家族滞在ビザで離婚した場合はどうする?在留資格変更とリスクを徹底解説

はじめに

日本で外国人配偶者として暮らす場合、通常「家族滞在ビザ(在留資格:家族滞在)」を取得します。しかし、結婚生活が終了し離婚するケースも少なくありません。この場合、在留資格の維持や変更手続きが非常に重要になります。放置すると不法滞在や強制退去のリスクが生じるため、早期対応が必要です。

本記事では、家族滞在ビザで離婚した場合の対応策、申請手続きの流れ、リスク回避方法まで詳しく解説します。


1. 家族滞在ビザとは

家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)は、日本で働く外国人(主に就労ビザ保有者や留学生)とその配偶者・子どもが日本で生活するための在留資格です。

特徴

  • 就労は原則できない(資格外活動許可を取得すれば制限付きでアルバイト可能)
  • 配偶者と子が対象
  • 在留期間は主たる配偶者の在留期間に依存

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2. 離婚による在留資格への影響

家族滞在ビザは配偶者との婚姻関係を前提としています。そのため、離婚すると原則として在留資格が失効する可能性があります。

離婚直後の状況

  • 在留資格の効力は直ちに消えるわけではない
  • 入国管理局は状況に応じて在留資格変更や特定活動への移行を案内

リスク

  • 何も手続きをせず放置すると「不法滞在」となり、強制退去や再入国禁止の対象になる
  • 就職や転職が制限される

3. 在留資格の変更方法

離婚後も日本での滞在を希望する場合、在留資格の変更が必要です。代表的な方法は以下の通りです。

3-1. 定住者への変更

  • 条件:日本で長期間安定的に生活しており、経済的基盤がある場合
  • メリット:家族滞在のような婚姻依存がなく、日本で自由に生活可能
  • 注意点:通常5年以上の在留歴が必要

3-2. 就労ビザへの変更

  • 技術・人文知識・国際業務ビザ、技能ビザなどが該当
  • 条件:雇用契約があり、専門的業務に従事する場合
  • メリット:収入源を確保できる
  • 注意点:職種や学歴・経験など要件を満たす必要がある

3-3. 特定活動ビザ・その他

  • 離婚直後の短期滞在や就労活動を認めるケースもある
  • 入国管理局との相談が必要

4. 離婚後に在留資格を維持する条件

離婚後も在留資格を維持するには、以下の条件が求められます。

  1. 安定的な生活基盤の確保
    • 収入源、住居、健康保険加入など
  2. 社会的信用
    • 税金の納付、犯罪歴なし
  3. 入管の判断
    • 配偶者との関係性が消滅したことを報告
    • 長期滞在歴や日本での生活実績が有利に働く

5. 手続きの流れと必要書類

手続きの基本的流れ

  1. 離婚届を提出(市区町村役場)
  2. 在留資格変更申請書を作成
  3. 必要書類を準備
  4. 入国管理局に申請
  5. 許可後、新しい在留カードを取得

必要書類例

  • 離婚届受理証明書
  • 新しい在留資格に応じた申請書
  • 経済的基盤を示す書類(給与明細、雇用契約書、銀行残高証明など)
  • 住民票
  • パスポート・在留カード

6. 離婚時のリスクと注意点

離婚後の対応を誤ると以下のリスクがあります。

  • 不法滞在リスク:手続きを行わずに滞在すると、強制退去や再入国禁止
  • 就労制限:資格外活動許可が必要な場合、アルバイトも不可
  • 永住申請への影響:家族滞在歴は永住申請にプラスだが、離婚で審査に影響する可能性

対策

  • 離婚後すぐに入国管理局に相談
  • 行政書士に依頼して手続きを行う
  • 離婚証明書・生活基盤の証明書類を準備

7. Q&A

Q1. 離婚してもすぐに日本を出国する必要がありますか?

A. 原則として直ちに出国する必要はありません。ただし、在留資格の変更手続きを速やかに行うことが求められます。

Q2. 子どもは家族滞在ビザを維持できますか?

A. 子どもが未成年で、親権者として在留資格保持者がいる場合は、子どもの在留資格は影響を受ける可能性があります。必要に応じて変更手続きを行ってください。

Q3. 離婚後、仕事を始められますか?

A. 家族滞在ビザでは就労が原則禁止です。離婚後は就労可能な在留資格へ変更する必要があります。


8. まとめ

家族滞在ビザで離婚した場合、在留資格の維持が最優先です。離婚後に何も手続きをしないと、不法滞在や強制退去のリスクがあります。

ポイント

  • 速やかに入管に相談する
  • 必要に応じて在留資格変更(定住者・就労ビザなど)を申請
  • 経済的基盤や生活実績を証明できる書類を準備

離婚による在留資格問題は複雑なため、行政書士と連携して対応することが推奨されます。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法