特定技能の定期届出とは?|提出書類・頻度・注意点を専門家が徹底解説
目次
この記事のポイント
- 特定技能の「定期届出」とは、受入機関が外国人の活動状況を入管へ報告する義務
- 届出を怠ると「特定技能外国人の雇用継続ができない」「支援計画の見直し命令」など重大リスク
- 年4回(四半期ごと)の提出が必要
- 提出書類・記載内容・不備が起こりやすいポイントまで専門家目線で詳しく解説
1|特定技能の定期届出とは?義務化されている理由
「特定技能の定期届出」とは、
特定技能外国人を受け入れている企業(受入れ機関)が、四半期ごとに外国人の就労状況や支援状況を入管へ報告する義務
のことです。
法的根拠
出入国管理及び難民認定法、特定技能制度の運用要領に基づき、受入企業には次の義務があります。
- 外国人の活動状況を正確に把握する
- 支援計画が適切に実行されているかを証明
- 労働条件や生活支援に問題がないかを入管へ報告
このため、定期届出は単なる“書類提出”ではなく、
受入れ体制の適正性を継続的に証明する重要な義務
です。
届出を怠るとどうなる?
- 受入機関として「不適正」
- 新規の特定技能外国人の受入れが停止される
- 外国人本人の在留資格更新が困難
- 最悪の場合、受入機関としての登録取消し
企業の信頼に直結するため、定期届出は特定技能制度の要の手続きといえます。
2|定期届出の提出頻度(年4回)と提出期限
提出頻度:年4回(四半期ごと)
提出頻度は**四半期ごと(3か月に1回)**です。
| 対象期間 | 提出期限の目安 |
|---|---|
| 1–3月分 | 4月末まで |
| 4–6月分 | 7月末まで |
| 7–9月分 | 10月末まで |
| 10–12月分 | 翌1月末まで |
※登録支援機関に業務を委託している場合でも、最終責任は受入企業です。
3|定期届出で提出する書類一覧と内容(完全版)
定期届出で必要な書類は次の通りです。
必須①:特定技能外国人の活動状況に関する届出書
(入管公式フォーム)
記載する内容
- 配置部署・職務内容
- 労働時間
- 給与支払状況
- 社会保険加入状況
- 住居の状況
- 転職・退職の有無
必須②:特定技能支援実施状況に関する届出書
登録支援機関を使わず、自社で支援する場合には特に重要。
記載内容
- 生活オリエンテーション実施状況
- 行政手続きの同行サポート
- 日本語学習支援
- 相談窓口の運用状況
- 住居確保支援
- 退職時の転職支援(必要時)
必須③:賃金台帳の写し(3か月分)
特定技能外国人の給与が
日本人と同等以上であることを示す必須資料。
必須④:出勤簿(3か月分)
残業が特定技能の活動内容に一致しているか、労働時間の管理が適正かを確認するために提出します。
必須⑤:支援実施記録
(支援をした日付・内容を記録する)
例:
- 行政手続き同行
- 日本語学習支援の実施
- 相談対応の記録
- 生活オリエンテーションの実施日
必須⑥:その他の添付書類
- 住居契約書写し
- 健康診断結果
- 社会保険料の納付証明
- 雇用契約書写し(変更があれば)
4|定期届出でよくある不備と“絶対に避けるべきミス”
専門家が実際の不許可事例を踏まえて、特に注意すべき点をまとめます。
よくある不備
- 賃金台帳と出勤簿の数字が一致していない
- 外国人の職務内容が「特定技能の業務範囲」とズレている
- 日本語学習支援の記録が雑
- 支援実施記録が数行しかない
- 住所変更の届出漏れ
- 生活オリエンテーション未実施
絶対に避けるべき“2大ミス”
① 労働条件変更の届出忘れ
→ 入管は「変更届出」が最も厳しいチェック対象です。
② 支援計画の“未実施”
→ 不実施は即「不適正受入れ」判定につながる重大違反。
5|監督省庁(入管・分野所管省庁)が特に重視するポイント
入管が重視する項目
- 賃金が日本人と同等以上か
- 事業の継続性(倒産リスクがないか)
- 支援計画の実施状況
- 活動内容が資格範囲と一致しているか
分野所管省庁が重視する項目
- 対象分野別の技能水準を満たして働いているか
- 違法な配置転換がないか
- 労務管理の適正性(残業・安全管理)
6|定期届出を怠った場合の罰則・ペナルティ
定期届出を怠ると深刻な行政処分を受ける可能性があります。
① 受入れ停止(新規受入れ不可)
→ 最も多いペナルティ。
② 支援計画の変更命令
③ 受入機関として“不適正認定”
→ 登録支援機関の委託があっても、受入企業の責任は免れません。
④ 外国人の在留資格更新が困難に
→ 定期届出が適切でないと、在留継続が難しくなります。
7|定期届出の提出方法(オンライン/書面)
オンライン(入管庁・出入国在留管理庁のシステム)
書面提出
地方出入国在留管理局へ郵送または窓口提出も可能ですが、
オンライン提出が推奨されています。
8|届出の鉄則と会社での運用方法
届出を確実に行うための運用手順をご紹介します。
鉄則①:毎月“支援実施記録”を必ず作成
四半期まとめてでは漏れが発生しやすい。
鉄則②:賃金台帳と出勤簿は必ず社労士と連携
不一致は最も多い不備。
鉄則③:外国人本人との面談を月1回実施
支援の“実施証明”として最も有効。
鉄則④:住所変更・部署変更は即日届出
変更届けは最重要項目。
9|受入機関と登録支援機関の役割の違い
| 種類 | 主な役割 |
|---|---|
| 受入機関(企業) | 外国人を雇用する主体/定期届出の提出責任者 |
| 登録支援機関 | 書類作成・支援業務の代行/ただし最終責任は企業側 |
10|Q&A:特定技能の定期届出に関するよくある質問
Q1. 登録支援機関に支援委託していても、企業に届出義務はありますか?
A. はい。届出の最終責任は受入企業です。
Q2. 書類に不備があった場合は不許可になりますか?
A. すぐ不許可になるわけではありませんが、改善指導・追加提出が必要になります。
Q3. 書面提出は可能ですか?
A. 可能ですが、オンライン提出が推奨されています。
Q4. 提出期限を過ぎた場合どうなりますか?
A. 悪質でない限り即処分にはなりませんが、信用性が大きく低下します。
11|関連記事・参考リンク
関連記事
- 特定技能の随時届出とは?提出が必要な変更事項・提出書類一覧まとめ|専門家が完全解説
- 特定技能外国人が退職・転職した場合の手続き|14日以内の届出と義務を徹底解説
- 特定技能ビザ(1号・2号)の在留期間はどのくらい?|2号は“11分野”で無期限更新OK|永住との関係も専門家が徹底解説
- 特定技能の届出管理チェックリスト|受入れ機関が必ず守るべき随時・定期届出の全要件【保存版】
- 特定技能介護ビザで訪問介護はできる?制度改正と必要条件を徹底解説
参考リンク
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
無料相談
| まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。 |

