特定技能ビザ「漁業分野」取得要件と1号・2号の違い|試験・手続き完全ガイド

はじめに

日本の水産業は、担い手不足や高齢化に直面しており、外国人労働者の受け入れが急務となっています。その中で導入されたのが「特定技能ビザ制度」です。とくに漁業分野は日本の食文化を支える重要産業であり、特定技能外国人の活躍が期待されています。

この記事では、特定技能ビザの漁業分野での取得要件・試験内容・申請手続き、さらに特定技能1号と2号の違いについて徹底解説します。これから申請を検討する方や、外国人を受け入れる企業・団体にとって役立つ完全ガイドです。


特定技能ビザとは?

特定技能ビザは、2019年4月に新設された外国人労働者向けの在留資格です。専門的・技能的分野で深刻な人材不足が生じている業種において、外国人が即戦力として働くことを可能にしています。

対象分野は現在16分野(建設、介護、外食業など)で、その中に漁業分野が含まれています。


漁業分野での特定技能ビザの位置づけ

漁業分野の特定技能ビザでは、外国人は以下の業務に従事することが認められています。

  • 漁船を用いた漁業作業
  • 養殖業における水産動植物の育成・収穫
  • 付随する加工・選別などの業務

これらは日本人と同等の労働条件で行われ、技能実習制度のステップアップ先としても利用されています。


特定技能1号と2号の違い(漁業分野)

項目特定技能1号(漁業)特定技能2号(漁業)
在留期間通算 最長5年制限なし(更新可能)
家族帯同原則不可可能(配偶者・子供の帯同が認められる)
技能水準基本的な技能(試験または実習修了で確認)熟練技能(高度な試験に合格が必要)
対象業務漁業作業全般・養殖業務など熟練した技能を要する作業
永住申請との関係原則5年までの就労長期滞在が可能で永住申請にもつながる

ポイント

  • 特定技能1号は「即戦力として働く入口」
  • 特定技能2号は「熟練技能を持ち長期的に働ける資格」

特定技能ビザ(漁業分野)の取得要件

1. 技能試験への合格

漁業分野で働くためには、技能評価試験に合格する必要があります。試験は、漁業・養殖に関する知識や実技能力を測るもので、日本国内や海外の試験会場で実施されています。

外部リンク: 特定技能「漁業分野」技能試験案内

2. 日本語能力試験

日常会話ができ、業務上支障がない程度の日本語能力が求められます。目安は以下のいずれかです。

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上
  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)合格

3. 健康状態

海上や養殖業務は体力を要するため、健康診断を受けて身体的に問題がないことが確認されます。

4. 素行要件

素行不良や不法滞在歴がある場合は許可されません。

5. 受入れ機関の体制

外国人を受け入れる漁業組合や企業は、出入国在留管理庁に登録された機関である必要があります。さらに、適正な労働条件を整えることが義務付けられています。


技能試験の内容(漁業分野)

漁業分野の技能試験は、主に以下の内容で構成されています。

  1. 学科試験
    • 基本的な漁業知識
    • 漁具の名称や使用方法
    • 安全対策や労働安全衛生
  2. 実技試験
    • 漁船での網の扱い
    • 養殖場での作業手順
    • 水産物の選別・出荷準備

試験は日本語で行われるため、日本語能力と技能の両立が必須です。


申請手続きの流れ(漁業分野)

  1. 技能試験・日本語試験に合格
  2. 受入れ先企業または漁業協同組合を決定
  3. 特定技能雇用契約の締結
  4. 在留資格認定証明書(COE)交付申請
    • 出入国在留管理庁に申請
  5. 査証申請(海外在住者の場合)
    • 在外公館(大使館・領事館)でビザ申請
  6. 入国・在留カード受領

参考リンク:
出入国在留管理庁 特定技能制度


Q&A:特定技能ビザ(漁業分野)のよくある質問

Q1. 技能実習から特定技能ビザに移行できますか?
A1. はい。漁業分野で技能実習を修了した方は、技能試験を免除され、特定技能1号へスムーズに移行可能です。

Q2. 特定技能2号を取得するのは難しいですか?
A2. 2号は熟練技能が必要であり、試験レベルも高いため難易度は高いです。ただし、取得すれば家族帯同や永住申請が可能となります。

Q3. 在留期間5年を超えたらどうなりますか?
A3. 特定技能1号は最長5年までですが、その間に特定技能2号へ移行すれば長期滞在が可能です。


まとめ

特定技能ビザ(漁業分野)は、日本の漁業・水産業を支える外国人労働者のための重要な制度です。

  • 1号は最長5年・家族帯同不可
  • 2号は更新無制限・家族帯同可能
  • 技能試験・日本語試験の合格が必須
  • 受入れ機関は登録済みである必要あり

今後も漁業分野における外国人労働者の活躍は拡大していくことが予想されます。申請を検討している方は、技能試験対策と日本語学習を早めに開始することが成功の鍵となります。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法