特定技能外国人の社会保険加入義務と企業の対応策まとめ|外国人雇用担当者必読
日本での人手不足を背景に、特定技能外国人の受け入れが拡大しています。しかし、企業が外国人労働者を雇用する際には、社会保険・雇用保険・労働保険への加入義務を正しく理解し、対応することが重要です。本記事では、特定技能外国人に関する社会保険加入義務と、企業が取るべき具体的対応策をわかりやすく解説します。
目次
特定技能外国人とは?
特定技能外国人とは、日本の労働力不足分野において即戦力として就労する外国人を指します。
特定技能は、1号と2号に分かれており、1号は単純労働分野で最長5年の在留資格、2号は熟練分野で更新・無期限就労が可能です。
特定技能の対象分野には、製造業、建設業、介護、宿泊業、農業、漁業など16分野があります(出入国在留管理庁| 特定技能制度 参照)。
社会保険・雇用保険・労働保険の加入義務
日本で就労する外国人も、国内労働者と同じ社会保険制度の加入義務があります。
特定技能外国人も例外ではなく、以下の条件に該当すれば加入が必要です。
- 健康保険・厚生年金保険
- 常時雇用され、週30時間以上勤務する場合
- 雇用保険
- 31日以上雇用される見込みのある場合
- 労災保険
- 労働者を1人でも雇用していれば加入義務あり(勤務時間に関係なく)
ポイント:アルバイトや短期就労であっても、勤務時間・契約期間によっては加入義務が発生する場合があります。
加入対象となる保険の種類と内容
健康保険
- 医療費の自己負担軽減
- 出産手当金・傷病手当金の給付
- 外国人労働者も日本国内で医療を受ける場合に必要
厚生年金保険
- 老後の年金受給権を確保
- 労働者・企業双方で保険料を負担
- 特定技能外国人が将来日本で年金を受け取る際にも重要
雇用保険
- 失業時の給付
- 育児・介護休業給付
- 特定技能外国人が離職した場合の生活保障に関わる
労災保険
- 業務上の事故や疾病に対する補償
- 企業負担のみで保険料が発生
- 全ての労働者に適用されるため外国人も含まれる
企業が対応すべきポイント
企業が特定技能外国人を雇用する際には、以下の対応が必須です。
1. 雇用契約書の明確化
- 特定技能1号・2号の在留資格に対応
- 勤務時間・給与・保険加入の有無を明記
2. 社会保険の手続き
- 健康保険・厚生年金:日本年金機構に届出
- 雇用保険:ハローワークで加入手続き
- 労災保険:労働基準監督署に加入届出
- 在留資格変更や契約更新の際も保険手続きの確認が必要
3. 資格喪失・変更時の対応
- 退職時:社会保険資格喪失届を提出
- 在留資格変更:保険適用条件の確認
- 海外赴任や一時帰国時:社会保険継続・停止の判断
社会保障協定と外国人従業員
日本は、外国との間で社会保障協定を結んでいる場合があります。
これにより、外国で加入済みの年金制度が日本の年金に二重加入しないよう調整可能です。
- 協定対象国:アメリカ、ドイツ、オーストラリア、フランスなど
- 特定技能外国人が協定対象国から来日する場合、二重加入を防ぐことが可能
- 詳細は日本年金機構の 社会保障協定ページ を確認
Q&A:企業担当者がよく抱える疑問
Q1. 特定技能外国人は必ず社会保険に加入しなければならない?
A1. 勤務時間や契約期間に応じて加入義務があります。週30時間以上勤務の場合は健康保険・厚生年金、31日以上雇用される場合は雇用保険が原則です。
Q2. 短期契約でも加入義務はある?
A2. 労災保険は契約期間に関係なく加入義務があります。雇用保険・健康保険・厚生年金は条件に応じて判断されます。
Q3. 社会保険料は誰が負担する?
A3. 健康保険・厚生年金は労使折半。雇用保険は一部企業負担あり、労災保険は全額企業負担です。
Q4. 在留資格変更時に手続きは必要?
A4. 必要です。特定技能から他の在留資格に変更する場合、加入条件が変わることがあるため、社会保険・雇用保険の適用状況を確認します。
Q5. 二重加入を避ける方法は?
A5. 社会保障協定の活用です。協定国から来日した場合は、年金加入を一時的に免除できる場合があります。
まとめ
特定技能外国人の受け入れにおいて、社会保険・雇用保険・労災保険への加入義務は企業の法的責任です。
ポイントまとめ:
- 特定技能外国人も国内労働者と同様に加入義務あり
- 勤務時間・契約期間に応じて保険種別を判断
- 雇用契約書で明確にし、社会保険手続きを適切に実施
- 在留資格変更や退職時も手続き確認が必要
- 社会保障協定で二重加入を回避可能
企業担当者はこれらを理解した上で、外国人労働者の安心・安全な雇用環境を整備することが求められます。
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この記事は、企業が特定技能外国人を雇用する際の社会保険対応に関する完全ガイドとして、最新情報と実務上の注意点を網羅しています。社内の人事担当者や外国人雇用管理者にとって必読の内容です。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |