2号(2〜3年目)、3号(4〜5年目)と段階的に移行
特徴
- 「学ぶ」ことが目的であり、労働力不足解消のための制度ではない
- 技能実習計画の認定が必要
- 技能実習生の受け入れは監理団体を通じて行うことが一般的
メリット
- 母国への技術移転ができる
- 未経験者でも受け入れ可能
デメリット
- 実習生本人にとっては給与水準が低め
- 長期的な人材確保には向かない
- 実習の名目であり、労働者としての権利が制限されやすい
漁業分野における特定技能ビザとは?
特定技能ビザの目的
2019年4月に新設された特定技能ビザは、人手不足の分野において外国人労働者を「即戦力」として受け入れることを目的としています。漁業分野もその対象です。
在留期間
- 1号:最長 5年間
- 2号:更新により事実上の長期在留・永住申請も可能(漁業は2024年から2号対象分野に追加)
特徴
- 「働く」ことが目的
- 日本語能力試験(N4相当)と技能試験の合格が必要
- 技能実習修了者は試験免除で移行可能
- 家族帯同は2号から可能
メリット
- 即戦力としての雇用が可能
- 技能実習から特定技能へ移行することで、長期雇用が実現
- 労働者としての権利が明確
デメリット
- 試験合格が必要
- 受け入れ企業は支援計画を作成し義務を負う
技能実習と特定技能の比較表(漁業分野)
項目 | 技能実習制度 | 特定技能ビザ |
---|---|---|
目的 | 技術移転 | 人手不足解消 |
在留期間 | 最長5年 | 1号:最長5年、2号:更新可・永住可能 |
対象業務 | 指定漁業種 | 漁業全般 |
日本語要件 | 不要 | N4相当(実習修了者は免除) |
技能要件 | 実習計画に基づく | 技能試験合格(実習修了者は免除) |
家族帯同 | 不可 | 2号から可能 |
メリット | 技術移転、未経験者受入可 | 長期就労・即戦力・家族帯同可 |
デメリット | 権利制限、低賃金、長期雇用に不向き | 試験必要、受け入れ企業の負担増 |
漁業分野でどちらを選ぶべきか?
- 短期間で人材を育成したい → 技能実習
- 長期的に安定した人材を確保したい → 特定技能
特に、漁業は厳しい環境での作業が多く、熟練度や継続性が重要です。そのため、今後は特定技能への移行が主流となっていくと考えられます。
参考リンク
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Q&A よくある質問
Q1. 技能実習から特定技能に移行することは可能ですか?
はい、可能です。技能実習2号または3号を修了した方は、試験が免除され、特定技能1号へスムーズに移行できます。
Q2. 特定技能ビザ(漁業)で家族を呼ぶことはできますか?
1号では不可ですが、2号からは配偶者や子どもの帯同が認められます。
Q3. 漁業の特定技能ビザ取得に必要な日本語レベルは?
日本語能力試験N4相当(簡単な日常会話ができるレベル)が求められます。ただし、技能実習修了者は免除です。
Q4. 企業側の負担はありますか?
はい。特定技能ビザの場合、受け入れ企業は生活支援計画の作成・実施義務があります。技能実習制度では監理団体を通じて実習生を受け入れるケースが多く、管理の仕組みが異なります。
Q5. 永住を目指すならどちらが有利ですか?
特定技能2号は在留更新が可能で、将来的に永住申請への道も開かれています。そのため、永住を視野に入れる場合は特定技能がおすすめです。
まとめ
「漁業」分野で外国人材を受け入れる際には、技能実習制度と特定技能ビザのいずれかを選択する必要があります。技能実習は短期的な人材育成に向いていますが、長期的に人材を確保し、永住も見据えるなら特定技能ビザが適しています。
特に、2024年から漁業分野が特定技能2号の対象となったことで、外国人材にとってもキャリア形成の魅力が高まりました。今後の漁業人材戦略を考えるうえで、制度の違いを理解し、最適な選択をすることが重要です。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |