宿泊業分野の特定技能ビザと技能実習制度の違いとは?|制度の比較と選び方

はじめに

宿泊業界では深刻な人手不足が続いており、外国人労働者の活用が不可欠となっています。外国人労働者を受け入れる主な制度として、「特定技能ビザ」と「技能実習制度」がありますが、それぞれ制度の目的や条件に違いがあります。

特に2025年現在、宿泊業でも「特定技能2号」への移行が可能となり、より長期での就労や家族帯同が視野に入るようになりました。本記事では、宿泊業における特定技能1号・2号ビザと技能実習制度の違いを分かりやすく解説し、適切な制度選びをサポートします。


1. 特定技能ビザ(1号・2号)とは

特定技能1号

  • 2019年に創設された在留資格
  • 宿泊業を含む16分野が対象
  • 実務経験や日本語能力試験(日本語能力試験N4レベル相当など)合格が条件
  • 在留期間は最大5年
  • 家族帯同は原則不可

特定技能2号

  • 2024年以降、宿泊業など一部の分野で対象拡大
  • 高度な技能を持つ外国人が対象
  • 在留期間は無制限(更新可能)
  • 家族帯同が可能
  • より安定した長期就労が期待できる

【参考】法務省「特定技能制度」


2. 技能実習制度とは

技能実習制度は、日本の技能や知識を外国人に移転することを目的にした制度で、主に若年層の技能習得を支援します。

  • 受け入れ期間は最長5年(1年+2年+2年の延長)
  • 実習計画に基づき、一定の技能レベルの習得が求められる
  • 家族帯同は原則不可
  • 日本語能力の要件は特にないが、最低限のコミュニケーション能力が必要

3. 宿泊業における制度の違い

項目特定技能1号特定技能2号技能実習制度
制度の目的即戦力としての就労高度技能者の長期就労技能移転・習得
対象者一定の技能・日本語能力を有する人高度な技能を持つ人技能習得を目指す実習生
在留期間最大5年更新可能、事実上無制限最長5年
家族帯同原則不可可能原則不可
日本語能力一定水準の日本語能力試験合格高度な日本語能力(業務に応じて)特に要件なし
雇用形態雇用契約雇用契約実習生としての受け入れ
受け入れ可能業務宿泊業全般(接客、清掃等)宿泊業全般(高度技能業務も含む)実習計画で定められた業務

4. 特定技能2号の特徴と宿泊業への適用

2025年現在、宿泊業分野でも特定技能2号の受け入れが可能となりました。これは、技能実習を経て一定の技能レベルを満たした実習生が、特定技能2号へ移行し長期的に働ける道が開けたことを意味します。

  • メリット
    • 長期在留・更新可能
    • 家族帯同が可能で生活の安定を図れる
    • 労働者のモチベーション向上につながる
  • 注意点
    • 2号への移行は高度な技能と実務経験が必要
    • 企業側も受け入れ体制の整備が求められる

5. 宿泊業分野における制度選択のポイント

  • 短期〜中期的に即戦力を確保したい → 特定技能1号
  • 長期で安定した人材確保・家族帯同も視野に入れる → 特定技能2号への移行を検討
  • 技能移転や若年層の育成を目的とする → 技能実習制度
  • 受け入れ人数や制度の条件をよく確認し、最新の法令に基づく手続きを

6. 宿泊業の外国人受け入れは専門家に相談を

制度の複雑さや法改正の頻度を考えると、行政書士や専門コンサルタントによるサポートが不可欠です。受け入れ計画の策定や申請書類作成など、専門家に依頼することでスムーズな運用が期待できます。

【参考】日本行政書士会連合会


まとめ

宿泊業分野においては、特定技能1号・2号ビザと技能実習制度がそれぞれ異なる特徴を持ちます。特に2025年からは特定技能2号の受け入れも可能となり、外国人労働者の長期安定就労が期待できます。最新情報を踏まえ、適切な制度を選択することが重要です。


関連記事

無料相談

まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。
 
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法