外食分野の特定技能ビザと技能実習制度の違いとは?|制度の比較と選び方ガイド

はじめに

日本の外食業界では、労働力不足を補うために外国人労働者の受け入れが進んでいます。特に注目されているのが「特定技能ビザ」と「技能実習制度」です。
しかし、この2つの制度は目的や内容、申請条件などが大きく異なります。

本記事では、外食分野における特定技能ビザと技能実習制度の違いを詳しく比較し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
また、どちらの制度を選ぶべきかのポイントも分かりやすく紹介します。


1. 特定技能ビザとは?

特定技能ビザは、2019年に新設された日本の在留資格で、特定の産業分野において即戦力となる外国人を対象にしています。
外食業は2024年に特定技能2号の対象分野に追加され、飲食店の調理や接客など幅広い業務で外国人労働者の受け入れが可能となりました。

  • 対象者:一定の技能と日本語能力を有する人
  • 在留期間:特定技能1号は最大5年、2号は更新可能で事実上長期滞在可能
  • 資格更新:可能、特定技能2号では家族の帯同も認められている
  • 特徴:即戦力として活躍できることが求められる

詳しくは「特定技能ビザを「外食業」分野で取得するための要件とは?徹底解説!」をご参照ください。


2. 技能実習制度とは?

技能実習制度は、外国人が日本で技能を学び、母国の産業発展に寄与することを目的とした制度です。外食業も技能実習生の受け入れ対象分野に含まれています。

  • 対象者:日本での技能習得を目的とする初心者や未経験者が中心
  • 在留期間:最長3年間(場合によっては5年まで延長可能)
  • 資格更新:3年または5年の期間限定
  • 特徴:技能習得が目的であり、労働者としての位置づけは薄い

技能実習制度の詳細は「外国人技能実習制度について」(厚生労働省)をご参照ください。


3. 外食分野における両制度の比較

比較項目特定技能ビザ技能実習制度
目的即戦力の就労・長期定着技能習得・技術移転
対象者一定の技能・日本語能力がある人技能習得希望の初心者・未経験者
在留期間1号は最長5年、2号は更新・長期可能最長3年(5年まで延長可)
家族帯同2号で可能原則不可
業務内容外食分野の幅広い業務(調理・接客など)技能習得のため限定された業務
受け入れ企業の責任労働環境の整備・支援体制の充実が求められる指導・監督と技能移転の責任が中心
賃金水準一般労働者と同等以上が義務付けられる同一労働の日本人と同等以上

4. 特定技能ビザのメリット・デメリット

メリット

  • 即戦力としてすぐに活躍可能
  • 最大5年以上の滞在が可能で安定した就労環境を提供
  • 特定技能2号なら家族帯同も可能で生活基盤を築きやすい

デメリット

  • 日本語能力や技能試験の合格が必要でハードルが高い
  • 受け入れ企業の負担(環境整備・支援体制の強化)が大きい

5. 技能実習制度のメリット・デメリット

メリット

  • 未経験者でも参加可能で技能習得の機会が得られる
  • 受け入れ企業にとっては比較的導入しやすい

デメリット

  • 在留期間が短く、長期就労には不向き
  • 労働者としての権利保護が弱い場合もある

6. 制度の選び方のポイント

  • 即戦力を求める企業・労働者は「特定技能ビザ」がおすすめ
  • 技能習得を重視し、一定期間の実習を希望する場合は「技能実習制度」が適する
  • 家族帯同や長期定着を希望する場合は特定技能2号を視野に入れることが重要

7. まとめ

外食分野における外国人労働者の受け入れは、労働力不足を解消する重要な施策です。
特定技能ビザと技能実習制度は目的も性質も異なるため、企業や本人のニーズに合わせて適切な制度を選ぶことが成功の鍵となります。


8.参考リンク

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「記事監修」
加納行政書士事務所
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代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法