【企業向け】特定技能1号ビザ完全ガイド:外国人材活用で人手不足を解消!

人手不足は、現代の日本企業が直面する最も深刻な課題の一つです。帝国データバンクの調査によれば、2024年4月時点で、従業員が不足していると感じている企業は**52.6%に上り、特に非正規従業員では31.0%**と、依然として高水準で推移しています。このような状況下で、外国人材の活用は企業の持続的成長に不可欠な戦略となりつつあります。

本記事では、特に中小企業の方々に向けて、特定技能1号ビザを徹底解説します。この制度を理解し活用することで、貴社の人手不足を解消し、事業拡大の道を切り拓くことができるでしょう。


特定技能ビザとは?日本の人手不足を救う新たな在留資格

特定技能ビザは、2019年4月に施行された比較的新しい在留資格です。日本の産業界が抱える深刻な人手不足を解消するため、即戦力となる外国人材を受け入れることを目的としています。このビザは、特定の産業分野において専門性や技能を持つ外国人が、日本で一定期間働くことを許可するものです。

特定技能ビザの種類

特定技能ビザには、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。

  • 特定技能1号: 特定の分野において相当程度の知識または経験を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格です。在留期間は通算で上限5年。家族の帯同は基本的に認められません。
  • 特定技能2号: 特定の分野において熟練した技能を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格です。在留期間に上限はなく、条件を満たせば永住も可能となります。家族の帯同も認められます。

本記事では、多くの企業様にとってまず第一の選択肢となる特定技能1号に焦点を当てて解説を進めます。


特定技能1号ビザのメリット:企業と外国人双方に恩恵

特定技能1号ビザの活用は、企業と外国人材双方に多くのメリットをもたらします。

企業側のメリット

  1. 深刻な人手不足の解消: 特定技能1号ビザは、特に人手不足が深刻な分野に特化しているため、即戦力となる人材を効果的に確保できます。
  2. 優秀な外国人材の確保: 日本での就労を希望する意欲の高い外国人材の中から、必要な技能と日本語能力を持つ人材を受け入れることができます。
  3. 多文化共生の推進: 多様なバックグラウンドを持つ外国人材を受け入れることで、社内のダイバーシティが推進され、新たな視点やイノベーションが生まれる可能性があります。
  4. 採用コストの最適化: 技能実習制度などと比較して、比較的短期間で採用に繋がるケースが多く、採用プロセスにかかるコストや時間を最適化できる場合があります。
  5. 支援体制の明確化: 受け入れ企業には、外国人材に対する生活・就労支援が義務付けられており、これにより外国人材が日本で安心して働くことができる環境が整備されます。

外国人材側のメリット

  1. 日本での就労機会の獲得: 日本で働くことを希望する外国人にとって、特定技能ビザは正規の就労機会を得るための重要なパスポートとなります。
  2. キャリアアップの可能性: 日本で実務経験を積むことで、母国でのキャリアアップや将来的な独立に繋がる可能性があります。
  3. 安定した生活基盤: 企業によるサポートがあるため、日本での生活の立ち上げや就労に関する不安が軽減されます。
  4. 特定技能2号への移行: 経験や技能を積み、要件を満たせば、特定技能2号への移行も視野に入り、日本での長期的な在留も可能になります。

特定技能1号の対象分野:貴社の課題解決に繋がる16分野

特定技能1号ビザは、特に人手不足が深刻な以下の16分野で外国人材の受け入れが認められています。貴社の事業内容がどの分野に該当するかご確認ください。

  1. 介護: 身体介護等
  2. ビルクリーニング: 建築物内部の清掃
  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業: 鋳造、鍛造、金属プレス加工など
  4. 建設: 型枠施工、左官、屋根施工など
  5. 造船・舶用工業: 溶接、塗装、鉄工など
  6. 自動車整備: 自動車の点検・整備・修理
  7. 航空: 空港グランドハンドリング、航空機整備
  8. 宿泊: フロント、接客、レストランサービスなど
  9. 農業: 耕種農業、畜産農業
  10. 漁業: 漁業、養殖業
  11. 飲食料品製造業: 飲食料品製造全般
  12. 外食業: 飲食物調理、接客
  13. 産業機械製造業: 産業機械製造
  14. 電気・電子情報関連産業: 電子部品製造
  15. 建設資材産業: 建設資材製造
  16. サービス業(清掃・宿泊・外食など以外のサービス業全般): 例:小売業、警備業、その他サービス業

特定技能1号の取得要件:外国人材と企業の双方に求められるもの

特定技能1号ビザを取得するためには、外国人材と受け入れ企業の双方にそれぞれ要件が課せられます。

外国人材に求められる要件

  1. 技能水準: 各分野の技能試験に合格するか、または特定の技能実習2号を良好に修了していること。
  2. 日本語能力水準: 日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストに合格していること。
  3. 健康状態: 健康であること。
  4. 過去の在留状況: 不法残留や強制退去などの過去がないこと。

受け入れ企業(特定技能所属機関)に求められる要件

  1. 適正な事業活動: 特定技能外国人を受け入れる事業が適正に行われていること。
  2. 特定技能外国人支援計画の策定・実施: 外国人材が日本で安心して働き、生活できるよう、適切な支援計画を策定し、実施する義務があります。この支援は、登録支援機関に委託することも可能です。
    • 支援計画の内容例:
      • 入国前の情報提供(日本の生活習慣、労働条件等)
      • 空港への送迎
      • 住居の確保、生活オリエンテーション
      • 日本語学習機会の提供
      • 生活相談、苦情対応
      • 転職支援(やむを得ない場合)
  3. 労働関係法令の遵守: 労働基準法、労働安全衛生法などの日本の労働関係法令を遵守していること。
  4. 報酬水準: 特定技能外国人の報酬額が、日本人が従事する場合の報酬額と同等以上であること。
  5. その他: 欠格事由に該当しないこと(例:過去に不正行為や重大な法令違反がないこと)。

これらの要件をクリアすることで、特定技能1号ビザの取得が可能となります。特に、支援計画の策定と実施は企業の重要な役割であり、外国人材が安定して働くための基盤となります。


特定技能1号ビザ取得までの流れ:スムーズな手続きのために

特定技能1号ビザを取得するまでの大まかな流れは以下の通りです。

  1. 人材の募集・選定:
    • 自社で直接募集するか、人材紹介会社や送り出し機関を通じて外国人材を探します。
    • 特定技能1号では、特定の技能試験の合格者、または技能実習2号を良好に修了した人材が対象となります。
  2. 雇用契約の締結:
    • 内定した外国人材と雇用契約を締結します。この際、賃金、労働時間、業務内容などを明確に提示します。
  3. 支援計画の策定:
    • 特定技能所属機関(受け入れ企業)は、外国人材に対する支援計画を策定します。
    • 自社で支援を行う(自己支援)か、登録支援機関に委託するかを選択します。
  4. 在留資格認定証明書交付申請:
    • 外国人材が日本に入国する前に、地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書(COE)の交付を申請します。
    • 必要書類:雇用契約書、支援計画、企業の登記事項証明書、損益計算書、外国人材のパスポートのコピー、技能試験合格証明書、日本語能力証明書など。
    • この申請は、企業側または代理人(行政書士など)が行います。
  5. 在留資格認定証明書の交付:
    • 申請が承認されると、在留資格認定証明書が交付されます。
  6. 査証(ビザ)申請:
    • 交付された在留資格認定証明書を外国人材に送付し、外国人材は母国の日本大使館または総領事館で査証(ビザ)を申請します。
  7. 入国・在留カードの交付:
    • 査証が発給された外国人材は日本に入国し、空港で在留カードが交付されます。
  8. 就労開始・支援の実施:
    • 入国後、企業は支援計画に基づき、外国人材に対する生活・就労支援を開始し、就労が始まります。

これらの手続きは複雑に感じるかもしれませんが、専門家である行政書士登録支援機関と連携することで、スムーズに進めることが可能です。


外部関連情報

  • 出入国在留管理庁: 特定技能制度に関する最新情報や詳細な要件を確認できます。
  • 厚生労働省: 労働基準や賃金に関する情報。
  • 国際交流基金: 日本語能力試験(JLPT)に関する情報。

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まとめ:特定技能1号ビザで貴社の未来を拓く

特定技能1号ビザは、日本企業が直面する人手不足という喫緊の課題に対し、非常に有効な解決策を提供します。即戦力となる外国人材を受け入れることで、貴社の生産性向上、事業拡大、そして持続的な成長を実現できる可能性を秘めています。

手続きや要件について不安を感じる企業様もいらっしゃるかもしれませんが、専門家である行政書士や登録支援機関のサポートを活用することで、安心して外国人材を受け入れられる体制を構築できます。

外国人材の活用は、単なる人手不足の解消に留まらず、企業のグローバル化を推進し、新たな価値を創造する大きなチャンスです。この機会に、特定技能1号ビザの活用を真剣にご検討されてみてはいかがでしょうか。

貴社の事業の成長に、外国人材が貢献できるよう、ぜひ一歩を踏み出してみてください。ご不明な点や具体的なご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法