婚姻は人生の大きな節目ですが、特に年齢差が大きい国際結婚の場合、配偶者ビザの取得には慎重な対応が求められます。残念ながら、就労目的の偽装結婚に利用されるケースも少なくないため、入管は年齢差のある申請に対して特に厳しい審査を行います。
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年齢差が大きい国際結婚で注意すべき理由
年齢差が15歳以上、特に20歳以上になると、入管から「婚姻の実態がないのではないか」という疑念を抱かれやすくなります。これは、配偶者ビザが就労制限のない就労許可として悪用される実態があるためです。風俗営業など、通常の就労ビザでは認められない職種での就労も可能なため、これを目的とした偽装結婚が後を絶ちません。戸籍を売る日本人までいるのが現状です。
このような背景から、年齢差が大きい国際結婚の配偶者ビザ申請は、偽装結婚の可能性が高いと判断され、より詳細な調査の対象となることを覚悟しておく必要があります。
年齢差が大きい場合の配偶者ビザ申請対策
ご自身の結婚が真摯な婚姻意思に基づくものであることを証明する責任は、申請者側にあります。特に、以下の4点に注意して、説得力のある申請書類を作成しましょう。
1. 出会いの経緯を詳細に説明する
配偶者ビザ申請に必須の「質問状」では、出会いから交際、そして結婚に至るまでの経緯を時系列で詳しく記載します。年齢差が大きい場合は、出会いの経緯を特に慎重に説明してください。
- 友人の紹介の場合: その友人がどのような人物で、ご夫婦とどのような関係なのかを具体的に記述しましょう。
- 飲食店での出会いの場合: 飲食店の名称、場所、どのような形態の店で、客と店員、あるいは客同士で出会ったのか、そして親しくなったきっかけまで詳細に説明します。
- SNSやマッチングサイトでの出会いの場合: 利用したサイトのアドレス、どのようなサイトか、サイト上でのやり取りの経緯、実際に会うことになったいきさつを具体的に記述しましょう。
- 結婚相談所での出会いの場合: どのような結婚相談所で、運営会社のホームページアドレスなどを記載し、詳しく説明してください。
2. 説明事項を裏付ける客観的な証拠を提出する
質問状に記載した内容が事実であることを証明するために、裏付けとなる証拠の提出は不可欠です。
- デートや旅行の写真: 公園や遊園地など、交際中に訪れた場所で撮影した写真は、婚姻の信憑性を証明する上で非常に有効です。
- メールやSNSのやり取り履歴、通話記録: 交際期間中にこれらの連絡を一切していないというのは、偽装結婚と疑われる原因となります。日本と海外の遠距離であっても、連絡を全く取らずに結婚に至ることは常識的に考えられません。積極的にやり取りの証拠を提出しましょう。
3. 結婚相手のご両親への挨拶と写真の提出
結婚相手のご両親への挨拶は、婚姻の信憑性を高める上で非常に重要です。まだ挨拶をしていない場合は、可能な限り相手のご両親に会いに行き、その際に必ず写真を撮っておきましょう。
相手方のご両親と一緒に食事をしている写真など、「親族に受け入れられている」ことを示す写真は、婚姻の真実性を証明する強力な証拠となります。双方の親族と一緒に写っている写真は必ず提出してください。
4. コミュニケーション言語と方法を明確にする
外国人配偶者が日本語を全く理解できず、日本人配偶者も相手の母国語を理解できないという状況で年齢差も大きい場合、偽装結婚と疑われやすくなります。
- お互いのコミュニケーション言語を明示: 日本語で会話しているのか、相手の母国語か、または英語なのか、コミュニケーションの方法を明確に説明してください。
- 語学学習の経緯: 外国人配偶者が日本語を習得した経緯、または日本人配偶者が相手の母国語を習得した過程を説明することも有効です。これにより、お互いの努力と真剣な関係性をアピールできます。
配偶者ビザ申請は、単なる書類提出ではなく、真実の愛を証明する場です。上記のアドバイスを参考に、入管が納得できる説得力のある申請を目指しましょう。
何かご不明な点があれば、いつでもご質問ください。
![]() | 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |