家族滞在ビザと永住申請の関係|要件・注意点・申請の流れ【完全ガイド】


はじめに

日本に滞在する外国人の多くは、「就労ビザ」や「留学ビザ」などの在留資格を持っています。
その配偶者や子どもが日本で生活するために利用されるのが**「家族滞在ビザ」**です。

一方、日本で安定的に長期生活を希望する外国人にとって大きな目標となるのが**「永住申請(永住許可申請)」**です。

本記事では、

  • 家族滞在ビザとは何か
  • 永住申請における家族滞在ビザの位置づけ
  • 永住申請における注意点
  • 実際の審査ポイントと不許可事例
    を徹底解説していきます。

家族滞在ビザとは?

家族滞在ビザの概要

「家族滞在ビザ」とは、就労や留学を目的に日本に滞在する外国人に同行する家族が、日本で一緒に生活するための在留資格です。

対象となるのは主に以下の親族です。

  • 配偶者(夫・妻)
  • 子ども(未成年・未婚)

参考:出入国在留管理庁|在留資格「家族滞在」

家族滞在ビザの特徴

  • 就労制限:原則として就労不可。ただし、資格外活動許可を受ければ週28時間以内のアルバイトは可能。
  • 在留期間:扶養者(就労・留学ビザ保持者)の在留期間に合わせて付与。
  • 独立性が弱い:扶養者が在留資格を失うと、家族滞在ビザも失効する可能性がある。

永住申請とは?

永住申請のメリット

「永住ビザ」は、出入国在留管理庁から永住許可を得ることで取得できる在留資格です。
メリットは以下の通りです。

  • 在留期間の更新が不要
  • 活動制限がなく、自由に就労・転職できる
  • 社会的信用が向上し、住宅ローンなどの審査に有利

詳細記事:最新データで解説!永住申請の許可率は何%?地域別・年度別の推移まとめ

永住許可の一般要件

永住申請の基本要件(原則)は以下の3つです。

  1. 素行が善良であること(犯罪歴・税金・年金未納がないこと)
  2. 独立の生計を営むことができること(安定した収入があること)
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(原則10年以上日本に滞在し、そのうち5年以上は就労資格で滞在していること)

参考:出入国在留管理庁|永住許可に関するガイドライン


家族滞在ビザから永住申請はできるのか?

結論から言えば、家族滞在ビザのみでは永住申請は困難です。

理由1:生計維持能力が扶養者に依存している

家族滞在ビザは「扶養を受ける立場」であり、自ら安定した収入を得ているわけではありません。
永住申請の大きな要件である「独立した生計維持能力」が認められにくいのです。

理由2:在留資格の安定性が低い

家族滞在ビザは扶養者に従属するため、扶養者がビザを失うと同時に滞在資格を失います。
永住者に求められる「日本社会への安定的な定着性」が認められにくいといえます。


家族滞在から永住に至る主なケース

1. 扶養者と一緒に永住申請し、家族滞在から「永住者の配偶者等ビザ」へ変更

扶養者と一緒に永住申請し扶養者が永住者となった場合は、在留資格が「永住者の配偶者等」になります。
このビザは比較的永住申請がしやすい資格です。

2. 家族滞在から「就労ビザ」への変更

家族滞在中に大学を卒業し、日本企業に就職した場合などは、「技術・人文知識・国際業務ビザ」などの就労ビザに変更できます。
その後、安定した就労歴を積めば永住申請が可能になります。

3. 家族滞在から「高度専門職ビザ」へ変更

高度専門職ビザを取得できれば、永住申請の要件が大幅に緩和されます(最短1年で申請可能)。


永住申請で見られる審査ポイント

  • 世帯収入:扶養者を含めて世帯として安定しているか
  • 納税状況:扶養者の税金・年金納付状況も確認される
  • 婚姻実態:偽装結婚ではないか、同居・婚姻継続性が審査対象

特に、家族滞在ビザ保持者本人に収入がない場合、扶養者の経済状況が審査で重視されます。


不許可になりやすい事例

  • 扶養者の年収が低く、生活が安定していない
  • 税金や社会保険料の未納がある
  • 婚姻実態が薄く、別居している
  • 家族滞在ビザ保持者本人が不法就労をしていた

Q&A(よくある質問)

Q1:家族滞在ビザのまま永住申請はできますか?

A:原則として難しいです。扶養者が永住申請して永住者となった場合は、その家族は永住者の配偶者等になりますので認められることもあります。

Q2:家族滞在ビザから永住を目指すにはどうしたらいいですか?

A:就労ビザや日本人又は永住者の配偶者等ビザへの在留資格変更を経てから永住申請を行うのが一般的です。


まとめ

  • 家族滞在ビザは扶養者に依存する資格であり、永住申請には不利な点が多い。
  • ただし「日本人の配偶者等ビザ」や「就労ビザ」に変更すれば永住申請が現実的になる。
  • 扶養者の収入・税金・婚姻実態など、世帯全体の安定性が審査される。

ポイント:家族滞在ビザから直接永住を狙うよりも、適切な在留資格変更を経てから申請する方が許可率は格段に高まります。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法