登録支援機関とは?登録要件・業務内容・委託時の注意点を詳しく解説【完全ガイド】


1.登録支援機関とは何ですか?

登録支援機関とは、特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)に代わって、生活支援や日本語学習支援などを行う外部機関のことです。
法的根拠は「出入国管理及び難民認定法(入管法)」に基づくもので、法務大臣により登録された機関のみがこの業務を行うことができます。

登録支援機関の目的

  • 特定技能外国人が日本で安定して働き、生活できるようにサポートする
  • 外国人労働者の不当な扱いを防ぎ、受入れ企業と外国人の双方を守る

登録支援機関は、いわば「外国人支援の専門家」として、受入れ企業の負担を軽減しながら、適正な雇用管理を促進する存在です。


2.登録支援機関の登録要件

登録支援機関として活動するには、出入国在留管理庁への登録が必要です。
主な登録要件は次のとおりです。

(1)法人・個人のいずれでも登録可能

  • 株式会社、合同会社、社団法人、行政書士事務所なども登録可能
  • 個人でも、要件を満たせば登録できます

(2)支援実施体制の整備

  • 専任の支援担当者を配置していること
  • 日本語・生活支援に関する知識や経験を有すること
  • 支援実施のための拠点(事務所)を有していること

(3)法令違反歴がないこと

  • 過去に入管法違反、労働基準法違反などがないこと
  • 反社会的勢力との関係がないこと

(4)財務的基盤

  • 支援業務を継続的に行える財務状況であること
  • 欠損・債務超過がないこと

(5)支援実績または能力

  • 過去に技能実習生の監理団体などで支援実績があることが望ましい
  • 登録時に支援実績がなくても、十分な体制を整えれば登録可能

出入国在留管理庁公式サイトの登録支援機関名簿はこちら:
登録支援機関名簿(出入国在留管理庁公式)


3.登録支援機関の主な業務内容

登録支援機関は、特定技能外国人の支援計画に基づき、10項目の支援業務を実施します。

(1)事前ガイダンス

入国前に日本での生活・労働条件・法令遵守事項を説明します。

(2)入国時の送迎

空港などでの出迎え・住居までの送迎を行います。

(3)住居・生活に関する支援

住宅の確保、ライフライン契約、生活用品の購入などを支援します。

(4)生活オリエンテーション

銀行口座開設、交通ルール、マイナンバー制度などの説明を行います。

(5)日本語学習支援

日本語教室やオンライン講座の紹介、学習サポートを行います。

(6)相談・苦情対応

外国人からの生活・労働相談に対応し、必要に応じて専門機関に連携します。

(7)日本人との交流促進支援

地域イベントやボランティア活動への参加を支援します。

(8)転職支援(やむを得ない場合)

受入れ機関との契約終了時に、新しい就職先を探す支援を行います。

(9)定期的な面談・報告

外国人との定期面談を実施し、入管庁へ報告します。

(10)行政機関との連携

市区町村・ハローワーク・外国人相談窓口などと連携し支援します。

詳しくは以下の記事もご参照ください:
特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準とは?


4.登録支援機関に支援業務を委託する際の注意点

特定技能所属機関(受入れ企業)が支援業務を外部委託する場合、次の点に注意が必要です。

(1)登録済みの機関であるか確認

委託先は必ず「法務大臣登録済み」の機関でなければなりません。
登録支援機関名簿で登録番号・有効期間を確認しましょう。

(2)委託契約の明確化

委託内容(支援範囲・費用・責任分担)を明文化し、契約書で取り決める必要があります。
不明確な委託は「不適正支援」として指摘されるおそれがあります。

(3)受入れ企業の責任は残る

支援を委託しても、最終的な責任は受入れ企業(特定技能所属機関)にあります。
支援業務の実施状況を定期的に確認することが重要です。

(4)支援費用の適正化

外国人本人に支援費用を負担させることは禁止されています。
費用は必ず企業側が負担する必要があります。


5.登録支援機関の登録手続きの流れ

ステップ1:申請書の作成

  • 出入国在留管理庁の指定様式により申請書を作成します。
  • 添付書類には、登記事項証明書・事業計画書・体制説明資料などが必要です。

ステップ2:地方出入国在留管理局に提出

  • 主たる事務所の所在地を管轄する入管局に提出します。

ステップ3:審査

  • 書類審査および面接審査が行われます。
  • 通常、審査期間は1〜2か月程度です。

ステップ4:登録完了・公示

  • 登録が完了すると「登録支援機関番号」が付与され、公式サイトで公示されます。

6.登録の有効期間と更新手続き

登録支援機関の登録有効期間は5年間です。
期間満了前に更新手続を行わないと、登録は失効します。

更新手続のポイント:

  • 有効期間の満了日3か月前から申請可能
  • 支援実績・体制・法令遵守状況が審査対象
  • 不正行為・虚偽申請がある場合は更新拒否されます

7.登録支援機関と特定技能所属機関の違い

項目登録支援機関特定技能所属機関
主な役割外国人の支援外国人の雇用主
登録の必要性法務大臣への登録が必要登録不要(受入れ申請で審査)
責任者支援責任者・担当者代表者・管理者
委託関係支援業務を受託する支援業務を委託する
最終責任受入れ企業にあり所属機関にあり

8.よくある質問(Q&A)

Q1.登録支援機関の登録費用はいくらですか?
A.登録申請自体の法定手数料は不要ですが、書類準備や体制整備に数十万円程度の費用がかかる場合があります。

Q2.登録支援機関を変更することはできますか?
A.可能です。変更届を入管庁に提出し、契約を切り替えます。ただし、支援の中断が生じないよう注意が必要です。

Q3.登録支援機関が不正を行った場合の処分は?
A.登録取消し・業務停止などの行政処分が行われ、名簿から削除されます。


9.関連記事・参考リンク

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参考リンク


まとめ

登録支援機関は、特定技能外国人が日本社会に円滑に定着できるよう支援する重要な存在です。
登録には法的要件・体制整備・倫理的基準が求められますが、適正な支援体制を構築することで、外国人雇用の成功に直結します。

受入れ企業は、登録支援機関に業務を委託する際も、**「自社の責任が残る」**ことを理解し、信頼できる機関を選定することが何より重要です。

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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
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