特定技能1号ビザを、建設分野で取得するための要件は何でしょうか?
目次
1,特定技能1号「建設」とは、どんな制度でしょうか?
現在、建設分野においては人手不足が深刻化しています。特定技能1号は、このような人手不足に対応するため、一定の専門性・技術性を持った外国人を受け入れることによって、建設分野の存続・発展を図り、日本経済や社会基盤の持続可能性を維持することを目的としています。
2,建設分野での1号特定技能外国人の受入見込数はどの程度でしょうか?
建設分野での1号特定技能外国人の受入見込数は向こう5年間で最大4万人とされています。また、この受入見込数を向こう5年間の上限とされています。建設分野における建設技能者は平成30年では329万人で、令和5年度には326万人になると見込まれています。他方で、建設業において必要とされる労働力は平成30年では331万人とされ、令和5年度では約347万人必要と見込まれています。このような集計を受けて、建設技能者の人手不足数は平成30年度では約2万人不足しているとされ、令和5年度では約21万人不足すると見込まれています。このように、建設業分野においては人手が不足しています。他方で、平成29年度の同分野の有効求人倍率は4.13倍であり、建設業分野における人手不足が顕著であることが推測されます。
3,特定技能「建設」では、どんな業務に従事できるでしょうか?
主たる業務は以下の18業務です。
①型枠施行②左官③コンクリート圧送④トンネル推進工⑤建設機械施工⑥土木⑦屋根ふき⑧電気通信⑨鉄筋施工⑩鉄筋継手⑪内装仕上げ・表装⑫とび⑬建築大工⑭配管⑮建築板金・外装⑯保温保冷⑰吹付ウレタン断熱⑱海洋土木工
主たる業務と合わせて行う場合には、関連業務も付随的に従事することが認められています。
4,特定技能「建設」で外国人を雇用するための要件は何でしょか?
①外国人が特定技能「建設」の在留資格を取得していること
在留資格とは、外国人が日本に在留し、一定の活動を行うことができる資格をいいます。特定技能「建設」の在留資格を取得するための要件は以下の通りです。
A,技能水準(試験区分)
主たる業務で実施するものに対応する建設分野特定技能1号評価試験に合格する必要があります。なお、型枠施行・左官・かわらぶき・鉄筋施工・内装仕上げ施工・とび・建築大工・配管・建築板金(内外装板金作業)の9業種については、それぞれ対応する技能検定3級の合格によることも可能です。
例えば、型枠施行業務の特定技能1号を取得したい場合は、①建設分野特定技能1号評価試験(型枠施工)、②技能検定3級(型枠施工)のどちらかに合格すればよいということになります。
B,日本語能力水準
1号特定技能外国人については、国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上)の合格が求められます。
なお、型枠施工・左官・コンクリート圧送・建設機械施工・屋根ふき・鉄筋施工・内装仕上げ・表装・とび・建築大工・配管・建築板金・保温保冷の13業務については、関連する所定の技能実習2号を良好に修了していれば、上記技能試験及び日本語試験が免除されます。
②直接雇用であること
雇用形態は直接雇用に限られます。派遣雇用はできません。
③受入機関に特に課す条件を満たしていること
受入機関一般に課される条件のほか、特定技能「建設」において特に課される条件は
以下の通りです。
A,建設特定技能受入計画の認定を受けていること
建設特定技能受入計画について、その内容が適当である旨の国土交通大臣の認定を受ける必要があります。その認定条件として以下の事項を満たす必要があります。
a,受入企業になろうとするものに関する事項
受入企業は以下の4点を満たさなければなりません。
・建設業許可の取得
・建設キャリアアップシステムへの事業登録
・特定技能外国人受入事業実施法人への所属等
・申請日前5年以内、または申請後に、建設業法に基づく監督処分を受けていないこと
b,国内人材確保の取り組みに関する事項
職員に対する処遇に問題はないか、適正な労働条件による求人の努力をしているか、といった点が審査されます。
c,1号特定技能外国人の適正な就労環境の確保に関する事項
以下のような点を満たす必要があります。
ア)処遇
・同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等額以上の報酬
・安定的な支払い
・技能習熟に応じた昇給といった点を特定技能誓約書に明記する必要があります。
イ)事前説明
受入企業は1号特定技能外国人に対し、雇用契約に係る重要事項を説明し、当該外国人が理解したことを確認する必要があります。説明は当該外国人が理解することができる言語で行う必要があります。
ウ)受入状況等の報告
受入企業は1号特定技能外国人の受入れの開始・修了・契約に基づく活動の継続困難がある場合に国土交通大臣に報告を行う必要があります。また、修了・契約に基づく活動の継続困難の場合には、別途、地方出入国管理局への届出も必要です。
エ)建設キャリアアップシステムへの技能者登録
特定技能外国人を建設キャリアアップシステムへ技能者登録をする必要があります。
オ)元請建設業者の指導
受入企業が下請負人である場合には、国土交通省が定めるガイドラインに基づく元請建設業者の指導に従う必要があります。
カ)人数枠
1号特定技能外国人の総数と外国人特定建設就労者の総数との合計が、受入企業の常勤の職員の総数を越えない必要があります。
d,1号特定技能外国人の安全衛生教育及び技能の習得に関する事項
ア)受入後の講習・研修
労働安全衛生法に基づく特別教育等の安全衛生教育又は技能講習等を箇条書きする必要があります。
イ)技能の習得
受入企業は、できる限り早期に安全衛生講習を受講させ、建設キャリアアップシステムのレベル2に相当する技能教育を施す必要があります。また、受入企業は5年間の在留期間でどこまで技能を習得させるのか具体的に記載することも求められます。
B,認定を受けた建設特定技能受入計画が適正に実施されていることの確認を受けること
認定を受けた建設特定技能受入計画を適正に実施し、国土交通大臣又は適正就労管理機関により、その旨の確認を受ける必要があります。
C,国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと
5,まとめ
特定技能:建設分野で外国人を雇い入れるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・外国人が特定技能「建設」の在留資格を取得していること
・直接雇用であること
・受入機関に特に課す条件(受入計画の認定、受入計画実施の確認、国土交通省への必要な協力)を満たしていること
建設分野に係る特定技能外国人受入に関する運用要綱930004550.pdf (moj.go.jp)
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |