特定技能外国人受け入れ手続き詳細ガイド:成功への道筋
目次
1. 特定技能制度の理解を深める
特定技能制度は、日本国内で人材確保が困難な産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。在留期間の上限は5年で、家族の帯同は基本的に認められません。
特定技能の対象分野(2025年6月現在): 特定技能の対象分野は、以下の16分野です。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 繊維工業
- 飲食料品関連産業
- 工業製品製造業
- 電気・電子情報関連産業
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2. 特定技能外国人の要件
特定技能外国人として日本で働くためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 技能水準: 各分野で定められた技能評価試験に合格するか、相当の技能を持つと認められること。
- 日本語能力水準: 日本語能力試験N4相当以上の日本語能力があること。(ただし、介護分野はN3相当、建設分野は特定の試験合格が必要など、分野によって異なる場合があります。)
- 健康状態: 健康診断の結果、問題がないこと。
- 素行: 犯罪歴などがないこと。
3. 受け入れ企業(特定技能所属機関)の要件
特定技能外国人を受け入れる企業は、以下の要件を満たす必要があります。
- 特定技能外国人を適正に受け入れ、支援できる体制が整っていること。
- 特定技能外国人に対する支援計画を作成し、実施すること。
- 雇用契約が適正であること(日本人と同等以上の報酬など)。
- 過去に労働関係法令違反などがないこと。
4. 受け入れまでの主要なステップ
特定技能外国人の受け入れは、以下のステップで進められます。
ステップ1:外国人材の募集・選定
- 海外の送出し機関との連携: 多くの企業が、海外の送出し機関を通じて人材を募集します。送出し機関は、候補者の募集、面接、技能・日本語教育などを行います。
- 国内での募集: 在留資格を持つ外国人材を国内で直接募集することも可能です。
- 面接・採用: 候補者のスキル、日本語能力、意欲などを総合的に判断し、採用を決定します。
ステップ2:雇用契約の締結
- 特定技能外国人との間で、雇用条件を明記した雇用契約を締結します。
- 労働条件は、日本人と同等以上であることが必須です。
ステップ3:支援計画の作成
- 特定技能外国人が日本で安定して生活し、働くことができるよう、受入れ企業は「支援計画」を作成します。
- 支援内容には、住居の確保、生活オリエンテーション、相談対応、日本語学習の機会提供などが含まれます。
- 登録支援機関に支援業務を委託することも可能です。
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ステップ4:在留資格認定証明書交付申請(海外在住者の場合)
- 採用した外国人が海外にいる場合、受入れ企業は出入国在留管理庁に「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
- 申請には、雇用契約書、支援計画、企業の登記事項証明書、外国人のパスポートの写し、技能・日本語能力を証明する書類など、多くの書類が必要です。
ステップ5:査証(ビザ)の申請・入国
- 在留資格認定証明書が交付されたら、外国人は現地の日本大使館・領事館で査証(ビザ)を申請します。
- 査証が発給されたら、いよいよ日本への入国となります。
ステップ6:在留資格変更許可申請(日本在住者の場合)
- 既に日本に在留している外国人を特定技能として雇用する場合(例:技能実習生から特定技能への移行)、受入れ企業は出入国在留管理庁に「在留資格変更許可申請」を行います。
ステップ7:特定技能外国人の受け入れ・支援の開始
- 入国後、支援計画に基づき、生活オリエンテーション、役所への届出同行、住居の確保、銀行口座開設支援など、必要な支援を実施します。
- 定期的な面談を通じて、特定技能外国人の状況を把握し、困りごとがあれば解決に努めます。
5. 登録支援機関の活用
特定技能外国人への支援は多岐にわたり、受入れ企業にとっては大きな負担となる場合があります。そこで活用したいのが「登録支援機関」です。
登録支援機関は、出入国在留管理庁に登録された機関で、特定技能外国人に対する支援業務を代行することができます。専門知識を持つ登録支援機関に委託することで、企業は本業に集中しつつ、適正な支援を実現できます。
登録支援機関に委託できる主な業務:
- 事前ガイダンス
- 出入国時の送迎
- 住居確保の支援
- 生活オリエンテーション
- 公的機関への手続等への同行
- 日本語学習の機会提供
- 相談・苦情への対応
- 日本の生活ルール、日本の行政機関に関する情報の提供
- 特定技能外国人とその監督をする立場にある者との面談
- 転職支援
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6. 受け入れ後の留意点
- 定期的な報告: 特定技能外国人を受け入れた企業は、定期的に出入国在留管理庁へ報告を行う必要があります。
- 労働関係法令の遵守: 労働時間、賃金、安全衛生など、日本の労働関係法令を遵守し、適正な労働環境を提供することが求められます。
- 異文化理解: 外国人材との円滑なコミュニケーションのためには、異文化理解が不可欠です。社内での研修などを通じて、意識を高めることが重要です。
7. よくある質問 (FAQ)
Q1. 特定技能外国人の採用にはどれくらいの期間がかかりますか? A. 海外からの招聘の場合、募集から入国まで3ヶ月~6ヶ月程度が目安となります。国内在住者の場合は、より短期間で進む可能性があります。
Q2. 費用はどれくらいかかりますか? A. 採用経路(海外送出し機関の利用の有無など)や登録支援機関への委託内容によって大きく異なります。主な費用としては、送出し機関への手数料、渡航費、在留資格申請手数料、登録支援機関への委託費用などがあります。
Q3. 特定技能外国人が途中で辞めてしまった場合、どうなりますか? A. 正当な理由なく離職した場合、在留資格が取り消される可能性があります。企業は、離職後も転職支援などを行う必要があります。
まとめ:特定技能外国人受け入れの成功のために
特定技能外国人の受け入れは、企業の成長にとって大きな可能性を秘めています。しかし、成功のためには、制度の正確な理解、丁寧な手続き、そして何よりも外国人材へのきめ細やかな支援が不可欠です。本ガイドが、貴社の特定技能外国人受け入れの一助となれば幸いです。ご不明な点やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |