1,日本に住んでいる外国人を特定技能外国人として雇用できますか?

 日本に住んでいる外国人は、何らかの中長期の在留資格を保有しています。そして、日本に住んでいる外国人を特定技能外国人として雇用する場合には、在留資格と「特定技能」に変更する必要があります。

 特定技能ビザ取得の為に合格する必要がある技能試験は、在留資格を持つ外国人であれば日本でも受験することができます。よって、特定技能ビザを取得するために一度帰国する必要はありません。

 特定技能外国人として雇用できる日本に住んでいる外国人は、一般的には以下の外国人が該当します。

「特定技能で雇用できる日本在住の外国人の例」

・留学ビザで在留する外国人が学校を卒業後に特定技能外国人として就労することを希望する場合
・技能実習2号を良好にした技能実習生が特定技能ビザへの変更を希望する場合

2,日本在住の外国人を特定技能外国人として雇用する手順はどうなりますか?

 日本在住の外国人を、特定技能外国人として雇用するまでの流れは、以下のようになります。

手順1 日本で技能評価試験と日本語能力試験に合格する

 特定技能ビザを取得するためには、各産業分野ごとに実施されている技能評価試験と日本語能力試験に合格する必要があります。なお、技能実習2号を良好に修了した場合は、これらの試験は免除されます。もっとも、技能実習の実習分野と異なる分野の特定技能ビザを取得するためには、上記の試験に合格する必要があります。技能実習2号良好修了者とは、以下に該当する者のことを指します。

「技能実習2号良好修了者」

技能実習2号良好修了者とは、技能実習を2年10月以上終了し、かつ①技能検定3級又はこれに相当する技能評価試験に合格している、②技能実習生に関する評価調書がある、のいずれかに該当する者です。

手順2 ハローワークその他職業紹介機関の斡旋または外国人の応募

 特定技能評価試験と日本語能力試験に合格した外国人は、特定技能外国人の求人に応募することができます。また、特定技能外国人の雇用を考える受入企業は、自社で採用活動を行うことの他、ハローワークその他の職業紹介機関を利用して求人を出して、特定技能外国人材を確保することが多いです。

手順3 受入企業と特定技能雇用契約締結

 特定技能外国人としての採用が決まったら、受入企業と外国人が「特定技能雇用契約」を締結します。「特定技能雇用契約」の内容としては、同種同等の業務に従事する日本人と同等以上の報酬であることが要求されます。また、福利厚生や研修教育などの点でも、日本人との差別的取り扱いは許されません。

 特定技能外国人の受入企業は、特定技能外国人を支援する義務があります。特定技能外国人支援計画を作成し、特定技能外国人との契約を締結したら直ちに支援計画を実施していく必要があります。具体的には、事前のガイダンスや健康診断などの支援は、在留資格申請前に実施していく必要があります。なお、これらの支援義務は登録支援機関に委託することもできます。

手順4 特定技能ビザへの在留資格変更許可申請

 特定技能雇用契約を締結したら、地方出入国在留管理官署に在留資格変更許可申請を行います。そして、特定技能ビザの許可要件を充足している場合は、許可されます。外国人本人は、特定技能ビザを取得するためには、以下の要件を充足している必要があります。

「特定技能外国人の要件」

・18歳以上であること
・技能試験および日本語試験に合格していること (技能実習2号を良好に修了した外国人は免許)
・特定技能1号として通算5年以上在留していないこと
・保証金を徴収されていないこと
・違約金を定める契約を締結していないこと
・自らが負担する費用がある場合、内容を十分に理解していること

「必要書類」

・写真
・日本での活動内容に応じた資料
・在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含む。)
・資格外活動許可書(同許可書の交付を受けている者に限る)
・旅券又は在留資格証明書
・旅券又は在留資格証明書を提示することができない場合は、その理由を記載した理由書
・身分を証する文書等(申請取次者が申請を提出する場合)

手順5 就労開始

 特定技能ビザへの変更を許可されたら就労することができます。特定技能ビザへの変更許可前の申請中に就労した場合は、不法就労となります。この場合は、間違いなく不許可になります。なお、変更が許可された後も、特定技能外国人の受入企業は、特定技能外国人支援計画の実施状況や報酬の支払に関する報告を、定期的に行っていくことが要求されます。

 
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

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