ベトナム人配偶者の帰化申請に必要な要件と準備|配偶者特別帰化(簡易帰化)も解説【完全ガイド】


はじめに

日本人と結婚しているベトナム人の方から多く寄せられる質問の一つが「帰化申請の要件や流れ」についてです。結婚して安定した生活を送る中で、日本国籍を取得したいと考える方は少なくありません。本記事では、ベトナム人配偶者が帰化申請を行う際の必要要件、提出書類、審査の流れ、特別帰化(簡易帰化)のポイントについて詳しく解説します。


1.ベトナム人配偶者の帰化申請とは?

帰化申請とは、外国人が法務大臣の許可を得て日本国籍を取得する手続きです。通常の帰化要件は厳格ですが、日本人配偶者の場合は「特別帰化(簡易帰化)」の制度により、いくつかの要件が緩和されます。

(1)特別帰化(簡易帰化)とは

  • 日本人と結婚している外国人は、通常必要な「5年以上の在留要件」が免除されます。
  • 日本に居住している期間が短くても、婚姻関係と生活基盤が安定していれば申請可能です。
  • また、日本語能力や生計維持能力の確認は必要ですが、審査では配偶者の協力も重視されます。

(2)帰化申請と永住申請の違い

  • 永住権は「日本にずっと住める権利」ですが国籍は外国籍のままです。
  • 帰化は「日本国籍を取得」するもので、ベトナム国籍を離脱する必要があります(ベトナムは二重国籍を認めていません)。

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2.ベトナム人配偶者の帰化申請に必要な要件

(1)婚姻要件

  • 法律上有効な婚姻であること(日本での婚姻届出、またはベトナムでの婚姻を日本で届出済み)
  • 形式だけの結婚(偽装結婚)ではなく、実際に同居・生活を共にしていること

(2)住所要件

  • 日本に1年以上継続して住所を有していることが望ましい
  • 特別帰化の場合、5年居住要件は不要

(3)生計要件

  • 本人または日本人配偶者の収入で安定した生活が維持できること
  • 就労先が安定していること、税金や社会保険を適切に納付していることが審査の重要ポイント

(4)素行要件

  • 犯罪歴がないこと
  • 税金・社会保険料を滞納していないこと
  • 交通違反も繰り返している場合は不利に働く可能性あり

(5)日本語能力要件

  • 日常生活に困らない程度の日本語力(読み・書き・会話)
  • 小学校高学年レベルの日本語理解が目安

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3.ベトナム人配偶者の帰化申請に必要な書類

帰化申請の書類は非常に多く、個々の状況により異なります。主な必要書類は以下の通りです。

(1)本人に関する書類

  • 帰化許可申請書
  • 履歴書
  • 親族の概要を記載した書類
  • ベトナムの出生証明書(日本語翻訳付)
  • ベトナム国籍証明書
  • パスポート・在留カードの写し

(2)婚姻・家族に関する書類

  • 日本人配偶者の戸籍謄本
  • 夫婦の住民票
  • 婚姻届受理証明書(必要に応じて)
  • 子供がいる場合は子供の戸籍謄本

(3)生計・納税に関する書類

  • 課税証明書・納税証明書
  • 住民税・所得税の納付証明
  • 勤務先の源泉徴収票
  • 勤務先の在職証明書

(4)その他

  • 本人や配偶者の写真
  • 誓約書(帰化後、日本国憲法を尊重し日本人として生活する旨)

4.帰化申請の流れ(ベトナム人配偶者の場合)

ステップ1:事前相談

  • 法務局国籍課に相談し、必要書類の確認を受ける
  • 個別事情により追加書類が指定される場合あり

ステップ2:書類収集・作成

  • ベトナムでの証明書類は取り寄せに時間がかかるため、早めの準備が必要
  • 日本語翻訳も必須

ステップ3:法務局への申請

  • 必要書類を揃えて提出
  • 面談にて婚姻生活や日本での生活状況について質問される

ステップ4:審査

  • 期間は約1年〜1年半
  • 税金・年金・保険の状況、婚姻の実態、日本語力などが詳細に確認される

ステップ5:帰化許可・告示

  • 官報に公告され、日本国籍を取得
  • その後、市区町村役場で戸籍編入手続き

5.ベトナム人配偶者の帰化で注意すべきポイント

  1. ベトナム国籍の離脱:帰化許可後、ベトナム国籍を放棄する必要があります。
  2. 安定した婚姻生活の証明:偽装結婚と疑われないよう、写真・手紙・送金記録などを補足資料として提出することも有効。
  3. 税金・年金の納付状況:申請前に必ず滞納がないか確認。
  4. 日本語学習:帰化面談では日本語での会話力が問われるため、日常会話以上の日本語力を磨くことが望ましい。

6.よくある質問(Q&A)

Q1:ベトナム人配偶者は結婚直後でも帰化申請できますか?
A1:実務的には1年以上の日本居住と3年以上安定した婚姻生活が確認できる必要があります。

Q2:帰化申請に不許可となった場合、再申請はできますか?
A2:可能です。不許可理由を改善した上で再申請すれば許可される場合があります。

Q3:ベトナム語の書類はそのまま提出できますか?
A3:いいえ。すべて日本語翻訳文を添付する必要があります。翻訳の正確性も重要です。

Q4:夫婦に子供がいる場合、子供も一緒に帰化できますか?
A4:はい、未成年の子供は両親と同時に帰化申請することが可能です。

Q5:永住と帰化どちらが良いですか?
A5:永住は国籍を変えずに日本で暮らせますが、帰化は日本国籍を取得し選挙権なども得られます。家族の将来設計に応じて選択しましょう。


まとめ

ベトナム人配偶者が帰化申請を行う際は、特別帰化制度により要件が緩和されるため、通常より早く日本国籍取得のチャンスがあります。しかし、婚姻の実態・生活基盤・税金や社会保険の納付・日本語力といった実務的なポイントが重視されるため、事前準備は欠かせません。


参考リンク


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この記事を読んで、ベトナム人配偶者の方が安心して帰化申請に取り組める一助となれば幸いです。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法