【特定技能1号】技能検定・日本語試験の完全ガイド|受験内容・免除制度・合格のコツを解説

はじめに:在留資格「特定技能1号」とは

在留資格「特定技能1号」は、日本が人手不足とされる特定産業分野において、即戦力として外国人を受け入れる制度です。
この資格を取得するには、単に雇用先が決まるだけでなく、一定の技能・日本語能力が求められます。今回はその「試験」部分にフォーカスし、どのような試験があるのか、どのように準備すればよいか、合格のためのポイントを丁寧に解説します。


試験概要:何を受けなければならないか

特定技能1号を取得するための試験は、大きく以下の2種類です。

  1. 日本語能力を証明する試験
  2. 産業分野ごとの技能評価試験(分野別技能測定試験)

日本語能力試験

全ての分野に共通して、一定の日本語能力が要件となります。具体的には、以下のいずれか:

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上 ※N4が一般的な目安とされます。
  • JFT‑Basic日本語基礎テスト(国際交流基金)A2レベル程度
    ※介護分野ではさらに「介護日本語評価試験」など追加の日本語評価が求められる場合があります。

技能評価試験(分野別)

特定技能1号の対象となる各産業分野ごとに、「技能測定試験」「技能評価試験」などと称される試験が設けられています。ざっくり言うと“その分野で即戦力として働ける実務知識・技能”を測るためのものです。
例えば、外食業分野では「衛生管理」「飲食物調理」「接客全般」といった科目構成があります。


対象分野と試験の位置づけ

「特定技能1号」が対象とする産業(分野)は年々拡大しており、制度を理解するうえで押さえておきたいポイントです。

  • まず、制度概要として、12分野からスタートし、16分野まで拡大。
  • 各分野ごとに技能評価試験が実施される機関や方式が異なります。例えば製造業(工業製品製造業)では、学科+実技の構成。
  • 試験の水準は、例えば建設分野では「技能検定3級相当」が目安とされています。

日本語能力試験の詳細と対策ポイント

ここでは日本語能力試験の概要と、合格/要件を満たすための対策をご紹介します。

日本語試験の概要

  • JLPT(日本語能力試験) N4以上が目安です。
  • JFT-Basic(日本語基礎テスト) A2レベル程度。
  • 試験実施時期や受験地が分野・国によって異なります。
  • 特に介護分野では、さらに「介護日本語評価試験」という専用の日本語測定が必要なケースがあります。

対策ポイント

  • 日本語での「日常会話+専門用語(分野により)」が最低限必要です。
  • 日本で働くという前提なので、「職場で使える日本語」「状況把握(口頭指示・自己表現)」力を養うことが重要です。
  • 模擬試験、過去問、参考書を活用して、受験形式・出題形式に慣れておきましょう。
  • 特定産業分野により「現場で使われる用語」「仕事上の日本語表現」が異なるため、分野別に日本語教材を選ぶことも有効です。
  • 受験申込は早めに、受験地・時期を確認しておきましょう。

技能評価試験の詳細と各分野の例

次に、技能評価試験(分野別)について、試験の構成・受験資格・具体例・対策を整理します。

試験の構成と位置づけ

  • 各分野ごとに定められた「技能測定試験」「技能評価試験」などと称される試験があります。
  • 試験水準は、概ね「技能検定3級相当(特定技能1号)」が目安。
  • 基本的な構成は、学科(筆記)+実技または判断・計画試験などの実務系。例えば外食業分野では学科30問、実技15問という形式が紹介されています。
  • 実施方法もCBT(Computer Based Testing)形式が多く、選択式や実技問題形式があります。

受験資格・条件

  • 多くの場合、「満17歳以上」などの年齢要件が設けられています。
  • 過去に該当分野で経験を有していると、技能実習2号から移行するケースでは試験免除がある分野もあります。

分野別の具体的な試験例

外食業分野

  • 学科試験:衛生管理・飲食物調理・接客全般の知識。問題数30問、実技試験15問、合格基準65%以上。
  • 実技:図やイラストを用いた判断試験、計画試験など。

製造(工業製品製造業)分野

  • 例:機械金属加工区分、電気電子機器組立て区分など、学科および実技を併せて実施。
  • 試験案内・概要が公式サイトで公開されています。

建設分野

  • 部分的に「土木/建築/設備」など細かく区分されており、CBT方式による理論+実技テストという構成。

試験申込の流れ

  1. 分野別試験実施団体の案内を確認。
  2. 申込手続き(申請書提出、受験料支払いなど)
  3. 受験(試験会場・日時を確認)
  4. 合格発表・合格証明書取得
  5. 在留資格申請に合格証明を添付(日本語試験・技能試験ともに)

合格後・免除制度の注意点

  • 過去に「技能実習2号」を良好に修了した場合、分野によっては技能試験・日本語試験が免除される場合があります。例えば「技能実習2号を良好に修了し、同一分野であれば技能試験が免除」という説明があります。
  • ただし、別分野で働く場合には新分野の技能試験合格が必要です。

合格するための対策とポイント

試験合格のために押さえておくべき重要なポイントを整理します。受験者本人はもちろん、受入れ企業や支援機関も理解しておくべき内容です。

出題範囲の把握

  • 試験は分野ごとに形式や範囲が異なります。公式サイトで「範囲」「過去問題」「実施要領」を必ず確認しましょう。
  • 学科試験では、業務上知っておくべき基礎知識・用語・法令・安全衛生・機器操作などが問われます。
  • 実技試験・判断試験では、実務的な行動・手順・計画・じっせん状況を想定した出題が多くあります。例:外食業分野での「計画試験」「判断試験」など。

学習・準備方法

  • 日本語力強化:JLPT/JFT-Basicを視野に、文法・語彙・読解・聴解すべてをバランスよく学習。
  • 分野別技能試験対策:公式テキスト・模擬問題集を活用(分野毎に専門テキストあり)
  • 過去問題・模擬試験を繰り返すことで、出題形式・時間配分に慣れる。
  • 実技試験対策では実務経験があることが望ましく、練習・体験を通じて「手順を正しく理解・実践できる」状態を目指す。
  • 受験申込・スケジュール管理:試験日程・会場・申込期限を事前確認。特に海外からの受験者は会場数・日程が限られることもあります。

合格のポイント

  • 合格基準:多くの分野で「満点の65%以上」などの設定があり、例として外食業分野の「65%以上」が紹介されています。
  • 時間配分を意識:学科+実技を合せて80分という形式の分野もあります(外食業)。
  • 日本語+技能の両輪で準備すること。技能試験だけでなく、日本語能力も同時に磨いておくことが重要です。
  • 受入れ企業・支援機関も、受験支援・教育体制を整えることで合格率を高めることができます。

受験者・企業向けチェックリスト

受験者(外国人本人)チェックリスト

  • 応募しようとする分野が「特定技能1号対象分野」であるか確認。
  • 日本語能力試験(JLPT N4以上)またはJFT-Basicを計画的に受験。
  • 分野別技能試験実施団体・日程・会場を公式サイトで確認。
  • 分野別試験の申込・支払・受験準備を早めに。
  • 模擬試験・過去問を活用し、学科・実技両方で準備。
  • 合格証明書を取得し、在留資格申請時に添付。
  • 受入れ企業・支援機関との連携を図る。

受入れ企業・支援機関チェックリスト

  • 受入れ分野が制度対象となっているか確認。
  • 外国人労働者が試験を受けられるように支援体制を整備(学習支援、日本語教育、模擬試験実施など)
  • 試験案内・応募方法について外国人に分かりやすく伝える。
  • 合格後の在留資格申請に必要な書類・証明を把握。
  • 試験合格に至るまでの流れを把握し、計画的にスケジュール管理。

よくある質問(Q&A)

Q1:年齢制限はありますか?

A:多くの分野で「満17歳以上」など年齢要件が設けられています。例えば飲食料品製造業分野の資料では、受験日において満17歳以上という記載があります。

Q2:過去に別分野で技能実習をしていたら試験を免除できますか?

A:はい、可能なケースがあります。例えば「技能実習2号を良好に修了し、同一分野であれば技能試験が免除される」という制度があります。ただし、別分野で働く場合には当該分野の技能試験合格が必要です。

Q3:試験はどこで受験できますか?

A:国内だけでなく、海外でも実施されています。分野・国によって実施時期・会場数が異なります。試験日程・会場は公式サイト「特定技能1号試験情報」で確認できます。

Q4:合格点・合格率はどのくらいですか?

A:分野によって異なりますが、例えば外食業では「満点の65%以上」で合格とされている例があります。 合格率公開の分野もありますが、必ずしも全ての分野で統一されていません。

Q5:試験に失敗したら再受験できますか?

A:はい、原則として再受験可能です。ただし申込期間・会場・受験料など制約があるため、試験実施団体の案内を確認することが重要です。


まとめ

「特定技能1号」資格取得を目指す上で、「日本語能力試験」と「技能評価試験(分野別)」の2つの試験を確実にクリアすることが不可欠です。
受験者・受入れ企業双方が、試験内容・受験要件・申込方法・合格要件をしっかり理解し、計画的に準備を進めることで、合格の可能性を高めることができます。

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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法