特定技能1号ビザを、「飲食料品製造業」分野で取得する為の要件は何でしょうか?

1,特定技能1号「飲食料品製造業」とは、どんな制度でしょうか?

 現在、飲食料品製造業分野においては人手不足が深刻化しています。特定技能1号は、このような人手不足に対応するため、一定の専門性・技術性を持った外国人を受け入れることによって、飲食料品製造業分野の存続・発展を図り、日本経済や社会基盤の持続可能性を維持することを目的としています。

930004952.pdf (moj.go.jp)特定技能運用要綱(飲食料品製造分野)

2,飲食料品製造業分野での1号特定技能外国人の受入見込数はどの程度でしょうか?

 飲食料品製造業分野での1号特定技能外国人の受入見込数は最大34,000人とされ、これを上限とされています。同分野では令和5年度までに、約73,000人程度の人手不足が見込まれています。上記の受入見込数は、生産性向上や追加的な国内人材確保を行ってもなお不足すると見込まれる数を条件として決定されているため、過剰な受入見込数とはなっていません。一方で、平成29年度の飲食料品製造業分野の有効求人倍率は2.78倍であることから、人手不足であることが顕著であることがうかがえます。

 このような人手不足状況において、良質で安全な飲食料品を安定的に供給する体制を確保するためには、特定技能外国人を受け入れることによって、日本の飲食料品製造業の持続的な存続・発展を図り、飲食料品製造業の持続可能性を維持していくことが不可欠な状況となっています。

3,特定技能「飲食料品製造業」では、どんな業務に従事することができるでしょか?

 特定技能「飲食料品製造業」では、以下の主たる業務と関連業務に従事することが認められています。

①主たる業務

  特定技能「飲食料品製造業」では、飲食料品の製造・加工・安全衛生に関する業務に従事することが認められています。ただし、酒類に関するものは除外されます。

②関連業務

  関連業務のみに専ら従事することは出来ません。もっとも、主たる業務と合わせて付随的に従事する場合には、関連業務に従事することが認められます。特定技能「飲食料品製造業」の関連業務として、原料の調達・受け入れ、製品の納品、清掃、事務所の管理作業などが例として挙げられます。

4,特定技能「飲食料品製造業」で外国人を雇用するための要件は何でしょうか?

①外国人が特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を取得していること

 在留資格とは外国人が日本に在留し一定の活動を行うことができる資格をいいます。特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を取得するための要件は以下の通りです。

A,技能水準(試験区分)

   飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験に合格する必要があります。

B,日本語能力水準

   国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上)のどちらかに合格する必要があります。

C,実施する業務に関連する一定の第2号技能実習を良好に修了した者は上記A,Bの試験を免除されます。

②フルタイムの直接雇用であること

  必ずフルタイムの直接雇用である必要があります。派遣雇用は認められません。

③受入機関に対して特に課す条件を満たしていること

   受入機関一般に課される条件のほか、特定技能「飲食料品製造業」において特に課される条件は以下の通りです。 

A,受入企業の事業所が特定の産業を行っていること

事業所において以下のいずれかの産業を行っている必要があります。

・食料品製造業

・清涼飲料水製造業

・茶・コーヒー製造業

・製氷業

・菓子小売業又は菓子製造小売業

・パン小売業又はパン製造小売業

・豆腐・かまぼこ等加工食品小売業

食料品製造業の内訳は以下の通りです。

・畜産食料品製造業

・水産食料品製造業

・野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業

・調味料製造業

・糖類製造業

・精穀・製粉業

・パン・菓子製造業

・動植物油脂製造業

・その他の食料品製造業(でんぷん、めん類、豆腐・油揚げ、あん類、冷凍調理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品等)

B,食品産業特定技能協議会の構成員であること

 受入企業は、農林水産業・関係業界団体・登録支援機関その他の関係者で構成される食品産業特定技能協議会に加入する必要があります。特に、飲食料品製造業分野の特定技能外国人をはじめて受け入れる場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に協議会に加入しなければなりません。協議会に加入せずに特定技能外国人を就労させた場合には、不法就労助長罪に処されますのでご注意下さい。

C,食品産業特定技能協議会に対し必要な協力を行うこと

 受入企業は、協議会に対し必要な協力を行わなければなりません。協議会加盟後は、制度に関する情報の発信や、法的に守るべきことの啓発、さらには地域ごとの人手不足の調査などを行う同協会の活動に協力する義務が生じます。

D,農林水産省に対し必要な協力を行うこと

 受入企業は農林水産省が行う調査・指導・その他の活動に対し必要な協力を行わなければなりません。農林水産省が主体となって実施される調査などに関しても協力が求められることがあります。

E,登録支援機関に支援計画の実施を外部委託する場合には、上記B,C,Dの条件を満たしている登録支援機関に委託する必要

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/

  代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法