目次
1,特定技能ビザから配偶者ビザへ変更できますか?
特定技能ビザで日本に在留している外国人が、日本人と結婚した場合は配偶者ビザに変更することが出来ます。特定技能ビザには通算で5年間という認められる在留期間の上限がありますが、日本人と結婚して配偶者ビザに変更することが禁じられているわけではありません。
そもそも、特定技能制度は、人手不足が深刻化している特定産業分野において人手不足に対応するため、一定の専門性・技術性を持った外国人を受け入れることによって、特定産業分野の存続・発展を図り、日本経済や社会基盤の持続可能性を維持することを制度目的としています。このような制度趣旨に鑑みると、特定技能外国人が配偶者ビザへ変更すること自体は制限されていないと考えられます。
2,技能実習ビザから配偶者ビザへ変更することができますか?
技能実習ビザで日本に滞在している外国人の場合は、日本人と結婚した場合でも配偶者ビザに変更することは難しくなります。基本的には、技能実習生が日本人と結婚した場合は、一度帰国して配偶者ビザの在留資格認定証明書交付申請を行い、新たに在留資格を取り直す必要があります。
特定技能ビザの場合と異なり技能実習ビザの場合は配偶者ビザへの変更が困難になる理由は、各々の制度趣旨の違いに求められます。
(1)技能実習制度の趣旨
特定技能ビザとは異なり、技能実習制度は外国人技能実習生が、本国において習得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を日本で達成することを目的としています。そして、我が国で養われた技能、技術又は知識(以下、技能等)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済的発展を担う「人づくり」に寄与し国際協力を推進すること、を制度趣旨としています。このように、技能実習生は技能実習が終了した後は、本国に帰国して、本国で修得した技能を生かして、本国の発展に寄与することが想定されています。
(2)技能実習ビザからのビザ変更が困難な理由
技能実習生が、技能実習期間中に日本人と結婚したため、配偶者ビザに変更することは、上記技能実習の制度趣旨と整合しなくなることになります。つまり、配偶者ビザへ変更することは、日本で配偶者と生活することを意味するため、本国に帰国して本国の発展に寄与するという技能実習制度の目的を実現できないことになります。このような背景から、配偶者ビザをはじめ、技能実習ビザから他の中長期の在留資格に変更することは原則として認められないことになっています(特定技能1号を除く)。もっとも、技能実習生である外国人配偶者が、既に妊娠している又は出産しているなどの事情がある場合は、人道的見地から帰国しなくても配偶者ビザへ変更することが認められる場合もあります。
3,配偶者ビザへ変更するメリットはありますか?
(1)通算5年の在留期間の上限がなくなる
特定技能ビザから配偶者ビザへ変更する一番のメリットは、通算5年の在留期間の上限がなくなることにあります。特定技能1号ビザは、通算で5年間という在留期間の上限があります。これに対し、配偶者ビザの場合は、更新が認められる限り永続的に日本に在留することが認められます。
(2)就労制限がなくなる
特定技能ビザには、就労できる業種・職種に制限があります。特定技能ビザでは、技能評価試験に合格している産業分野や区分以外の業務に従事することが認められていません。他の分野や区分の業務に従事する場合は、あらたに当該分野の技能評価試験に合格する必要があります。これに対し、配偶者ビザには就労制限はありません。風営関係も含め違法行為でない限りどんな仕事をすることも可能です。パチンコ屋で働けます。
4,配偶者ビザ変更に必要な書類は何ですか?
特定技能ビザから配偶者ビザへの変更には以下の書類が必要になります。
「必要書類」
①在留資格変更許可申請書 1通 ※出入国在留管理庁のHPからダウンロード可 ②写真(縦4cm×横3cm) 1葉 ③配偶者(日本人)の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通 ※発行より3か月以内 ④申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通 ⑤申請人の滞在費用を支弁する人の直近1年分の住民税の課税(もしくは非課税)証明書、納税証明書 各1通 ⑥配偶者(日本人)の身元保証書 1通 ※出入国在留管理庁のHPからダウンロード可 ⑦配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通 ⑧質問書 1通 ⑨夫婦間の交流が確認できる資料 ※SNSの記録やスナップ写真など ⑩パスポートの提示 ⑪在留カードの提示 |
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |