【採用担当者向け】特定技能と技能実習の使い分け方と注意点

はじめに

外国人労働者の受け入れ制度として、「特定技能制度」と「技能実習制度」は似ているようで、その目的や在留資格の内容には大きな違いがあります。企業が外国人を採用する際、どちらの制度を活用するかを適切に判断することが、円滑な雇用管理と法令遵守につながります。

この記事では、特定技能制度と技能実習制度の違いを目的・対象分野・在留期間・就労内容などの観点から分かりやすく解説します。


1.制度の概要と目的の違い

比較項目特定技能制度技能実習制度
制度開始2019年1993年
目的労働力不足の解消(即戦力の受け入れ)技術移転による国際貢献(人材育成)
制度の性質労働力受け入れ制度人材育成・研修制度
対象者一定の技能・日本語能力を有する外国人開発途上国の若年層などが中心

技能実習制度はあくまで「国際貢献」を目的とし、実務を通じて技術を母国に持ち帰ることが期待されています。一方、特定技能制度は即戦力となる外国人を労働者として受け入れることを主眼としています。


2.在留資格・就労制限の違い

比較項目特定技能1号技能実習
在留期間最大5年(1年ごと更新)最長5年(段階的)
家族の帯同原則不可不可
転職分野内で可能原則不可(例外あり)
職種の数12分野・87業種(※2025年6月時点)約80職種(随時見直し)
受け入れ企業の義務支援計画の実施など義務あり実習計画に基づく監理団体の関与

特定技能制度では、受け入れ企業が「特定技能1号支援計画」を作成し、外国人労働者に対して生活支援や職場定着支援を行う義務があります(出入国在留管理庁|特定技能制度 参照)。


3.試験・条件の違い

比較項目特定技能制度技能実習制度
日本語能力N4相当以上(業種による)不問(研修中に学習)
技能試験分野ごとの技能評価試験に合格不要(受入企業での実技教育)
学歴・職歴要件原則不要(試験合格で可)原則として母国での職歴や学歴が求められることも

技能実習制度は受け入れ国との二国間協定などを通じて展開されており、送り出し機関の関与が不可欠です。一方、特定技能は比較的透明性の高い試験制度により外国人が自力で申請することも可能です。


4.転職やキャリアパスの違い

比較項目特定技能1号技能実習
転職の可否分野内であれば可原則不可
上位在留資格への移行特定技能2号へ移行可特定技能1号などに移行可(条件あり)
将来的な永住2号に移行すれば家族帯同・永住も視野に直接永住申請は不可(変更が必要)

特定技能制度では、技能・語学が一定水準に達すれば「特定技能2号」へ移行し、長期滞在や家族の帯同も可能になります(対象分野限定)。一方、技能実習は原則的に5年で終了する制度です。


5.まとめ:どちらの制度が適しているか?

状況適した制度
長期的な戦力として雇用したい特定技能制度
国際貢献や研修的要素を重視技能実習制度
人手不足で即戦力が必要特定技能制度
外国人材の育成を目的にしている技能実習制度

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7.参考資料・外部リンク


8.まとめ

**特定技能制度は「即戦力の労働力」、技能実習制度は「育成型の国際貢献」**という点で目的も制度設計も異なります。
企業は雇用目的や業種の人材需要に応じて、どちらの制度を活用するかを慎重に検討する必要があります。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法