自動車整備分野の特定技能ビザと技能実習制度の違いとは?|制度の比較と選び方ガイド

はじめに

日本で自動車整備の分野で働きたい外国人にとって、特定技能ビザと技能実習制度は代表的な在留資格・制度です。しかし、この二つは制度の目的や内容が大きく異なります。
この記事では【自動車整備分野】に焦点をあて、特定技能ビザと技能実習制度の違いを詳しく解説し、どちらの制度を選ぶべきかのポイントをわかりやすくまとめました。
特にこれから日本での就労や技能習得を目指す外国人の方や、受け入れ企業の担当者にとって役立つ情報を提供します。


1. 特定技能ビザと技能実習制度の概要

1-1. 特定技能ビザ(自動車整備分野)

  • 目的:即戦力として日本の産業を支える人材を確保するための就労ビザ
  • 対象分野:自動車整備を含む特定16分野(2024年時点)
  • 在留期間:最長5年(特定技能1号)+要件を満たせば特定技能2号への移行可能(現在、自動車整備は特定技能2号対象)
  • 特徴:試験合格(技能評価試験+日本語能力試験)が必須
  • 資格取得後の活動:就労中心。転職も可能で、生活の幅が広い

1-2. 技能実習制度(自動車整備分野)

  • 目的:開発途上国の若者に日本の技能・技術を伝え、母国の産業発展に寄与すること
  • 対象分野:自動車整備を含む幅広い分野(約60職種)
  • 在留期間:最長5年(3年間+1年または2年延長)
  • 特徴:技能実習計画に基づく研修がメイン。原則として同一企業・団体での実習が義務付けられる
  • 資格取得後の活動:原則転職不可、制度終了後は日本での就労は不可(別の在留資格が必要)

2. 特定技能ビザと技能実習制度の主な違い比較表

項目特定技能ビザ(自動車整備)技能実習制度(自動車整備)
目的即戦力人材としての就労技能・技術の習得と母国への還元
在留期間最大5年(特定技能1号)、2号は無期限最大5年(3年+延長)
就労範囲自由(同業他社への転職可能)実習計画内のみ、転職不可
受け入れ形態受入機関(企業)実習実施者と監理団体の管理下
受験資格技能評価試験と日本語試験合格必須研修開始前の一定レベルの日本語が望ましい
対象者実務経験者歓迎、試験合格者主に未経験者(基礎技能を学ぶ)
生活支援受入企業による就労環境整備監理団体によるサポートあり
転職の可否可能原則不可
永住・家族帯同2号で一定条件満たせば可能原則不可

3. 制度のメリット・デメリット

3-1. 特定技能ビザのメリット・デメリット

メリット

  • 即戦力として就労できる
  • 転職自由で長期就労も可能
  • 特定技能2号への移行で家族帯同や永住申請の道も開ける
  • 自動車整備分野は2号の対象でキャリアパスが広い

デメリット

  • 技能評価試験や日本語試験の合格が必須で難易度が高い
  • 受け入れ企業の責任が重い(労働環境整備など)

3-2. 技能実習制度のメリット・デメリット

メリット

  • 未経験者でも日本で技能を学べるチャンス
  • 監理団体の支援があり生活面のフォローが手厚い
  • 母国での技能活用を前提にしているため国際貢献色が強い

デメリット

  • 転職不可、就労範囲が制限される
  • 期間終了後に日本での継続就労は難しい
  • 一部で労働環境の問題が指摘されている(制度改善中)

4. どちらの制度を選ぶべきか?

4-1. 実務経験や日本語能力がある場合

特定技能ビザがおすすめ。即戦力として働きつつ、日本での長期的なキャリア構築が可能です。

4-2. 未経験から自動車整備技術を学びたい場合

技能実習制度が適しています。基礎から技能を習得し、母国へ技能を持ち帰ることが目的です。

4-3. 企業側の受け入れ体制や制度運用の違いも重要

  • 特定技能は企業が直接受け入れ責任を負う
  • 技能実習は監理団体の管理下で受け入れ

企業の体制や支援能力に応じて制度を選択する必要があります。


5. まとめ

制度名特徴適した人ポイント
特定技能ビザ実務経験者向けの就労資格。転職自由で長期就労可。実務経験あり・日本語能力ある人試験合格が必要、キャリアパスあり
技能実習制度技能習得目的。未経験者が日本で技術を学ぶ。未経験者・母国での技能活用希望者転職不可、期間限定の研修

日本で自動車整備を志す方は、目的・状況に応じて最適な制度を選択しましょう。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法