特定技能1号ビザを「宿泊」分野で取得するための要件とは?2号への移行も可能に

外国人観光客の増加や慢性的な人手不足により、日本のホテルや旅館業界では、即戦力として働く外国人材のニーズが高まっています。これを受けて、日本政府は「特定技能」制度を導入し、宿泊業界もその対象分野の一つとして外国人の受け入れを進めています。

この記事では、特定技能1号ビザを「宿泊」分野で取得するための要件や、必要な試験、日本語能力、企業側の条件、そして2025年から可能となった特定技能2号への移行についても詳しく解説します。


1. 特定技能1号「宿泊」分野とは?

「特定技能1号」は、日本の人手不足分野において、一定の技能と日本語能力を有する外国人が就労できる在留資格です。

その中の**「宿泊」分野**では、以下のような業務に従事することが認められています:

  • フロント業務
  • 接客・レストランサービス
  • 客室整備
  • 施設管理
  • 広報・企画

これまで外国人が携われなかった業務も、試験に合格することで就労が可能になります。

出入国在留管理庁:特定技能制度


2. 特定技能1号ビザの取得要件(宿泊分野)

宿泊分野で特定技能1号ビザを取得するには、以下の要件を満たす必要があります:

要件内容
年齢原則18歳以上
技能水準宿泊業技能測定試験に合格していること
日本語力JLPT N4以上またはJFT-Basicの合格が必要
雇用先宿泊分野での雇用が認められた企業であること
支援体制登録支援機関による支援、または企業自らによる支援体制があること

3. 宿泊業技能測定試験について

宿泊業技能測定試験は、ホテルや旅館で必要とされる知識・スキルを問う試験です。合格することで、宿泊業に従事する能力が証明されます。

試験の主な内容:

  • 宿泊サービスの基礎知識
  • 接客マナーと顧客対応
  • 安全管理や衛生対応 など

試験は日本国内および海外(フィリピン、ベトナムなど)でも実施されています。

一般社団法人 宿泊業技能試験センター


4. 日本語能力の要件

外国人が宿泊分野で働くためには、日本語による最低限のコミュニケーションが必要です。

認められている日本語試験:

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上
  • JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)

N4レベルは「日常的な会話が理解できる」程度の語学力であり、外国人観光客だけでなく、日本人客や同僚とのやりとりにも必要です。


5. 受け入れ企業の条件と支援体制

特定技能1号で外国人を雇用する企業には、法務省が定める受け入れ条件を満たす必要があります。

企業側の主な条件:

  • 日本人と同等以上の報酬
  • 社会保険の加入
  • 不当解雇・ハラスメントの禁止
  • 支援計画の実施(住居、生活、日本語学習などの支援)

特定技能外国人支援計画とは?作成方法・支援内容・注意点を解説


6. 在留期間と更新

特定技能1号の在留期間は以下のとおりです:

  • 初回:最大1年間
  • 更新可能:6か月または1年単位で最大5年まで滞在可能

特定技能1号は原則として最長5年間の在留が上限ですが、一定条件を満たすことで2号への移行も可能となりました。


7. 【最新情報】特定技能2号への移行が可能に

2025年から、宿泊分野でも「特定技能2号」への移行が正式に認められました!

特定技能2号の特徴:

項目内容
在留期間無期限(更新制)
家族帯同配偶者・子の帯同が可能
永住権の申請条件を満たせば将来的に可能
技能要件「2号技能評価試験」の合格が必要(試験準備中)

これにより、宿泊分野でも長期雇用・キャリアアップ・家族と一緒の生活が可能になります。

出入国在留管理庁:特定技能2号の対象分野の追加について


8. 申請サポートを行政書士に依頼するメリット

特定技能ビザの申請や更新は、多くの書類と複雑な手続きが必要です。行政書士に依頼することで以下のようなメリットがあります。

  • 申請書類のチェックと作成代行
  • 支援計画の作成支援
  • 入管との対応を代行
  • 不許可リスクの最小化
  • 2号への移行に向けた中長期サポート

9. まとめと今後の展望

この記事のまとめ:

  • 宿泊分野では、特定技能1号ビザを取得することで外国人が幅広い業務に従事可能
  • 宿泊業技能試験と日本語試験(N4レベル)に合格が必須
  • 企業側にも支援体制の整備が求められる
  • 2025年から特定技能2号への移行が可能になり、長期的なキャリア形成も可能に

特定技能制度は今後も拡充が見込まれており、外国人の活躍機会はさらに広がるでしょう。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法