特定技能ビザから永住権へ|外国人労働者が知るべき取得の流れと条件

日本で働く外国人にとって、「特定技能ビザ」と「永住権」はキャリアや生活設計において非常に重要なテーマです。特定技能ビザは、日本の人手不足を補うために2019年に導入された制度で、一定の技能を持つ外国人労働者に与えられます。一方、永住権は日本で無期限に生活・就労できる権利であり、長期的な生活基盤を築く上で大きなメリットがあります。

本記事では、特定技能ビザの種類、永住権取得の条件、特定技能から永住権への移行ステップ、よくある質問(Q&A)まで、実務的な視点で詳しく解説します。


1. 特定技能ビザとは?

特定技能ビザは、日本の16分野(建設、介護、ビルクリーニング、農業、製造業など)における深刻な人手不足を補うために設けられた在留資格です。
特定技能ビザには、1号2号の2種類があります。

  • 特定技能1号:技能レベルが限定され、在留期間は最長5年。家族の帯同は不可。
  • 特定技能2号:より高度な技能を持つ人向けで、在留期間の上限なし。家族の帯同も可能。

特定技能1号では永住権申請ができませんが、特定技能2号への移行により、永住権取得の可能性が生まれます。

参考:出入国在留管理庁:特定技能制度


2. 特定技能1号と2号の違い

特徴特定技能1号特定技能2号
在留期間最長5年上限なし
永住権申請不可可能
家族帯同不可
雇用の柔軟性転職可能転職可能
対象業種16分野限定11分野

特定技能1号から2号への移行は、技能試験の合格や一定の実務経験が必要です。
移行後は永住権申請が可能になるため、長期的に日本で生活する場合は重要なステップとなります。


3. 永住権取得の要件

日本の永住権は、日本に無期限で居住・就労できる権利です。特定技能ビザ保有者が永住権を取得する場合、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 在留期間の要件
    • 原則として10年以上日本に継続して在留
    • 特定技能2号での在留が5年以上必要
  2. 就労資格の要件
    • 安定した収入を得られる就労資格であること
  3. 素行・品行の要件
    • 法令遵守
    • 社会的に問題のない生活を送っていること
  4. 独立生計の要件
    • 収入・納税実績があり、自立した生活ができること
  5. 国益適合性
    • 永住が日本の国益に資すること

参考:出入国在留管理庁|永住許可に関するガイドライン


4. 特定技能から永住権へのステップ

特定技能から永住権を取得するための具体的ステップは以下の通りです。

4-1. 特定技能2号に移行する

  • 特定技能1号から2号への移行が必須
  • 技能試験や実務経験が必要

4-2. 必要書類を準備

  • 在留カード
  • 納税証明書
  • 住民票
  • 雇用契約書や給与明細

4-3. 永住許可申請の提出

  • 法務省出入国在留管理庁へ申請
  • 書類不備がないよう注意

4-4. 審査と結果

  • 通常、数ヶ月で許可または不許可の通知が届く
  • 不許可の場合、理由を確認して再申請も可能

5. Q&A:特定技能と永住権

Q1: 特定技能1号で永住権は取れますか?
A1: いいえ。特定技能1号では永住権申請はできません。必ず特定技能2号に移行する必要があります。

Q2: 特定技能2号に移行する条件は?
A2: 技能評価試験に合格し、一定の実務経験が必要です。業種によって条件は異なります。

Q3: 永住権申請の審査期間はどのくらい?
A3: 通常、申請から6~12か月程度で通知されます。申請内容や書類の不備によって変動します。

Q4: 永住権取得後、家族を呼び寄せられますか?
A4: はい。特定技能2号または永住権取得後は家族帯同が可能です。

Q5: 永住権取得に必要な在留期間の短縮は可能?
A5: 高度専門職ビザなどの特定資格を持つ場合、在留期間が短縮されるケースがありますが、特定技能ビザでは原則として短縮はありません。


6. まとめ

特定技能ビザから永住権取得を目指す場合、まずは特定技能1号から2号への移行が不可欠です。移行後は、必要な在留期間や納税実績、素行条件などを満たすことで、永住権申請が可能になります。

長期的な日本定住を考える外国人にとって、特定技能2号は永住権への重要なステップです。計画的にステップを進め、専門家や行政書士に相談しながら手続きを行うことが、スムーズな取得につながります。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法