特定技能外国人との雇用契約のポイントと注意点|企業が守るべきルール完全ガイド
目次
はじめに
2019年に新設された「特定技能制度」は、日本の人手不足分野において外国人材の受け入れを可能にしました。現在では16分野(介護・外食・建設・農業など)で特定技能1号・2号の外国人が働いています。
しかし、特定技能外国人を雇用する際には 雇用契約の内容が入管法や労働基準法に適合しているかどうか が極めて重要です。契約内容に不備があると、在留資格の不許可や更新拒否につながり、企業にとって大きなリスクとなります。
本記事では、特定技能外国人との雇用契約に関する注意点を、実務的な観点から徹底解説します。
1. 特定技能外国人との雇用契約とは
特定技能外国人を採用する場合、**通常の労働契約に加えて「特定技能雇用契約」**を結ぶ必要があります。
この契約は、出入国在留管理庁が定めるガイドラインに基づき、外国人の労働条件を適切に守ることを目的としています。
2. 雇用契約を結ぶ際の法的ルール
特定技能外国人との契約は、以下の法律や規則を守る必要があります。
- 入管法(出入国管理及び難民認定法)
- 労働基準法
- 最低賃金法
- 労働契約法
- 労働者派遣法(派遣は禁止)
特に、日本人労働者と同等以上の待遇を保障することが義務付けられています。
3. 雇用契約書に必ず記載すべき内容
雇用契約書には、以下の事項を明確に記載する必要があります。
- 勤務地・仕事内容(特定技能対象分野に限定)
- 契約期間(原則1年更新)
- 労働時間・休日・休暇
- 基本給・残業代・各種手当
- 社会保険・労災保険の適用有無
- 退職・解雇に関する規定
- 帰国費用負担の有無
※ 特定技能1号の場合は「帰国旅費の保証」が義務化されています。
4. 特定技能雇用契約の注意点【具体例】
(1)賃金水準
- 日本人と同等以上の水準でなければならない
- 最低賃金を下回ると即不許可
(2)契約更新
- 1年ごとの契約更新が基本
- 途中解雇や雇止めは厳格に制限される
(3)支援体制
- 特定技能1号の場合、受入機関(企業)または登録支援機関が支援計画を実施する必要がある
- 日本語学習支援や生活オリエンテーションの提供が必須
(4)派遣禁止
- 特定技能外国人は直接雇用が原則
- 派遣契約は一切認められていない
5. 違反があった場合のリスク
もし契約内容が基準を満たさなければ、以下のリスクが発生します。
- 在留資格の不許可・更新拒否
- 企業名の公表(ブラックリスト化)
- 行政処分(受入停止)
- 労働基準監督署からの是正勧告
6. 特定技能外国人支援計画との関係
特定技能1号の受入れには「支援計画」の作成・実施が義務付けられています。
- 契約書の内容と支援計画が矛盾していないか確認が必要
- 支援計画の不備は在留資格更新の不許可につながる
関連記事:特定技能1号支援計画の書き方と作成のポイント|記載例付きで徹底解説!
7. 契約時に企業がやるべきチェックリスト
- 雇用契約書は日本語と母国語で用意しているか
- 日本人と同等以上の賃金水準を確保しているか
- 社会保険に必ず加入させているか
- 契約期間・更新ルールを明記しているか
- 支援計画と整合性を保っているか
- 派遣契約ではなく直接雇用になっているか
8. よくあるQ&A
Q1:雇用契約書は英語でも良いですか?
A:原則、日本語と外国人が理解できる言語の両方で作成する必要があります。
Q2:途中で解雇できますか?
A:解雇は労働契約法に基づき「やむを得ない事由」がある場合に限られます。簡単にはできません。
Q3:派遣社員として受け入れることは可能ですか?
A:原則不可です。特定技能は直接雇用でなければなりません。派遣は農業分野で認められています。
Q4:賃金は日本人より低くても良いですか?
A:いいえ。日本人と同等以上が必須条件です。
9. まとめ
特定技能外国人との雇用契約は、通常の労働契約に加え、入管法で定められた特別なルールを守る必要があります。
- 日本人と同等以上の待遇
- 直接雇用の原則
- 支援計画との整合性
- 契約書の二言語作成
これらを守らなければ、企業も外国人も大きな不利益を被ることになります。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |