特定技能「農業」は派遣雇用が可能|要件・仕組み・注意点を徹底解説
目次
はじめに|農業分野では特定技能の「派遣雇用」が認められています
人手不足が深刻化する日本の農業分野において、外国人材の活用は不可欠な選択肢となっています。
その中でも 在留資格「特定技能1号(農業)」は、例外的に「派遣雇用」が認められている数少ない分野 です。
多くの在留資格「特定技能」では原則として派遣雇用が認められていませんが、
農業分野(および漁業分野)に限り、繁忙期・閑散期の差が大きい産業特性を考慮して派遣形態が制度上認められています。
本記事では、
- なぜ農業分野では派遣雇用が可能なのか
- 特定技能農業派遣の具体的要件
- 派遣元・派遣先それぞれの注意点
- 技能実習・直接雇用との違い
- よくある質問(Q&A)
までを 行政書士実務・入管実務の視点 で網羅的に解説します。
特定技能制度とは|農業分野も対象の就労ビザ
特定技能制度は、2019年4月に創設された外国人材受入制度で、
人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人の就労を認める制度 です。
特定技能1号(農業)の基本概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 在留資格 | 特定技能1号 |
| 対象分野 | 農業(耕種農業・畜産農業) |
| 在留期間 | 通算5年まで |
| 家族帯同 | 原則不可 |
| 日本語要件 | 日本語能力試験N4相当以上 |
| 技能要件 | 農業技能測定試験合格 等 |
公式情報:
出入国在留管理庁|特定技能制度
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html
なぜ特定技能「農業」は派遣雇用が可能なのか
原則:就労ビザは派遣不可
日本の特定技能制度では、
「雇用の安定性」「責任の所在」を重視するため、派遣雇用は原則不可 です。
例外:農業・漁業は派遣雇用が認められる
しかし農業分野は、
- 収穫期・作付期などの 季節変動が極めて大きい
- 短期的・地域的な人手不足が発生しやすい
- 天候・自然条件に左右される
という特性があるため、
制度上、派遣形態での雇用が正式に認められています。
農業分野の公式解説:
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/agriculture.html
特定技能「農業派遣」の仕組み
雇用関係の構造
派遣元事業者(雇用主)
↑雇用契約
特定技能外国人
↓派遣
派遣先農業経営体
- 雇用契約を結ぶのは派遣元
- 実際の作業指示は派遣先
- 在留資格上の責任は派遣元が負う
派遣元事業者に求められる主な要件
特定技能農業で派遣を行うには、派遣元が以下を満たす必要があります。
① 農業分野の派遣事業者であること
- 農業協同組合(JA)
- 農業関連法人
- 農業に関する労働者派遣事業の許可を受けた事業者
② 労働者派遣法を遵守していること
- 労働者派遣事業許可
- 適正な派遣契約
- 同一労働同一賃金の確保
③ 特定技能外国人支援体制の整備
- 生活オリエンテーション
- 日本語学習支援
- 相談・苦情対応
- 行政機関との連絡体制
派遣先(農業経営体)の要件と注意点
派遣先となる農業経営体にも要件があります。
- 農業を営んでいること(耕種・畜産)
- 労働関係法令を遵守していること
- 過去に不正行為がないこと
- 適切な作業環境・安全管理体制
※ 派遣先が入管手続きを行うわけではありませんが、
実態として不適切な労務管理があると、派遣元・派遣先双方が問題視されます。
特定技能「農業派遣」と直接雇用の違い
| 項目 | 派遣雇用 | 直接雇用 |
|---|---|---|
| 雇用主 | 派遣元 | 農業経営体 |
| 柔軟性 | 高い | 低い |
| 繁忙期対応 | ◎ | △ |
| 手続負担 | 派遣元が中心 | 受入企業が負担 |
| 安定性 | 派遣契約次第 | 比較的高い |
技能実習制度との違い
| 項目 | 特定技能(農業) | 技能実習 |
|---|---|---|
| 目的 | 労働力確保 | 技能移転 |
| 派遣 | 可能 | 原則不可 |
| 転職 | 条件付き可 | 原則不可 |
| 即戦力 | ◎ | △ |
よくある質問(Q&A)
Q1. 特定技能「農業」は必ず派遣でなければならない?
いいえ。
派遣も直接雇用もどちらも可能です。
Q2. 派遣期間に制限はありますか?
派遣期間自体に明確な上限はありませんが、
在留期間(通算5年)を超えることはできません。
Q3. 派遣先が変わるたびに在留資格変更は必要?
原則不要です。
ただし 派遣元・派遣内容に変更がある場合は届出が必要 です。
Q4. 農業派遣でも最低賃金は守られますか?
はい。
地域別最低賃金・同一労働同一賃金の原則が適用されます。
実務上の重要ポイント(行政書士視点)
- 派遣元の「支援体制書類」が審査で非常に重視される
- 派遣契約内容と実態が一致しているかが入管調査対象
- 労働条件通知書・派遣契約書の整合性が重要
- 繁忙期のみの「短期使い捨て」は不許可リスクあり
まとめ|特定技能「農業派遣」は合法だが要件遵守が必須
- 農業分野では 特定技能の派遣雇用が制度上認められている
- 派遣元・派遣先ともに厳格な要件あり
- 労働法・入管法・派遣法の三位一体での遵守が必要
- 書類と実態の一致が最重要ポイント
制度を正しく理解し、適切に活用すれば
農業経営の安定化と外国人材の長期定着を同時に実現できる制度 です。
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参考リンク
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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