日本でビジネスを始める外国人必見!「経営管理ビザ」徹底解説

「日本で自分の会社を設立して事業をしたい」「日本の企業の経営に携わりたい」――そんな夢を持つ外国人の方にとって、**「経営管理ビザ」は事業成功への第一歩となります。このビザは、正式には在留資格「経営・管理」**と呼ばれ、外国人が日本で事業を経営したり、その事業の管理に従事したりする場合に必要となる重要な資格です。

しかし、「会社を設立したからといって、必ず経営管理ビザが取得できるわけではない」という現実も理解しておく必要があります。会社設立とビザ取得は全く別の手続きであり、ビザには明確な許可要件が存在します。本記事では、経営管理ビザの概要から、取得のための具体的な許可要件、そして必要書類まで、分かりやすく詳細に解説していきます。


1. 経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)とは?

経営管理ビザは、外国人が日本で以下のような活動を行う際に必要となる在留資格です。

  • 貿易その他事業の経営:自ら会社を設立し、その経営者として事業を運営する活動。
  • 当該事業の管理:すでに存在する企業の管理者として、事業の運営・管理に従事する活動。

具体的には、企業の経営者や管理者がこのビザの対象となります。

会社設立とビザ取得は別物!

ここで最も重要な注意点があります。それは、**「会社の設立が認められたからといって、当然に経営管理ビザが取得できるわけではない」**という点です。

多くの方が勘違いしがちですが、会社の設立手続きと経営管理ビザの申請・許可は、全く異なるプロセスです。会社を設立できたとしても、経営管理ビザの許可要件を満たしていなければ、ビザは不許可となります。つまり、ビザ取得には、会社の設立とは別に、入念な準備と適切な要件充足の立証が不可欠なのです。


2. 経営管理ビザの許可要件とは?

経営管理ビザの許可要件は、申請者が「経営者」になるのか「管理者」になるのかによって大きく異なります。これらの要件の立証責任は、すべて申請人(外国人の方)にあります。

(1)外国人が「経営者」となる場合の許可要件

自ら事業を立ち上げ、その経営者としてビザを取得する場合、以下の要件を満たす必要があります。

① 事務所または店舗の独立性

事業を営む場所として認められるためには、その事務所や店舗が独立性を有していることが必須です。

  • 事業専用のスペース: 居住空間と明確に区別されている必要があります。例えば、一軒家の場合、1階が店舗で2階が居住空間といったように、居住スペースと事業スペースが物理的に分離されていることが求められます。
  • 日本国内に存在すること: 当然ながら、日本国内に実際に事業活動を行うための事務所や店舗が存在している必要があります。バーチャルオフィスや一時的な滞在場所では認められません。

② 資本金の額が500万円以上であること、または2名以上の常勤従業員を雇用する規模であること

この要件は、事業の安定性と継続性を示す重要な指標となります。

  • 資本金500万円: これは単に500万円を準備すれば良いというものではありません。「見せ金」は認められません。 資本金の出所や形成過程を明確に証明する必要があります。例えば、ご自身の貯蓄であれば、会社口座への入金記録や記帳など、資金の流れが追跡できるように準備が必要です。出資者がいる場合は、出資者との関係性や出資の経緯を説明する必要があります。
  • 常勤従業員2名以上: 500万円の資本金を用意できない場合でも、代わりに「2名以上の常勤従業員を雇用する規模」であると認められれば、要件を満たせます。これは、事業の規模や雇用創出への貢献度を評価するものです。

③ 事業の継続性と安定性が認められること

これは、事業が一時的なものではなく、継続的に運営され、収益を上げられる見込みがあることを示す要件です。

  • 詳細な事業計画書: 事業内容、ターゲット顧客、マーケティング戦略、資金計画などを具体的に記載した事業計画書が不可欠です。
  • 損益計画表: 将来的な収益の見込みや費用計画を具体的に示した損益計画表を提出し、事業が安定して継続できることを説明する必要があります。

④ 許認可が必要な事業の場合、許認可を得ていること

例えば、飲食店や不動産業など、特定の事業を行うためには国の許認可が必要な場合があります。該当する事業を行う場合は、申請前に必要な許認可を取得していることが必須です。未取得のままでは、ビザが不許可となる可能性があります。

(2)外国人が「管理者」となる場合の許可要件

既存の日本企業の管理者としてビザを取得する場合、以下の要件を満たす必要があります。

① 経営または管理についての3年以上の実務経験

管理者としての役割を果たすためには、その分野での十分な経験が必要です。

  • 実務経験: 大学や大学院で経営や管理を専攻した期間も実務経験として算入できます。
  • 職務内容の証明: 過去の職務経歴書や在職証明書などで、具体的な経営・管理業務に従事していたことを立証する必要があります。

② 報酬が日本人と同等以上であること

外国人管理者に対する報酬が、同等の業務を行う日本人従業員と比較して不当に低い場合、不許可となる可能性があります。これは、適正な労働条件のもとで勤務することを担保するものです。


3. 経営管理ビザ申請の必要書類

経営管理ビザの許可要件を充足していることを立証するためには、以下の書類を提出し、入国管理局に納得してもらう必要があります。これらの書類は、申請内容によって追加や省略がある場合もありますが、一般的に求められるものです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書 または 在留資格変更許可申請書: 申請の種類に応じた適切な様式。
  • 証明写真: 規定のサイズと要件を満たすもの。
  • 返信用封筒: 切手を貼付したもの。
  • パスポートのコピー: 顔写真ページなど。
  • 大学の卒業証明書: 学歴を証明する書類。
  • 日本語能力を証明する書類: 日本語能力試験(JLPT)の合格証など、日本語能力を示す書類(必須ではないが、提出することで有利になる場合がある)。
  • 申請理由書: なぜ経営管理ビザが必要なのか、事業内容や申請人の経歴などを詳細に説明する書類。
  • 出資金の形成過程説明を証明できる書類: 預金通帳のコピー、送金記録など、資本金の出所を示すもの。
  • 事業計画書: 事業内容、市場分析、財務計画などを詳細に記述。
  • 損益計画表: 予測される売上、費用、利益などを具体的に示す。
  • 登記事項証明書: 会社の設立登記が完了していることを示す書類。
  • 定款の写し: 会社の目的、組織、業務執行に関する基本規則を記載した書類。
  • 年間投資額説明書: 年間の投資計画を示す書類。
  • 株主名簿: 株主とその持株比率を示す書類。
  • 取締役の報酬を決定する株主総会議事録: 役員報酬に関する決定内容。
  • 会社名義の銀行通帳のコピー: 会社の口座の入出金記録。
  • 設立時取締役選任及び本店所在地決議書のコピー: 会社設立時の重要な決定事項。
  • 就任承諾書のコピー: 取締役としての就任を承諾したことを示す書類。
  • 会社案内: 会社の事業内容や特徴を紹介する資料。
  • 会社の写真: 事務所や店舗の外観、内装など。
  • オフィスの建物賃貸借契約書のコピー: 事務所の所在を証明する契約書。
  • 税務署関係書類(受付印があるもの):
    • 給与支払事務所等の開設届出書のコピー
    • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書のコピー
    • 法人設立届出書
    • 青色申告の承認申請書
    • 法人(設立時)の事業概況書
  • 営業許可証: 許認可が必要な事業の場合、その許可証のコピー。

まとめ

経営管理ビザは、日本でビジネスを展開したい外国人の方にとって、まさに「夢を実現するパスポート」です。しかし、その取得には厳格な要件と、それらを裏付ける詳細な書類の準備が求められます。特に、会社設立とビザ取得は別物であるという点を深く理解し、事業の継続性・安定性をしっかりと立証することが成功の鍵となります。

ご自身の状況に合わせて、上記の要件や必要書類を丁寧に確認し、不明な点があれば専門家(行政書士など)に相談することをお勧めします。綿密な準備を行うことで、日本でのビジネスをスムーズにスタートさせ、成功へと導くことができるでしょう。

日本でのあなたのビジネス、ぜひ応援させてください!

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法