「素形材産業」分野の特定技能ビザと技能実習制度の違いとは?|制度の比較と選び方ガイド


はじめに

日本の「素形材産業」分野で働きたい外国人の方にとって、代表的な在留資格として「特定技能ビザ」と「技能実習制度」があります。
両者は似ているようで異なる制度であり、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解することが、適切な選択につながります。

この記事では、「素形材産業」分野での特定技能ビザと技能実習制度の違いを詳しく解説し、どちらを選ぶべきかのポイントもご紹介します。


1. 【基本解説】「素形材産業」分野とは?

素形材産業は、日本の製造業における基盤を担う重要な分野で、主に以下のような産業が含まれます。

  • 金属製品の製造
  • 鋳造、鍛造、プレス加工
  • 金属加工・組立
  • 金属プレス加工、溶接など

この分野は日本のものづくりの根幹を支え、熟練した技能を要するため、外国人労働者の受け入れも積極的に進められています。


2. 特定技能ビザとは?

特定技能ビザ(特定技能1号)の概要

  • 2019年4月に新設された比較的新しい在留資格
  • 最長5年間の就労が可能(特定技能2号は無期限)
  • 日本語能力・技能試験に合格した外国人が対象
  • 家族帯同は原則不可(1号)、2号は可能
  • 主に人手不足が深刻な16分野で運用されており、「素形材産業」も対象分野の一つ

特徴

  • 実務経験がある程度必要(技能試験合格必須)
  • 労働条件は日本人労働者と同等以上が求められる
  • 受け入れ企業は支援計画を策定し、外国人をサポート

3. 技能実習制度とは?

技能実習制度の概要

  • 外国人技能実習生を一定期間日本の企業で技能・技術を習得させる制度
  • 実習期間は最長5年(通常は1〜3年)
  • 基本的に技能向上と技術移転を目的としている
  • 実習期間中は原則日本語能力のハードルは低いが、実習内容に応じた技能検定がある

特徴

  • 実習生は母国での技能向上を目的として受け入れられる
  • 就労ビザではないため、労働条件は実習内容に限定される
  • 監理団体・実習実施者が管理を担当

4. 「素形材産業」分野における両制度の比較

比較項目特定技能ビザ技能実習制度
目的即戦力としての就労・長期滞在技能・技術の習得・母国への技術移転
期間最長5年(1号)、2号は無期限最長5年(通常は1〜3年)
日本語能力必須(試験合格が条件)低い(入国後学習が一般的)
家族帯同1号は不可、2号は可能原則不可
就労の自由度比較的自由(同一分野内の転職可能)実習内容に限定
労働条件日本人と同等以上が義務付けられる実習計画に基づき制限あり
監督機関受入れ企業・支援機関監理団体・実習実施者
対象者技能試験・日本語試験合格者技能習得希望者

5. 選び方のポイント

特定技能ビザがおすすめのケース

  • 日本で長期的に働きたい
  • 比較的高い日本語能力がある
  • 家族を日本に呼びたい(2号の場合)
  • 実務経験や技能試験に合格している

技能実習制度がおすすめのケース

  • 技能を基礎から習得したい
  • 日本語能力に自信がない、または学びながら働きたい
  • 技能移転を目的とした制度利用を希望する

6. Q&A

Q1. 「素形材産業」の特定技能ビザの試験内容は?

A: 素形材産業分野の技能試験は、実務に必要な技能や知識を測る内容で、日本語試験は基本的なコミュニケーション力が問われます。

Q2. 技能実習から特定技能ビザに変更は可能?

A: はい、技能実習2号を修了後、特定技能1号へ在留資格変更が可能です。

Q3. 特定技能2号は素形材産業で取得できる?

A: 特定技能2号の対象分野が拡大されました。素形材産業はも対象となり取得できます。


7. まとめ

「素形材産業」分野の外国人労働者受け入れにおいて、特定技能ビザと技能実習制度は目的や条件が大きく異なります。
長期的な就労や家族帯同を希望するなら特定技能ビザ、技能習得を目的とするなら技能実習制度が適しています。

ご自身の状況や将来設計に合わせて最適な制度を選択しましょう。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法