1,短期滞在ビザ(短期滞在査証)申請が不許可になるのはどんな場合ですか?

(1)不法滞在歴(オーバーステイ)がある場合

 短期滞在ビザが不許可になる理由の一つに、過去の不法滞在歴(オーバーステイ)があります。入管法第70条は不法残留罪を定め、罰則を持ってオーバーステイを禁止しています。もっとも、過去にオーバーステイ歴があるからといって、必ずしも短期滞在ビザ申請が不許可になるわけではありません。しかし、オーバーステイ歴がある場合は、審査が厳しくなることは否めません。

 悪質ではない不法滞在、例えば故意によらないオーバーステイで、在留期限を失念したためにオーバーステイとなってしまったような場合は、別途書類を作成して事情を説明し審査官の理解を得ることが必要です。この場合は、「嘆願書」と「上申書」を作成して事情を説明してください。

(2)身元保証人が不適切(年収が低いなど)な場合

 短期滞在ビザは、基本的には日本にいる人や会社が、申請人となる外国人を日本に呼び寄せるという形で申請します。このような方法で短期滞在ビザを申請するため、日本にいる招聘人や身元保証人が必要となってきます。身元保証人は、申請人である外国人が日本に滞在している間の滞在費や帰国費用などを保証します。よって、身元保証人となるためには、安定した収入があることが要件とされています。

 身元保証人の年収が低い場合は、身元保証人として適切ではないとして不許可となってしまいます。一般的に、身元保証人には下記の年収や預貯金があることが求められます。

収入年収250万円~300万円程度
預貯金など100万円程度

(3)滞在目的と希望滞在期間が整合しない場合

 滞在目的と滞在期間との間に整合性が認められない場合は、不許可になってしまいます。滞在目的と滞在期間との間に整合性が認められない場合は、就労するのではないかとの疑義が生じやすくなります。

 例えば、下記のようなケースでは、滞在目的と滞在期間との間の整合性を説明することは難しくなると考えます。

滞在目的:日本法人の社員との会議や工場視察
希望滞在期間:90日

 このケースでは、外国子会社の社員が日本法人の社員との会議や工場視察のために、滞在期間90日間の短期滞在ビザが必要なのかという疑義が生じてきます。会議や視察に必要な日数としては、30日もあれば十分と考えられます。審査官が、実際には就労するのでなないか、との疑念を持った場合は不許可になります。

(4)住民票と申請書類記載の住所が一致しない場合

短期滞在ビザは、基本的には日本にいる人や会社が、申請人となる外国人を日本に呼び寄せるという形で申請します。このような方法で短期滞在ビザを申請するため、日本にいる招聘人や身元保証人が必要となってきます。そして、必要書類として招聘人や身元保証人の住民票を提出することになります。この住民票と申請書類記載の住所が一致しない場合は不許可になります。住民票と申請書記載の住所の不一致は以下のような場合に生じるので、気を付ける必要があります。

・住民票は実家のまま一人暮らしをしている場合
・最近引っ越した場合
・海外から最近帰国してまだ住民票の届をしていない場合

(5)提出書類に不備がある場合

 短期滞在ビザ申請に必要な書類は、外務省のホームページに掲載されています。もっとも、外務省のホームページに掲載されている必要書類は、申請受理に必要最低限の書類に過ぎず、ホームページ掲載の必要書類を提出すれば必ず許可されるわけではありません。ホームページ掲載の必要書類を提出すれば許可される場合もありますが、不十分な場合もあります。申請後に追加書類の提出を求められた場合に、要求された追加書類を提出できなかった場合は、不許可になります。

(6)関係性証明が不十分な場合

 短期滞在ビザ申請の許可要件の1つに、「関連性」があります。招聘人と関係性のない人物を、短期滞在ビザで日本に呼ぶことはできません。この関連性は、申請人である外国人を、日本に呼び寄せることになった経緯と理由を説明することによって、明らかにします。

 この関連性を説明できる書類は、招聘理由書のみに限られます。招聘理由書では、申請人である外国人を日本に呼び寄せることになった、経緯や理由を記載します。この招聘の経緯や理由を説明できる書類も招聘理由書のみに限られます。よって、この招聘理由書が説得力ある内容であることが、重要となってきます。

 申請人である外国人を日本に呼ぶ理由や招聘人との関係性についての十分な説明や証明資料しない場合は、審査官に疑義が生じ短期滞在ビザは不許可になってしまいます。

2,短期滞在ビザが不許可になった場合、すぐに再申請できますか?

 短期滞在ビザ申請が不許可になった場合は、不許可後6か月間は同一の目的の再申請はできません。また、在留資格認定申請や変更申請の場合は、不許可となった場合は不許可理由を聞きに行くことができますが、短期滞在ビザの場合は不許可理由を聞くことはできません。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法