企業内転勤ビザと技術・人文知識・国際業務ビザの違いとは?
外国人が日本で働くための代表的な就労ビザ「企業内転勤ビザ」と「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)ビザ」。
一見似ているようで、実は在留資格の目的や取得要件、就労可能範囲が大きく異なります。
本記事では、両者の違いを比較表を交えながら解説し、どちらを選ぶべきか迷っている企業・外国人本人向けに実務的な判断基準を提供します。
目次
結論|企業内転勤ビザと技人国ビザの主な違い【早見比較表】
比較項目 | 技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国) | 企業内転勤ビザ |
---|---|---|
在留資格の目的 | 外国人の日本での就労 | 海外の関連会社からの転勤 |
主な対象者 | 日本の企業に新規雇用される外国人 | 日本の企業に転勤してくる外国人 |
日本企業との契約形態 | 雇用契約 | 転勤(出向) |
海外での勤務実績 | 不問(未経験でも可) | 海外の関係会社で1年以上の勤務実績が必要 |
学歴や職歴の要件 | 大学・日本の専門学校卒業または10年以上の実務経験 | 特になし(前提として海外勤務1年以上) |
雇用元 | 日本国内企業 | 海外の本社・支社(※出向形式) |
在留期間 | 3ヶ月〜5年(更新可能) | 同様 |
配偶者の就労可否 | 可(配偶者ビザでパート・フル可) | 可(同上) |
永住申請への影響 | 〇(要件次第で申請可能) | △(海外給与扱いの場合、要件注意) |
在留資格の性質|「雇用」と「転勤」の本質的な違い
■ 技人国ビザとは?
日本の企業等と直接雇用契約を結ぶ外国人のための就労ビザです。
専門的な技術・知識を活かして、文系職・理系職に従事することを前提としています。
詳しくはこちら:技術・人文知識・国際業務ビザの全体概要|対象職種・申請条件・取得方法
■ 企業内転勤ビザとは?
外国企業に雇用されたまま、日本の関係会社へ出向・転勤する外国人のためのビザです。
一般的に、海外で1年以上勤務していた社員が、同一グループ内で日本勤務するケースで用いられます。
申請要件の比較|どちらが取得しやすい?
項目 | 技人国ビザ | 企業内転勤ビザ |
---|---|---|
学歴要件 | 大卒(専攻と職務の関連性)または職歴10年以上 | 特になし(海外勤務1年以上が必須) |
実務経験 | 新卒でも可(大学の専攻と職務が合致) | 海外勤務1年以上の実績が必須 |
日本語能力 | 必須ではないが職務内容により求められることも | 同上(社内言語に応じて) |
雇用形態 | 日本の企業と直接雇用 | 海外の企業が雇用し、日本法人へ出向扱い |
審査期間の目安 | 約1〜2ヶ月 | 約1〜2ヶ月 |
どちらを選ぶべき?|ケース別おすすめビザ
ケース | おすすめビザ | 理由 |
---|---|---|
日本企業で新たに外国人を採用したい場合 | 技人国ビザ | 雇用契約が前提であり、転勤実績は不要 |
海外グループ会社から日本に社員を転勤させたい場合 | 企業内転勤ビザ | 海外勤務1年以上の実績があればスムーズに申請可能 |
日本での長期キャリア・永住を視野に入れている場合 | 技人国ビザ | 雇用関係が明確で、永住要件(年収・納税など)を満たしやすい |
補足:企業内転勤ビザの更新・変更で注意すべきポイント
- 企業内転勤ビザは「転勤前提」のため、異動先がないと更新不可になる場合があります。
- 将来的に日本法人での雇用契約を結ぶ場合は、**「技人国ビザへの在留資格変更」**も検討が必要です。
関連記事:【完全ガイド】企業内転勤ビザの更新・変更手続き|必要書類・注意点・スムーズな申請のコツ
参考リンク
行政書士からのアドバイス
行政書士としての立場から言えば、「目的・勤務経歴・将来の雇用形態」を明確にしたうえで、最適な在留資格を選ぶことが重要です。
特に企業内転勤ビザは、将来的に永住や家族帯同を希望する外国人にとっては制限があるため、中長期的視点で「技人国」への切り替えを見据えるのが実務的です。
まとめ
企業内転勤ビザと技術・人文知識・国際業務ビザは、似て非なるビザです。
単なる就労資格ではなく、**「どこに雇われているか」「何の目的で来日するか」**が明確に区別されます。
外国人雇用やビザ選択で迷った際は、専門家への相談をおすすめします。
関連記事:
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |