1,高度専門職ビザとはどんなビザでしょうか?

 高度専門職ビザとは、高度外国人材の受け入れを促進することを目的として、出入国管理法上、様々な優遇措置が認められているビザです。高度外国人材に該当するか否かは、ポイント制を活用して判断されます。

2,どのような外国人が高度外国人材に該当するのでしょうか?

  高度外国人材について、高度人材受け入れ推進会議報告書によると次のように定義されています。我が国が積極的に受け入れるべき高度外国人材とは「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することができない良質な人材であり、我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し、我が国の労働市場の効率性を高めることが期待される人材」としています。

3,高度外国人材には種類があるのでしょうか?

 高度外国人材の活動は以下のイロハの3種類に分類されます。

①高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」

  本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導又は教育をする活動

②高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」

  本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動

③高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」

  本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動

④「高度専門職2号」

  高度専門職1号(イロハ)の活動を3年以上行った人材が取得できる在留資格

4,高度外国人材には、どのような優遇措置が認められているのでしょうか?

(1)高度専門職1号の優遇措置

 ①複数の在留資格に渡る活動が許容されています

   外国籍の方に認められる在留資格は一人一種類であり、当該在留資格で認められた活動のみ認められます。例えば、技術人文知識国際業務で在留資格を取得した場合、会社経営等の経営管理ビザで認められる活動はできません(身分系ビザは例外)。高度専門職ビザは、複数の在留資格に渡るような活動を行うことができます。例えば、大学その他研究機関での研究活動と並行して、関連する事業を営むベンチャー企業を経営することが認められます。

 ②在留期間「5年」が付与されます

  例えば、配偶者ビザで認められる在留期間は、最長で5年となっています。しかし、初めて在留資格を取得した場合、多くの場合1年しか在留期間が認められません。1年の在留期間からスタートし何度かの在留期間更新を経て3年、5年と認められる在留期間が延びていきます。その他の種類のビザも同様です。しかし、高度専門職ビザの場合、入管法上の最長期間である5年が初めから一律に付与されます。もちろん在留期間更新も認められます。

 ③永住許可要件が緩和されます

永住権を取得する為には、いくつかの許可要件がありますが、その要件の一つに「日本に引き続き10年以上在留していること」という在留歴に係る要件があります。高度専門職ビザの場合、当該活動を引き続き3年以上行っている場合や、高度外国人材の中でも特に高度と考えられているポイント80点以上の外国人材については、当該活動を引き続き行っていれば10年以上日本に在留していなくても在留歴の要件は充足されます。

 ④配偶者の就労が認められます

 外国人の配偶者が外国人の場合、該当する就労ビザを取得しなければ該当する仕事に就労することができません。しかし、高度専門職         ビザの配偶者の場合は学歴や実務経験といった要件を満たさない場合でも「技術人文知識国際業務」に該当する活動を行うことが認められています。

 ⑤一定の条件の下での親の帯同が許容されています

 就労ビザでは原則として、当該外国人の親の受入は認められていません。しかし以下のアとイの場合は認めらえます。

    ア、高度外国人材又はその配偶者の7歳未満の子を養育する場合

    イ、高度外国人材の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度外国人材の介助を行う場合

   ア又はイの場合は下記の条件の下で高度外国人材又はその配偶者の親の入国・在留が認められます。

  ・高度外国人材の世帯年収が800万円以上であること

  ・高度外国人材と同居すること

  ・高度外国人材又はその配偶者のどちらかの親に限ること

 ⑥入国・在留手続の優先処理がなされます  

   高度外国人材に対する入国・在留審査は優先的に早期審査が行われるとされています。入国事前審査に係る申請については申請受理から10日以内を目途、在留審査に係る申請については申請受理から5日以内を目途とされています。

(2)高度専門職2号の優遇措置 

 ・高度専門職で認められる活動のほか、その活動とあわせて就労に関する在留活動で認められるほぼ全ての活動を行うことができます。

 ・在留期間が無制限になります。

5,どのようにポイント計算するのでしょうか?

 申請書類については、当該外国人がポイントを満たすことを疎明する立証資料を提出する必要があります。下記のポイント計算表をご参照下さい。

07_(修正)リーフレット裏面(日本語) (moj.go.jp)

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法