帰化したら二重国籍になりますか？

１，帰化後、二重国籍は認められますか？
２，帰化後、それまでの国籍はどうなりますか？
３，国籍喪失ができない場合、帰化申請できないでしょうか？

１，帰化後、二重国籍は認められますか？

帰化とは日本人になること、すなわち日本国籍を取得することです。そこで、帰化するまで有していた外国籍との二重国籍が認められるか、が問題となります。

日本の国籍法は二重国籍を認めていません。国籍法第5条第1項第5号は「国籍を有せず又は国籍の取得によってその国籍を失うべきこと」と定めています。これは帰化許可要件の1つで「重国籍防止要件」定めたものです。右の法が規定する「国籍を有せず」とは無国籍者若しくは帰化許可前に本国の国籍を喪失している場合を指します。このように国籍法は帰化の許可要件として、重国籍を防止しているので、二重国籍は認められません。

２，帰化後、それまでの国籍はどうなりますか？

　国籍法が重国籍を防止しているため、帰化した場合に、それまでの国籍はどうなるのか、が問題となります。国籍に関する定めは、外国によって様々です。多くの国は、外国籍を取得すると自国籍は当然に喪失する、としています。しかし、自国籍を喪失するとしても、外国籍を取得した後でなければ自国籍の喪失ができない国、未成年者は国籍喪失できない国、そもそも国籍喪失自体できない国もあります。このように国家によって国籍制度は異なるため、帰化申請する場合は母国の国籍制度について把握しておく必要があります。

３，国籍喪失ができない場合、帰化申請できないでしょうか？

　国籍法第5条第2項は「外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合は、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、この国籍要件を備えていなくても、帰化することができる」と規定しています。よって、母国の国籍喪失ができないからといって、帰化申請自体ができないわけではありません。国籍喪失が認められていない国の外国人も帰化は出来ます。

この国籍喪失ができない国にブラジルがあります。ブラジルの法律には、国籍の離脱という概念自体がありません。よってブラジル国籍の外国人は国籍を喪失することは出来ませんが、国籍法第5条第2項によって、帰化することができます。