特定技能ビザを「自動車整備」分野で取得するための要件は何でしょうか?

1,特定技能1号「自動車整備」とは、どんな制度でしょうか?

現在、自動車整備分野においては人手不足が深刻化しています。特定技能1号は、このような人手不足に対応するため、一定の専門性・技術性を持った外国人を受け入れることによって、自動車整備分野の存続・発展を図り、日本経済や社会基盤の持続可能性を維持することを目的としています。

特定技能分野別運用要綱(自動車整備)

930004538.pdf (moj.go.jp)

2,自動車整備分野での1号特定技能外国人の受入見込数はどの程度でしょうか?

 自動車整備分野では、2023年までに13,000人の人手不足が生じると推計されています。この人手不足に対応するためには、特定技能外国人を受入れることは避けられないと考えられています。自動車整備分野では、追加的な国内人材確保や生産性向上によって6,500人程度の人材確保が見込まれていますが、なお人手が不足すると見込まれています。一方で、自動車整備分野の有効求人倍率は3,73倍となっており、人手不足が顕著であることがうかがえます。このような人手不足の推計を受けて、自動車整備分野における受入見込数は最大で7,000人とされています。またこれを受入れの上限としていますので、過大な受入見込数となっていません。

3,特定技能「自動車整備」では、どんな業務に従事できますか?

 特定技能「自動車整備」では、以下の主たる業務と関連業務に従事することが認められています。

(1)主たる業務

 特定技能「自動車整備」では、①自動車の日常点検整備、②定期点検整備、③分解整備といった業務に従事することが認められています。

(2)関連業務

 関連業務のみに専ら従事することは認められません。もっとも、主たる業務に伴って付随的に従事する場合には、関連業務に従事することが認められます。

 関連業務の例としては、①整備内容の説明・関連部品の販売、②部品番号の検索・内部発注作業、③車枠車体の整備調整作業、④ナビ・ETC等の電装品の取付作業、⑤自動車板金塗装作業、⑥洗車作業、⑦下廻り塗装作業、⑧車内清掃作業、⑨構内清掃作業、⑩部品等運搬作業、⑪設備機器等清掃作業などが挙げられます。

4,特定技能「自動車整備」で外国人を雇用するための要件は何ですか?

(1)外国人が特定技能「自動車整備」の在留資格を取得していること

 在留資格とは、外国人が日本に在留し、一定の活動を行うことが出来る資格をいいます。特定技能「自動車整備」の在留資格を取得するための要件は以下の通りです。

ア、技能水準(試験区分)

 ①自動車整備特定技能評価試験又は②自動車整備士技能検定試験3級のどちらかに合格する必要があります。

イ、日本語能力水準

 ①国際交流基金日本語基礎テスト又は②日本語能力試験(N4以上)のどちらかに合格する必要があります。

ウ、なお、自動車整備職種・自動車整備作業の第2号技能実習を良好に修了した者は、上記ア・イの試験が免除されます。

(2)直接雇用であること

 フルタイムの直接雇用に限られます。派遣雇用は認められません。

 自動車整備分野において1号特定技能外国人を派遣し、又は派遣された者を受入れた場合には、以後5年間は特定技能外国人の受入れが出来なくなりますのでご注意ください。

(3)受入機関に対して特に課す条件を満たしていること

 受入機関一般に課される条件(特定技能条件(受入機関)のほか、特定技能「自動車整備」において特に課される条件は以下の通りです。

ア、認証を受けた事業所を有すること

 受入企業は、道路運送車両法78条1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた事業所を有する必要があります。特定技能外国人の業務への従事は、当該認証事業所においてなされなければなりません。認証を受けていない事業所に特定技能外国人が就労すると、資格外活動罪や不法就労助長罪といった犯罪が成立します。また、1号特定技能外国人の受入後に業務に従事する営業所が変更になった場合は14日以内に届出が必要です。これを怠った場合は刑事罰に処せられます。

イ、協議会の構成員であること

 受入企業は、国土交通省が設置する自動車整備分野特定技能協議会に加入する必要があります。特に、自動車整備分野の特定技能外国人をはじめて受け入れる場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に協議会に加入しなければなりません。協議会に加入せずに特定技能外国人を就労させた場合には、不法就労助長罪に処せられます。

ウ、協議会に対し必要な協力を行うこと

 受入企業は、上記イの協議会に対し、必要な協力を行わなければなりません。協議会に対し必要な協力を行わない場合には、不法就労助長罪に処せられます。

エ、国土交通省に対し必要な協力を行うこと

 受入企業は、国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行う必要があります。国土交通省に対し必要な協力を行わない場合には、不法就労助長罪に処せられます。

オ、登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託する場合には、登録支援機関が所定の要件を満たしていること

 受入企業が、1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には、当該登録支援機関も受入企業と同様に上記イ・ウ・エの条件を満たしている必要があります。

 それに加え、当該登録支援機関には、①自動車整備士1級・2級の有資格者又は②自動車整備士養成施設において5年以上の指導に係る実務経験を有する者がいる必要があります。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法