1,特定技能ビザの在留期間はどれくらいですか?

 特定技能ビザには在留期間が付与されています。この在留期間の満了日が到来した場合は、帰国する又は在留期間更新許可申請を行う必要があります。在留期間の満了日を徒過したにもかかわらず、在留期間更新許可申請を行わず日本に在留していた場合は、不法滞在となります。特定技能ビザで認められる在留期間は、特定技能1号と2号とで異なってきます。特定技能ビザで認められる在留期間は以下の通りです。

特定技能1号:1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで
特定技能2号:3年、1年又は6か月ごとの更新、上限なし

3,特定技能ビザとは何ですか?

 特定技能制度とは、一定の専門性・技術性を有し即戦力となると考えられる外国人を受け入れることによって、人手不足が深刻となっている産業分野の人手不足に対応するために2019年に新たに創設された制度です。本制度の創設にあたっては、技能実習制度であった問題点の反省や単純労働者の受入・移民政策といった批判もあったため、制度設計は非常に緻密となっています。このような背景もあり、特定技能ビザの申請にあたっては、出入国在留管理庁に提出する書類は、他の就労ビザに比較して膨大な量となり、許可要件に則した書類収集や作成が必要となってきます。

3,特定技能ビザ更新手続きは、どんな手順で進みますか?

 特定技能ビザの更新申請は以下のような手順で手続きが進みます。下記の通り特定技能ビザの更新申請では、審査期間として2週間から1か月程度必要とされます。よって更新申請の準備は、在留期間満了日の2か月前には開始することが好ましと考えます。申請は、居住地を管轄する地方出入国管理局の窓口に持参する、又はインターネットでも申請できます。更新申請の許可不許可の結果通知は、ハガキが郵送されてきます。

①必要書類の収集と作成

②在留期間更新許可申請(入管へ必要書類一式を提出)

③審査期間(2週間~1か月)

④審査結果通知の受け取り

4,特定技能ビザ更新申請の必要書類は何ですか?

 特定技能ビザには1号と2号があります。特定技能ビザの更新許可申請では、1号と2号とで必要書類は少し異なります。特定技能2号の場合は、特定技能1号で在留した後、特定技能2号へ移行しない場合に帰国することを誓約する書類である「通算在留期間に係る誓約書」が不要になります。

 特定技能の更新許可申請に必要となる書類は以下の通りです。「申請人の必要書類」、雇い主が法人の場合の「法人の必要書類」個人事業主の場合の「個人事業主の必要書類」に分けて各々検討します。

申請人の必要書類
・提出書類一覧
・確認表
・申請する特定技能外国人の名簿
※複数人が同時に申請する場合
・在留期間更新許可申請書
・特定技能外国人の報酬に関する説明書
・特定技能雇用計画書の写し
・雇用条件書の写し
・通算在留期間に係る誓約書
・直近1年分の個人住民税の課税証明書及び納税証明書
※確定申告をしていない場合に必要
・給与所得の源泉徴収票
※確定申告をしていない場合に必要 課税証明書の内容に対する年度
・税目を源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税とする納税証明書
※確定申告をしている場合に必要
・特定技能所属機関概要書
・登記事項証明書
・役員の住民票の写し(業務執行に関与する役員)
・特定技能所属機関の役員に関する誓約書(業務執行に関与しない役員)
※住民票の写しの提出を省略する役員がいる場合に必要
・決算文書の写し(損益計算書及び貸借対照表)
※直近2年分
・法人税の確定申告書の控えの写し
※直近2年分
・領収書の写しと(直近1年分)、労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控え)の写し(領収書に対応する分)
・雇用保険被保険者資格取得確認通知書(事業主控え)の写し
※所属機関が労働保険適用事業所でない場合に必要
・「社会保険料納付状況照会回答票」もしくは「健康保険・厚生年金保険料領収書の写し」
※申請月の前々月までの24か月分全て
・税目を源泉所得及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税とする納税証明書 ・(地方税)税目を法人住民税とする納税証明書(前年度分)
※市区町村発行の納税証明書 ・当該分野の協議会の構成員であることの証明書
備考 「直近1年分の住民税の課税証明書及び納付証明書」や「給与所得の源泉徴収票」は、過去1年以内の在留資格認定証明書交付申請で提出している場合は、提出は必要とされません。
法人の必要書類
・特定技能所属機関概要書
・登記事項証明書
・業務執行に関与する役員の住民票の写し
※マイナンバーの記載がなく本籍地が記載されたもの
・特定技能所属機関の役員に関する誓約書
※特定技能外国人の受入れに関する業務執行に関与しない役員がいる場合のみ
・労働保険概算
・増加概算
・確定保険料申告書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
※労働保険事務組合に事務委託していない場合
・労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険等納入通知書の写し及び通知書に対応する領収書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
※労働保険事務組合に事務委託している場合
・社会保険料納入状況回答票または健康保険
・厚生年金保険料領収書の写し
・税務署発行の納税証明書
・法人住民税の市区町村発行の納税証明書
・公的義務履行に関する説明書
・介護分野における業務を行わせる事業所の概要書
・協議会の構成員であることの証明書
個人事業主の必要書類
・特定技能所属機関概要書
・個人事業主の住民票の写し
※マイナンバーの記載がなく本籍地が記載されたもの
・労働保険概算
・増加概算
・確定保険料申告書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
※労働保険事務組合に事務委託していない場合
・労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写し及び通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
※労働保険事務組合に事務委託している場合
・個人事業主の国民健康保険被保険者証の写し
・個人事業主の国民健康保険料(税)納付証明書
・個人事業主の国民年金保険料領収書の写しまたは被保険者記録照会
※上記3項は健康保険
・厚生年金保険の適用事業所でない場合
・個人事業主の税務署発行の納税証明書
・個人事業主の個人住民税の市区町村発行の納税証明書
・公的義務履行に関する説明書
・介護分野における業務を行わせる事業所の概要書
・協議会の構成員であることの証明書

4,受入れ機関が原因で不許可となる場合はありますか?

 特定技能ビザの更新許可申請では、受入れ機関の特定技能外国人受入れ状況についても審査されます。したがって、受入れ機関側に素行不良がある場合は、更新申請は不許可とされます。

 受入れ機関側の素行不良とは、受入機関の役員や外国人の支援担当職員などに犯罪歴などがある場合や、受入機関が社会保険料や税金を支払っていない場合などです。特に、受入機関が法人税や厚生年金、健康保険料を適切に支払っているかは審査されます。未払いがある場合は、更新許可申請前に支払っておく必要があります。

5,特定技能ビザの更新に必要な費用はどのくらいですか?

 特定技能ビザの更新の際には、更新が許可された場合は、新しいい在留カードを取得するために4000円の手数料が必要となります。この4000円は、現金ではなく収入印紙によって納付することになります。なお、特定技能ビザの更新を申請すること自体に費用はかかりません。

 また、特定技能ビザの更新申請を行政書士に依頼する場合は、報酬が発生します。特定技能ビザの更新申請を依頼する場合の相場は、6万円程度です。特定技能ビザの更新は、申請すれば当然に更新が許可されるわけではないので、更新は簡単ではありません。

6,まとめ

 特定技能ビザには在留期間が付与されています。この在留期間の満了日が到来した場合は、帰国する又は在留期間更新許可申請を行う必要があります。特定技能ビザの更新申請では、審査期間として2週間から1か月程度必要とされます。また、特定技能ビザの更新許可申請では、1号と2号とで必要書類は少し異なります。そして、特定技能ビザの更新許可申請では、受入れ機関の特定技能外国人受入れ状況についても審査されます。したがって、受入れ機関側に素行不良がある場合は、更新申請は不許可とされます。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法