介護分野の特定技能ビザと技能実習制度の違いとは?|制度の比較と選び方

はじめに

介護業界では人手不足が深刻化しており、外国人労働者の受け入れが拡大しています。代表的な制度として「特定技能ビザ(特定技能1号)」と「技能実習制度」がありますが、それぞれの特徴や違いを理解し、適切な制度選択をすることが重要です。本記事では、介護分野における特定技能ビザと技能実習制度の違いを詳しく解説し、制度の比較と選び方のポイントを紹介します。


1. 介護分野における特定技能ビザとは?

特定技能ビザの概要

特定技能ビザは2019年に新設された在留資格で、即戦力となる外国人労働者を日本に受け入れることを目的としています。介護分野は特定技能1号の16分野のひとつに含まれています。

  • 対象者:日本語能力試験N4以上、介護技能評価試験合格者
  • 在留期間:最長5年間
  • 家族帯同:原則不可(例外あり)
  • 受入れ形態:労働契約による直接雇用

特定技能介護の詳細

特定技能介護は、日本の介護現場で即戦力として働ける人材を確保する制度です。介護福祉士の資格取得を目指すことも可能で、将来的なキャリアアップにつながります。


2. 介護分野における技能実習制度とは?

技能実習制度の概要

技能実習制度は、主に発展途上国の若者が日本で技能を習得し、帰国後に母国の経済発展に貢献することを目的とした制度です。介護分野は2017年から対象に追加されました。

  • 対象者:原則18歳以上、技能実習計画に基づく研修受講者
  • 在留期間:最長3年間(特例で5年まで延長可能)
  • 家族帯同:不可
  • 受入れ形態:監理団体を介した受入れ

介護技能実習の特徴

技能実習は研修や実習を通じて介護技術を習得することが主目的であり、必ずしも長期雇用や労働力確保が目的ではありません。


3. 特定技能ビザと技能実習制度の比較表

項目特定技能ビザ(介護)技能実習制度(介護)
目的即戦力の労働者受け入れ技能習得・技術移転
在留期間最長5年最長3年(特例で5年まで延長可能)
日本語能力N4以上(日本語試験合格が必要)特に日本語能力条件はない
監理団体の関与なし(直接雇用)あり(監理団体を介して管理)
家族帯同原則不可(一部例外あり)不可
キャリアアップ介護福祉士資格取得の道がある取得可能だが難しい
雇用形態労働契約に基づく直接雇用実習計画に基づく実習

4. 介護分野での制度選びのポイント

1) 労働者の目標・キャリア志向を確認する

  • 特定技能ビザは長期的な日本での就労や資格取得を目指す方に向いています。
  • 技能実習制度は技術習得を目的とし、一定期間の実習終了後に母国へ帰国することが前提です。

2) 受入れ側の企業・施設の状況を把握する

  • 監理団体の負担や管理体制がある技能実習に対し、特定技能は直接雇用のため管理が比較的シンプルです。
  • 長期的に安定した人材確保を目指すなら特定技能が適しています。

3) 法令遵守と制度変更への対応

  • 両制度とも法令に基づく厳格な運用が求められ、最新の法改正情報をチェックすることが重要です。

5. まとめ

介護分野で外国人労働者を受け入れる際は、特定技能ビザと技能実習制度の違いを理解した上で、労働者のニーズと受入れ環境に応じて適切な制度を選択しましょう。


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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法