農業分野の特定技能ビザと技能実習制度の違いとは?|制度の比較と選び方ガイド

はじめに

農業分野で外国人労働者を受け入れる際に利用される主な制度として、「特定技能ビザ」と「技能実習制度」があります。どちらも外国人の就労を可能にしますが、制度の目的や要件、待遇、キャリアアップの仕組みなどに大きな違いがあります。本記事では、両制度の特徴をわかりやすく比較し、農業分野での活用に適した制度の選び方を解説します。


1. 特定技能ビザと技能実習制度の概要

特定技能ビザ(特定技能1号・2号)

  • 目的:日本の人手不足分野を対象に即戦力となる外国人材を受け入れるための制度。
  • 対象分野:農業を含む16分野が指定されている。
  • 在留期間:1号は最大5年、2号は期間の上限なし(永続的な就労可能)。
  • 特徴:日本語能力や技能試験の合格が必須。転職や家族帯同が一定条件で認められる。

技能実習制度

  • 目的:開発途上国の技能者育成を目的とした「技能移転」制度。
  • 対象分野:農業を含め幅広い職種で実施される。
  • 在留期間:最長5年(原則3年、条件により5年まで延長可能)。
  • 特徴:実習生はあくまで「研修生」という位置づけで、転職は基本的に不可。家族帯同も認められない。

2. 農業分野での特定技能ビザと技能実習制度の比較

比較項目特定技能ビザ技能実習制度
制度の目的即戦力外国人労働者の受け入れ技能移転・開発途上国の人材育成
対象者の立場就労者(労働者)実習生(研修生)
在留期間1号:最大5年、2号は無期限可能最長5年(通常3年)
試験・要件日本語能力試験・技能試験合格が必要技能実習計画に基づく実習
転職の自由度可能(同分野内で転職可能)原則不可
家族帯同2号のみ可能不可
報酬(賃金)最低賃金以上最低賃金以上が原則
キャリアアップ2号への移行で長期就労・永住可能性あり技能実習終了後は別制度への移行が必要

3. どちらの制度を選ぶべきか?農業分野の事業者向け選び方

特定技能ビザを選ぶケース

  • 長期間の労働力確保を目指す場合
  • 日本語能力があり即戦力として働ける人材を求める場合
  • 家族帯同などの生活支援も考慮したい場合

技能実習制度を選ぶケース

  • 技能移転や育成を重視し、短期間の人材受け入れが目的の場合
  • 実習期間終了後の帰国を前提とする場合
  • 受入れ体制や監理団体を利用しながらの受け入れを希望する場合

4. 参考リンクと関連記事

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まとめ

農業分野における外国人労働者の受け入れ制度として、特定技能ビザと技能実習制度は目的や制度設計が異なります。長期的かつ安定した労働力確保やキャリアアップを目指すなら特定技能ビザが適しています。一方、技能移転や短期間の人材育成を重視するなら技能実習制度が有効です。事業者のニーズに応じて適切な制度を選択しましょう。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法